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(日本文)
News Letter
目次(日本文
カンボジアの昔話
(今中葉子訳)
 
THE FUTURE FOR CANBODIAN CHILDREN (FCC)
CENTRE OF EDUCATION AND DEVELOPMENT OF ARTS (CEDA)
     アンコールの地より 
            THE FUTURE FOR CAMBODIAN  CHILDREN
       アナーコット・コマー・カンプチア 
カンボジアの昔話 (今中葉子訳)
カンボジアの人たちの知恵や夢、そしてユーモアがたくさんつまった宝もの、 カンボジアの昔話をご紹介します。(ニュースレターより)
〜カラスの結婚式〜 (カンボジア昔話集7より) NO13(2005)掲載   
  むかしむかし、カラスの王様が背の高いサトウヤシの木に住んでいた。ある日、カラスの王様は息子を結婚させようと、結婚式の準備をはじめた。王様は王様に仕える兵たちに、動物たちみんなに結婚式に来てもらうよう呼びに行かせ、また別の兵たちには果物や米、魚、肉など動物たちにふるまうご馳走を集めに行かせた。そして式の当日。すっかり準備をととのえた新郎新婦と、二人を祝いに来た動物たちはにぎやかに宴会を始めた。飲めや歌えの大騒ぎ。森中に祝宴の声はひびいていた。ところで、カラスの王様が招いた動物たちの中には、カメもいたんだ。結婚式に招待されたものの、足の短いカメはまだ到着していなかった。やっとのことでサトウヤシの木に到着したカメが上を見上げると、動物たちが楽しそうに飲んだり食べたりしているのが見えた。
  「はぁー、おなかすいたよー。」よだれもでてきたカメだったが、さて、どうやったらサトウヤシの木の上に登れるんだろう?カメが考え込んでいると、ちょうどヘビがやってきた。「ヘビさん、どこ行くの?」「カラスさんの結婚式に行くんだよ。そういうカメさんは?」「僕もカラスさんの結婚式に行くんだよ。」「だったら、僕のしっぽをくわえるといいよ。僕が上までひっぱっていってあげる。でも、その間、少しの間しゃべっちゃだめだよ。おっこっちゃうからね。」カメは喜んで、さっそくヘビのしっぽにかみつき、ヘビに上までひっぱりあげてもらうことになった。さて、動物たちが宴会をしている木の上までつくと、カメに気付いたカラスの王様が振り返ってていねいにあいさつをした。「やぁ、カメさん、来てくれたんですね。」カメはまだヘビのしっぽにぶらさがっていることも忘れ、あわてて答えた。「はい...」その瞬間、ヘビのしっぽからカメは下までまっさかさま。。カポッ...地面にたたきつけらたカメの甲羅にはひびが入ってしまった。カメの甲羅のひびは、このときにできたものなんだって。結局カメはごちそうにもありつけず、甲羅にもひびが入ってしまい、ふんだりけったり。それ以来、パーティや食事に呼ばれて一番最後にきた人のことを、『カメの口を持つ人』って呼ぶのだそう。
よくばりな人〜 (子どものためのカンボジア昔話集2 より) NO12(2004)掲載
  むかしむかし、14歳になる女の子がいた。ある日、母親はその女の子に芋を掘りに行かせることにした。女の子は準備ができると、森へ芋を掘りに出かけた。森へつくと、土が少し盛り上がっているところがあり、そのそばには深い穴があいていた。女の子はそこで芋を掘ろうとして行ったが、手を滑らせて深い穴へ鍬の刃を落としてしまった。女の子はどうしたらいいかわからず、助けを求めた。「お願いします。誰か、私の鍬をとってください。ご恩返しは必ずしますから。」
  すると、年老いたトラが森から出てきた。そのトラの頭にはできものができていて、ウジがわいてとてもきたなかった。トラは言った。「娘さん、わしが鍬をとってやってもいいよ。でも、もしとってこれたら、わしの頭のウジをとってくれんかな。そうすれば恩返しなどいらんよ。」女の子はトラがこういうのをきいて、「トラさん、お願いします。鍬をとってきてください。」トラはさっそく、深い穴から鍬を取ってきて女の子に返してやった。女の子は約束のとおり、草のトゲをもってきてトラの頭のウジをとってあげた。
