Artist Data
Tiziano Vecellio
1488/90-1576
Italian Painter
Venetian school
Painting Data
Venus of Urbino
(Venere d'Urbino)
1538
Oil on Canvas, 119 x 165cm
Galleria degli Uffizi, Florence
  
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  ヴィーナスを描いた数限りない西洋絵画の中でも、疑いようもなく最も麗しい作品の1つ、《ウルビーノのヴィーナス》です。
  若きウルビーノ公グイドバルド・デッラ・ローヴェレのために描かれたことで知られるこのヴィーナスは、「横たわるヴィーナス」と呼ばれる類型的なポーズで寝台に臥し、愛の花である赤薔薇を握って、世にも悩ましい眼差しを鑑賞者に投げかけています。そのあまりに蠱惑的な姿は女神というよりも名高いヴェネツィアの高級遊女そのもの。
  ところが、彼女の足元で眠っている小さな子犬の存在が「ウルビーノのヴィーナス=高級遊女」説に大きな疑問を投げかけます。というのも、犬は図像学においては「忠誠」の象徴であり、特に女性の足元に描かれた場合は「夫に対する妻の貞節」を表すからです。また、部屋の隅では侍女と少女がヴィーナスに着せるための衣裳を長櫃から取り出していますが、それは当時の高貴な女性が輿入れの際に持参した嫁入り道具の衣裳入れを連想させます。
  そう、つまりこの絵は、当時24歳のグイドバルドが1535年に嫁いできた若妻ジュリア・ダ・ヴァラノのために注文した結婚の寓意画であり、遊女の奔放な愛ではなく人妻の貞潔な愛が描かれた作品なのです。子犬が警戒もせずに眠っているのは部屋に入ってきた人物(=鑑賞者)が主人である証。寝台のヴィーナスがこちらに投げかけてくる官能的な視線は、妻が夫にのみ捧げる熱い愛の証です。
  それにしても、1524年生まれのジュリアはこの絵の制作当時まだ14歳のはず。対してこのヴィーナスは完全に成熟した美女であり、とてもそんな幼な妻には見えませんが、そこは画家の脚色というものなのでしょうか。
 
 
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