権 能 
 
 個人名 
 
 
 
 
 
 
 両 親 
 配偶者 
 愛 人 
 子 供 
怪力の百腕巨人たち
奈落の牢獄タルタロスの門番を務める
最もメジャーなのは以下の3人説
ブリアレオス(「強い者(briareos)」)
ギュゲス(gyges)またはギュエス(gyes)
コットス(kottos)
ブリアレオスはまた、
アイガイオン(「エーゲ海の男(Aigaion)」)
という別名で呼ばれることもある
ウラノス×ガイア
ブリアレオス……海の女神キュモポレイア
なし
なし
<力を疎まれた巨人>
  天空神ウラノスが自分の母である大地女神ガイアと交わってもうけた最初の子供たち。それがヘカトンケイルたちと呼ばれる3人兄弟でした。
  それぞれブリアレオスギュゲス(またはギュエス)・コットスと名付けられた彼らは、皆途方もない巨躯と怪力の持ち主。しかもその姿は、1つの身体に50個の首と100本の腕を持つという凄まじいものでした。言うなれば50人の人間をギュッと寄せ集め、彼らの胸から下を無理矢理1つに束ねあげたようなもの。常人の想像力では思い描くことも難しい奇怪千万な風貌です。
  父のウラノスはこれを見て腰を抜かし、血を分けた我が息子ながら徹底的に忌み嫌いました。そして、すぐ後に生まれた一眼巨人キュクロプスたちと一緒に母親ガイアの胎内に押し戻してしまいます。
  しかし、腹を痛めて生んだガイアにとっては、どんな異形であっても可愛い我が子。それを「生まれてこなければよかった」と言わんばかりに虐待されては黙ってなどいられません。ましてや自分自身も、こんな巨大な息子たちを6人も腹に押し込まれたのでは苦しくてたまりませんから、何とか彼らを解放して楽にならねば身が保ちません。
  そこでガイアはティタン神族と呼ばれる他の12人の子供たちを集め、横暴なウラノスを倒す勇気のある者はないかと尋ねました。すると末子のクロノスがこれに応え、母から受け取った鎌を振るって見事に父を去勢。迫害者がいなくなって安心したガイアは早速胎内から息子たちを解放します。彼らにとっても長らく待ち望んだ自由でした。
  しかし、この自由はあまりにも早く終わりを告げてしまいました。というのも、彼らの姿を初めて目にしたクロノスが父同様その恐ろしさに肝を潰し、再び彼らを縛り上げてタルタロスに閉じ込めてしまったのです。まさか一度は救い主となった弟の手で奈落へ突き落とされるとは……予想もしなかった運命の暗転にヘカトンケイルたちの心は悲嘆で塗り潰されてしまいました。
  陰湿な暗黒の牢の中、忍耐の時は長く続きました。しかし、我が子を愛おしむガイアがいつまでも彼らを見捨てておくことはありません。偉大な母神はまたしても、今度は孫のゼウスを使って彼らを助け出そうとします。
  クロノスのしたことに腹を立てた彼女は、彼に「おまえも血を分けた子供によって打ち倒されるだろう」と不吉な予言をした上で、その予言を果たすことになるゼウスの成長を積極的に支援し、父親に戦いを挑ませました。そして、ティタノマキアと呼ばれるこの戦争が膠着状態に陥ると、ゼウスにこのような助言をしたのです。
「実は、私の生んだ6人の息子たちがクロノスによってタルタロスに閉じ込められているんだよ。あの子たちは皆優れた力を持っているから、救い出してやればきっとおまえたちの助けとなってくれるだろう」
  ゼウスはそれを聞くやいなやすぐさまタルタロスに降り、門番を務めていた恐ろしい女怪カンペを倒して閉ざされていた扉を開けました。このとき、喜んで飛び出してきた伯父たちの異形にゼウスもさぞや仰天したことでしょうが、さすがは剛胆な未来の王者だけあってそんな感情はおくびにも出しません。ゼウスは親しく彼らをオリュンポス山へ案内し、ネクタルとアンブロシアをふんだんに与えて飢えを満たしてやった上で、受けた恩をありがたいと思うならばともにティタンたちと戦ってくれと要請しました。
  それに答えてコットスが言うには、
「おお、そのようなことはおっしゃるまでもありません! あなたは我らを不当な縛めから解き放って下さった大恩人、喜んでお力になりますとも。この不屈の闘志と無敵の腕力ですぐにも奴らに目にもの見せてやりましょうから、我らの働きぶりをしかとご覧下さい!」
  その言葉通り、ヘカトンケイルたちは勇ましく最前線に飛び出すと、100本もある腕をフル回転させてオトリュス山に陣取るティタン軍めがけ大岩を投げつけ始めました。雨あられと降り注ぐ巨石によって敵陣は壊滅し、大勢のティタンが生き埋めとなってその被害は甚大(何せ一度に300個の絨毯爆撃ですからね!)。彼らの奮戦によって膠着していた戦況は一気にオリュンポス側に傾き、ゼウスたちは見事10年も続いた大戦に勝利をおさめることができました。
  さて、敗れたティタン神族をタルタロスに投げ込んで戦後処理をした後は、味方の神々に対する報賞授与が待っています。まずキュクロプスたちに対しては、
「今後も地上に留まってゼウスに仕え、得意の鍛冶仕事に精を出すように」
との嬉しい沙汰が下りました。もちろん彼らは大喜び。
  次いで、一体自分たちにはどんな褒美が与えられるのかと胸躍らせつつ進み出たヘカトンケイルたちに対しては、ゼウスはこのように言いました。
「そなたらも知っての通り、我らの敵ティタンどもはタルタロスに投獄された。じゃが彼らは揃って凶暴な荒くれ者、脱獄を許さぬためには信頼できる門番が必要じゃ。そこでヘカトンケイルたちよ、このわしの目となり耳となり、要あらば手足ともなって彼らの見張りを務めてもらいたい。そなたらをタルタロスの看守に任命する。かつては囚人として暮らした場所に、今度は勝利者として降りてゆくがよい!」
  キュクロプスたちに対する処遇との決定的な違いがおわかりでしょうか。この命令は、彼らにまたしても地上から退去し、陽の射さぬ地底に下れと告げるものなのです。いくら平気そうな顔をしていても、やはりこれほどまでに怪力の巨人を3人も側に置いておくのはゼウスにとっても恐ろしいことだったのでしょう。
  しかし、ヘカトンケイルたちはこの命令を喜んで受け入れました。現時点でのゼウス政権にとって最大の脅威であるティタン神族の抑え役を任されるということはそれだけ信頼されている証、彼らの持つ素晴らしい力が評価されている証であると受け取ったのです。彼らは勇んでタルタロスへの道を降り進み、奈落の出入口を封鎖する青銅の門の傍らに陣取って、3人合わせて300個もある目で厳しく監視を行う最強の見張り番となりました。
  さらにこの後、ゼウスの処置をフォローするかのようにポセイドンが娘キュモポレイアをブリアレオスに与え、オリュンポス神族の身内として取り込んだため、彼らの忠誠心はますます高まりました。ゼウスの忠実なる下僕として、万一天界に危急事あらば即座に馳せ参じんとの熱い志を抱きつつ、今日も彼らは奈落の門を睨みながら地底で元気に暮らしています。
 