  トラは、女の子にきいた。「ねぇ、娘さんよ、わしの頭はくさいかい?それともいいにおい?」もちろん、トラの頭はとってもくさかったが、女の子はこう答えた。「とってもいいにおいよ、トラさん。」トラは何度も何度も聞き、その度に女の子は「いいにおい」と答えた。女の子がウジを取り終えると、トラの頭は痛みもかゆみもなくなった。そして女の子に言った。
  「娘さんよ、わしに籠をよこしなさい。芋をいれてやろう。」女の子は籠をとりだし、トラに渡した。トラはこっそりその籠に金や銀をたくさんつめ、口をしばって女の子に渡して言った。「娘さんよ、この籠をもってうちに帰りなさい。そして家族を呼び集め、家中の戸を全部閉めるんだ。それからこの籠をあけるんだよ。女の子はそれを持ち帰り、トラにいわれたとおりにした。
  籠の中にからはたくさんの金や銀がでてきて、家族みんなで分けた。この話はすぐに広まり、ある娘の親の耳にも入った。「お前はあそこの娘と違って、芋掘りにいったって芋以外はお化けもなんにももって帰ってきやしない。」と娘にこぼし、娘をまた芋掘りに行かせた。娘は森に着くと、トラに出会った。そして、うわさと同じように鍬を穴へ落として言った。「誰か、私の鍬を取ってきてください。ご恩返しはいたします。」トラは鍬を取ってきて娘に返してやり、またウジを取ってもらった。「娘さんよ、わしの頭はくさいかい?それともいいにおい?」娘は答えた。「すごくくさいよ。。」トラは籠に金銀を入れてやるといって、娘の籠につめものをして娘に渡した。「これを家に持って帰り、家中の戸を閉めて、家族みんなで中を見るんじゃよ。」娘が家に着くと、母親は大喜び。家族みんなを集めて、家中の戸を閉め、籠を開けた。すると中からコブラがたくさん出てきてみんなを噛み、みんなは死んでしまったんだって。
切り株にくっついたうさぎ
(子どものためのカンボジア昔話集7 より) NO11(2004)掲載    
  むかしむかし、一匹のうさぎがいた。ある日、うさぎはえさを探して歩いていた。すると、今切られたばかりの木の切り株があったので、ちょっと一休みすることにした。切り株は樹液がたくさん出ていてべとべとだったが、うさぎはそこに腰かけた。すると、樹液がべっとりくっついて、お尻も足も取れなくなってしまった。うさぎがもがいていると、一頭の子ゾウがやってきて、切り株のそばの池の水を飲もうとしていた。
  うさぎはなんとか切り株からはなれられないものかと考えをめぐらし、知恵を働かせた。うさぎはあることを思いつき、子ゾウに声をかけた。「おいそこの子ゾウ、ここの水は飲むんじゃないぞ。ここの水は、神様がおいらに守るように言われたんだ。」子ゾウは水が飲めなくなり、家へ帰って母ゾウにこのことを話した。「かぁちゃん、さっき池の水を飲みに行ったら、なんか小さなやつが切り株に座っていてぼくに水を飲ませてくれないんだ。神様の使いなんだってさ。でもぼく、のどがかわいたよー。」
  母ゾウはこれを聞き、怒って子ゾウをつれて池まで行った。すると、さっきと同じようにうさぎが切り株に座っていた。母ゾウはうさぎに向かって叫んだ。「ちょっと、このいじわるうさぎ。いったいどこからやってきてそんなとこに座ってるのよ。なんの権限があってうちの子に水をのませないのさ。頭ふみつぶしてやるわよ!」うさぎは答えた。「なんだよ、よくそんな口がきけるね。ここの水は神様がおいらをつかわして、守るようにおっしゃったんだよ。」
  母ゾウは怒って、長い鼻をうさぎの体にぐるっとまきつけて、ひっぱった。するとうさぎの体は切り株からすっととれた。母ゾウはそのままうさぎを地面にたたきつけようとした。うさぎはこわくなってあわてて叫んだ。「もしあんたがおいらを投げ飛ばして死なせようとするなら、下へは投げないことだね。下へ投げてもおいらは死なないよ。上へ放り投げてみなよ。そうすればおいら死んでしまうからさ。」母ゾウはそうか、そうかとうさぎの言うとおり、うさぎを上へ放り投げた。うさぎは投げ出され、地面に降りてくると、そのまま森へすたこら逃げて行ったって。
蚊はどうして生まれたか?
