中国人の生活レベル

マスメディアが中国について報じている内容は、良くも悪くも現実離れしていることが多い。
しばしば言われる「一人当たりGDP」や「平均所得」など、中国社会を分析する上ではほとんど無意味な指標である。
差異が大きく広大な中国では、「一人当たり」や「平均値」のデータは、どの階層の実態も表していない。

変化が激しく、実態を掴みづらい中国社会は、外部から見ていると何がなにやら分からないだろう。
ほんの数年前では「貧しさ」の代名詞であったにも関わらず、
今ではまるで先進国かのような消費が行われているような報道がなされている。
実態を反映しない報道のために、視聴者は中国の実際のレベルを理解できないでいる。
そこで「13億市場」だの、「G2」だのと言われている中国で、リアルな人々がどのような状況にあるのかを分類してみた。
色々な調査結果を参考にしているが、完璧とは程遠いので、あくまで参考程度にして欲しい。

ランク1 超富裕層 年収150万元〜天井知らず (約2100万円以上)
万人が認める富裕層。最低数億円の資産を持ち、金の使い方に困るレベル。全人口の0.1%未満。全国で約百万人。

フェラーリなどの高級車を一括払いで買う。マンションはもちろん3つ以上所有している。モデルの愛人も確保済み。
子供はアメリカ留学が当たり前。そろそろアメリカのグリーンカードでも取得しようかな。
税金は政府高官と仲がいいので払いませんが何か?(鳩山首相みたいな感じ)

恐ろしいことに彼らの出自は、地方政府と結託して不動産開発で財を成した者(賄賂と癒着)、インサイダー株取引、
地方政府の上級職で賄賂を掻き集めた者など、ほとんどが犯罪者(とその家族)で構成されている事である。
最も、中国では権力者の犯罪は犯罪として認定されないので、中国の支配層と呼んだ方がよいかもしれない。

ランク2 富裕層 年収30万元〜149万元 (約420万円〜2100万円)
大金持ちとは言えないがお金持ち。日本人の感覚で言う「年収2000万円」的感覚。
生活やローンに困る事はまず有り得ないレベル。全人口の1%未満。1000万人いるかどうか。

バブル価格でもマンションが買える。子供は「貴族学校」(金持ち用の学校)に通わせたい。
車はすでに購入済み。家事は家政婦に任せる。海外旅行は毎年の恒例行事。
まだ働かずに生きていけるわけではなく、競争も激しいのでストレスが溜まっており、
早めに引退してのんびり生活したいと願っている人も多い。

ここを構成するのは、中規模の中国企業オーナー、名門外資企業のトップクラス(IBMの副社長とかのレベル)、
普通に腐敗した政府高官、近々消え去る感じもあるが、バブル関連企業の重役などの成金も多く含まれる。

ランク3 準富裕層 年収10万元〜29万元 (約140万円〜420万円)
収入は多いが、資産と呼べるほどの財産は持っていない。全人口の3%以下。2000万人くらい。ここから上が勝ち組。
日本人の感覚で言う「年収1000万レベルの生活水準」と捉えると分かりやすい。

車はローンで購入。マンションもローンで購入。投資目的で2つ目のマンションを買い、賃貸に出すこともある。
クレジットカードに執着する事例があり、限度額いっぱいまで買い物したりする。
生活には余裕があるが、際限なく贅沢ができるわけではない。あまり調子に乗ると破綻する可能性がある。
共働きだと家政婦を雇うこともある。

大企業の部長クラスのような勝ち組ホワイトカラー、外資企業のマネージャー、小規模企業の経営者がここに属する。

ランク4 中間層 年収5万元〜9万元 (約70万円〜140万円)
日々の生活は安定しているが、余裕があるとは言えない。全人口の10%弱。1億人未満。
日本人で言うところの「派遣社員」的な生活水準だろうか。

ルームシェアではなく、一人暮らしが可能になる。結婚する場合は共働き必須。マンションはバブルで買えない。
無理にバブル価格で買うと、これから20年はローンに給料の半分を払う羽目になる。
ベテランホワイトカラーは、社会的には成功(日本人の感覚で言う「いい会社に入れた」に近い)だが、
仕事上の負担も大きく、ローン地獄の実態を見ると、実は負け組かも?車は中国製をローンで買うことが多い。
社会に不満を持つ人も多く、現状には満足していない。