 
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             ブリアレオス
            百腕巨人ヘカトンケイルたちの1人。名前の意味は「強い者」。
            神々の間ではブリアレオスと呼ばれるが、人間たちからはアイガ
            イオンと呼ばれている。
            ヘカトンケイルの中では美形であるらしく、ポセイドンの娘キュモ
            ポレイアを妻にもらって海王の婿養子となった。
            かつてオリュンポスで神々の内輪揉めが起こり、ヘラアテナ・ポ
            セイドンらが共謀してゼウスを縛り上げたときには、事に気付い
            た女神テティスの要請に応じてオリュンポスに駆けつけ、ゼウス
            の縄を解いて彼の身を守った。
            詳しくは「ヘカトンケイルたち」の項を参照。
 

 
               ギュゲス/ギュエス
            百腕巨人ヘカトンケイルたちの1人。
            詳しくは「ヘカトンケイルたち」の項を参照。
 

 
             コットス
            百腕巨人ヘカトンケイルたちの1人。
            詳しくは「ヘカトンケイルたち」の項を参照。
 

 
             アイガイオン
            百腕巨人ヘカトンケイルたちの1人、ブリアレオスの別名。
            名前の意味は「エーゲ海の男」。
            詳しくは「ヘカトンケイルたち」「ブリアレオス」の項を参照。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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