(こどものための昔話集
4より)NO10(2004)掲載

むかしむかし、シヴァ神が世界をつくり、この世の中の全ての生き物をつくった。その生き物の中でも一番最初につくられたのは蚊だったんだって。そのとき蚊はとても大きな体をしていた。鷲よりも大きいくらいだった。いつも空を飛んで、地上を歩いている人間をねらっていたんだ。蚊の餌食になると血も肉も残らず食われてしまい、骨だけしか残らなかった。人々は蚊から身を守るにはどうすればよいのかわからず、毎晩交代でいけにえをささげることにしていたんだ。いけにえの順番が近づいてくると、人々は嘆き悲しんだ。
  その村には一軒お金持ちの家があり、そこには一人娘がいた。彼女はかしこく、とても機転のきく聡明な子だった。村の人が交代でいけにえになるのを哀れに思った彼女は考えた。「もし私が村の人たちを救う方法を考えなければ、村の人はみんな蚊にたべられてしまって、村には人がいなくなってしまう・‥。」こう思った彼女は両親に言った。「私の身を蚊に捧げようと思います。」こんな突拍子もない申し出を受け、両親は怒りを爆発させていった。「おまえは何を言ってるんだ!みんな死ぬのをいやがっているというのに、なんでおまえは死にたがるんだ。」両親はいくら言っても聞こうとしない娘に言葉も失い、「親の言うことも聞かずにそんなに死にたいなら死んでしまえ!」と言って、とうとう娘を追い出した。  これを聞いて娘は悲しむどころかほっとし、いけにえにされた人のところへ出かけた。「助かりたいのなら、私の言うとおりにしてみて。きっと助けてあげる。まずみんなで枯れ葉を集めてくるの。たくさんね。そして、蚊がきたらそれを燃やすの。私達がその煙の中に入ったら蚊は中へ入ってこれないわ。」娘の言うことを聞き、みんなでやってみることにした。夜になっていつものように蚊が人間を食いにゃってくるとみんなはすかさず枯れ葉を燃ゃし、もうもうと立ち上る煙の中へ逃げ込んだ。蚊は煙にはばまれて人間のそばへ行くことができなくなってしまった。
  困った蚊は集まって相談した。「このままだとこれから人間を食べられなくなってしまうんじゃないか。火をこんなにたかれてしまうとどうしようもないぞ。こうなったらシヴァ神にお願いして、我々の体を小さくしてもらおう。人に気づかれずかみつくことができるようにな。」蚊たちは相談を終えると、シヴァ神のところへ行った。シヴァ神は蚊のこうした願いを聞き入れ、体を小さくしてやった。そう、こうして蚊は今の大きさになったというわけ。蚊たちはシヴァ神にお礼をいって村へ戻り、人間を探してはかみついた。でも小さくなった蚊を人々は恐れなくなり、蚊がくると手でたたくようになった。人々はたいそう喜んだ。もう蚊も怖くないもんね。
  
またまた困った蚊たちは相談した。「今度は人間が我々を殺そうとするようになったぞ。このままじゃ人間をかむこともできないし、我々は滅びてしまう…。もう一度シヴァ神にお願いして、ロを針みたいに鋭くしてもらおう。そうすれば素早く、気づかれず人にかみつくことができるぞ。」蚊たちはまたシヴァ神のところへ行き、口を針のようにしてもらった。こうして今のように小さく、針のような口を持った蚊がうまれたんだ。それからも蚊たちは昼となく夜となく、人に気づかれないようにかみついている。こうしている間にも…。

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2005 Copyright by FCC and MURAKAMI TOSHIAKI(CCSNW) 監修 村上敏明 TOPへ戻る