外国人が直接接することが多いため、一見すると「普通の中国人」のレベルと勘違いしやすい。
人口比率から見ると、これでも収入、能力共にトップ1割のエリートである。外国語を話せる人も珍しくない。
大卒ホワイトカラーが30歳くらいで辿り着ければ一応OKなレベル。個人事業主の占める割合も多い。

ランク5 準中間層 年収2.5万元〜5万元 (約30万円〜70万円)
大都市では生活するだけでやっと。全人口の40%くらいで5億人程度?
2,3年以内にランク4の中間層に上がりたいという希望を持っている。

一人暮らしは家賃の負担から不可能に近い。ルームシェアが普通。
エアコン、冷蔵庫、電子レンジと言った家電がかろうじて揃うかどうかというレベル。
若者の場合は安いPCを持っていることが多い。
できるだけ自炊で食費を切り詰めたい。消費意欲はあるが収入が無いので、何でも安い物を買う。
マンション、車、その他高級品は買えないが、いつか買えるようになってやるとやる気まんまん。
中国人を雇う上で、最もコストパフォーマンスが良い層。優秀な新人を探すならここから。
これより下のランクは何をやらせても戦力外のゴミで動物と同じ。消費力も文字通りのゼロ。ただ数が多いだけである。

外国人との接触も多い新卒ホワイトカラーの出発地点で、彼らにとっては、ここは早く抜け出さないとマズい階層。
抜け出す見通しが立たなければ、3年以内の転職か解雇が待っている。
高卒ベテラン社員、ベテランブルーカラー、一定の技術を持っている農民工もこの層に所属するが、
彼らの収入はこの辺で頭打ち。これ以上稼ぎたければ独立するしかない。

ランク6 貧困層 年収1万元〜2万元 (年収14万円〜30万円弱)
全人口の40%程度で5億人以上。社会の底辺・・・と言っても人口のほぼ半分だなw 底辺広すぎ。

大都市ではレストランや小売店の雇われ店員、稼ぎの悪い農民工。
スラムでルームシェアしたり、各種店舗への住込みで働いている。

無数にある地方中小都市では、この収入でも一人前。このランク5,6辺りが「普通の中国人」なのだろう。
とはいえ、彼らは外国人との接触が少なく、実態が非常に掴みづらい層。

ランク7 超貧困層 年収1万元以下 (年収10万円以下)
10%強を占める2億人未満。中国人から見ても貧困層。内陸部の農民。
底辺というより、社会にカウントされてすらいない。ここ500年くらいは進歩が見られない。現代人ではない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

中国の社会は経済力で分類すると、以上のような感じに分かれている。
最近の華々しい報道から見ると、意外と貧しいと思ったのではないだろうか?
ワンルームマンションを借りて一人暮らしが成立するのは、全人口の10%程度でしかないのが実際である。
カップ麺レベルの消費財であれば、ランク6以上が消費者として見込めるが、
もっと付加価値の高い商品であれば、ランク4以上をターゲットとしたいところだ。
ランク3以上の人々を顧客として取り込むことが出来れば、やっと有意義なビジネスができるようになるだろう。

ランク2から3の人々は、この数年間で広がってきた階層であり、ニュースの題材にもよく取り上げられている。
富裕層が増えているとか、中間層が拡大しているとかいう報道は多いが、
富裕層や中間層という単語には統一的な定義が無いため、それだけでは何も見えてこない。
今回取り上げた階層にしても、管理人が自分の感覚や他の調査を参考にして分けているだけなので、
他の報道で言う「富裕層」とは同義語ではない。

また、中国では日本と違い、共働きが当たり前である。
専業主婦という事実上のニートはほとんど存在しないので、
「世帯収入」は実質2倍近くになるという点に注意が必要だ。

更にこういった階層は中国全土に平均して散らばっているわけではない。
地方の農村では、ランク1や2の人は皆無であるが、ランク7の人が多くを占める地域もある。
逆に上海などの大都市では、ランク7はほぼゼロであり、高ランクの人が集中して住んでいるという具合である。
中国の実態を見ようとする際には、そうした地域的なばらつきの大きさも考慮に入れなければならない。

もう一点、これらは収入であるが、資産は別にカウントが必要である。資産のランク付も面白いかもしれない。
特に大都市では、収入は大したことがなくても再開発に伴う立ち退きで多額の補償金を得た人も多い。
このような人は意外と金遣いが荒く、収入の割にはお金を持っているように見える。

また、この分類も有効なのはせいぜい2,3年程度で、その後は実態からずれてしまう可能性も高い。
変化の激しい中国社会を理解するには、常に最新情報のアップデートが必要となることにも注意したい。

2010.01.13