Optic Hiker 25X100
昨年久しぶりに暗い夜空の天の川を見る機会がありました。ふだん見慣れている自宅横浜の空とはまるで違う夜空で、肉眼でもはっきり天の川の存在がわかることに久々の感動を覚えました。5Cm双眼鏡で天の川の一番濃くなった部分を流していると最初に飛び込んできたのがM22球状星団でした。思わずその大きさにびっくりしました。というのも自宅では望遠鏡を使って透明度の良い日にやっとボーっとした姿が確認できる程度だからです。その後M8などメジャーな天体や銀河の暗黒部などを眺めているうち5Cmでこれだけ見えるのだからもっと大きな口径なら更なる感動が得られるのではないかという思いが湧き上がるのは誰でも当然のことといえます。
Optic Hiker 25X100の存在は以前から知っていましたが大口径双眼鏡にはそれほど興味もありませんでした。しかしこの時を境にして俄然大口径が欲しくなり天文誌の広告をまじめに調べはじめました。宮内やFUJINON,VIXENなどは高価なので初めから対象外で、中国製と思われるOptic
Hiker 25X100とCelestron SkyMaster25X100が候補となりました。このクラスの双眼鏡では破格の値段でどちらも販売価格は同じ39800−ですがOptic
Hikerの方は専用アルミトランクが付いています。Celestronのブランド名をとるかアルミトランクのおまけをとるかというところですが、SkyMasterとOptic
Hiker は広告写真では殆んど同じで唯一センター軸のキャップの色が違うだけでしたので、実際販売店に確認したところどちらも中国製で光学系はまったく同じものということでした。(実物を比べたことはないのですが写真ではボディーも同じと思えます)性能が同じなら当然後者を取ることになります。
電話注文すると2〜3日で丁寧に二重梱包されたダンボールが届きました。さっそく開梱するとまずその大きさと重さにビックリ!想像はしていましたがかなりの大物です。
アルミトランクは比較的丈夫そうでこの4.5Kgの双眼鏡を運ぶには十分です。中は双眼鏡の型をくりぬいた固めのスポンジが張り詰められており十分な緩衝効果がありそうです。
双眼鏡本体は通常のポロプリズム型双眼鏡をそのまま大きくした感じですが、左右の鏡筒を繋ぐ中心軸シャフトが対物レンズ枠まで延長されていて光軸が狂いにくい構造になっています。このシャフトに三脚取り付け用の鉄棒が付いていてスライドさせることによって前後のバランスをとるようになっています。
目幅調節は通常の双眼鏡と同じように左右の鏡筒を折りたたむ構造ですが感触はかなり重く感じられます。重量が重いので自重で動かないようにするためには仕方の無いことかも知れません。この重さは一応調整はできます。5Cm双眼鏡と比べるとその大きさが分ると思います。

対物キャップを外すと一応マルチコートされたレンズが緑、マゼンタ、青の反射光を放ちます。しかし緑の反射光が強く透過率アップを狙ったコーティングに一抹の疑問を持ちます。SMCで定評のあるPENTAX75EDHFのマルチコートと比べると、PENTAXは反射光が気にならずレンズ奥がスカット見えるのに対して、これは緑の反射光が強すぎて内部がはっきり見えません(この値段でここまで要求してはいけないですよね)。よく見ると内部には遮光環が1枚入っていて筒壁はネジ切り加工し黒塗りされています。アイピースの方もマルチコートされているようで、フォーカスは左右のアイピースを独立して調整するIF方式です。鏡筒はプリズムハウジングまで一体構造のようで、プリズムは調整後固定枠にセメント固定され、固定枠は押し引きネジによる調整機構が設けられています。更にクロームメッキされたプリズムカバーにはゴムパッキンが入っており防塵/防滴処理がなされ光学製品のつぼは一応おさえているといった感じです。
中国製ということであまり期待はしていなかったのですが、全体的に高級感は無いものの一時期の中国製品のイメージは払拭されているようです。唯一気になるのは今までの中国製品に良く見られるのですがネジの作り(材質?)が粗雑で+ネジの山がつぶれかけていました。



さて、見え味ですが、VIDEO三脚に付けて昼間の景色を見るとアクロマート特有の青と黄色の収差が明るい対象物の稜線ではっきり分かります。見かけ視界はスペックから逆算すると約75度ですが実際は60度超と感じます。裸眼ではゴム見口にピッタリつけると全視野が見渡せますが、眼鏡をかけたままですとゴム見口を折り返しても全視野を見渡せません。視野中心より60%付近から糸巻き状の湾曲が少し発生します。左右の光軸は良く合っています。
夜を待って西の空に傾きかけている木星を見るとやはり青色の収差が気になります。4大衛星ははっきり見えるものの本体の縞模様ははっきりしません。次に月を見ると輪郭部は青く色づきますがクレーターではあまり気にならず迫力の方が勝ります。(結構楽しめそうで一安心?)
星空はどうか、まず感じたのはすごい!(ちょっとオーバーです) 勿論5Cm双眼鏡と比べてですが横浜の空でもこれだけの星が見えるのかという感じです。M8干潟星雲をみると散開星団NGC6530のバックにうっすらと白っぽくボーっとした姿に濃淡があることが分かります。さすがに明るい1等星などでは青色収差が認められますがそれ以外では殆んど気になりません。同口径の望遠鏡がないので口径の近いPENTAX75EDHFに20mmのアイピースを付けて同じ25倍で比べて見るとPENTAXの方がおとなしいという感じでOptic Hikerの方は良くいうと星が輝いて見える感じがします。
星を観察するというより鑑賞するにはこちらの方が楽しそうです。この大口径双眼鏡の魅力は色収差がどうのこうのということなどこの迫力の前ではどうでも良いことと感じています。まだ暗い場所に持ち出す機会が無いのですが早く満天の星空でスカイサーフを楽しみたいと思っています。
最後に一つだけ・・・直視タイプなので傾斜型フォークマウントに付けても天頂付近は想像以上に辛く45度対空接眼であったら言うこと無しです。