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仕組みと思いやり

 バンドネオン (以下 BN) の奏者はもとより、BN を既に所持されている方など先ず、蝶ネジを外し、中を覗かれたことがあると思います。如何でしょうか?

 BN の仕組みは、蛇腹と蛇腹フレーム (木枠) を一体にした "蛇腹部" と心臓部と言われるリードやボタンレバーなどコントロール部分左右2組 (以下 "R.C.機構")、それを囲む上蓋 "カバー"左右2組 (ベルト、手乗台など付き) 以上5つの部分で構成され、各部を蝶ネジ (右4本、左3本) で取り付け組み立てられています。


上の写真をクリックすると拡大されます。

 BN の最も重要な部分を成す R.C.機構は、木製のマウンティングボード (以下 台板) の厚さが僅か4ミリ程で、その上にリードボード (以下 R.ボード) やその取り付けホルダなどが組まれ、その裏面にはボタンやレバーコントロール部など所狭しと組み込まれています。このR.C.機構の重さが右手側 約1kg 強、 左手側 約1.4kg強 (数値は、1930年代製の "AA" 亜鉛 R.ボード) で、きゃしゃな造りの割に重く、取り扱いには充分注意を要するデリケートな部分でもあり、又、この台板は別に気密壁の重要な役目も担っています。

 自己点検や何らか手を加える必要が生じ、BN の開閉 (蛇腹の伸縮に非ず) は、幾度か経験されたことと思います。経験の浅い方は、こちら をクリック。それぞれ馴れた方法で進められていると思いますが、よく見かける R.C.機構のむき出しの取り扱いは極力避け、カバー内の切り溝に収めた状態で扱いたいものです。安全面だけでなく扱いやすくもあり、むき出しの作業などは、ボタン側を痛めたり、不用意に台板を痛めることもあります。ボタン側になんらか手を加える時は、カバーを外すことになりますが、R.ボードホルダの立ち上がり部分を下向きにして置き、安定した状態で扱います。

 作業を終えて、閉じるには、開く手順の逆になります。蝶ネジは、工具などを使った締め過ぎをしないように注意します。度々このような締め過ぎを繰り返していると、蝶ネジ対の、めネジ部分 (写真参照 こちら) が変形したり、取り付けの小さな木ネジが浮き上がったり、蛇腹フレーム木部が破損する危険性もあります。締め過ぎによる、めネジ部分の浮き上がりで、空気漏れを起こした BN の手直しを何度かしたこともあります。蛇腹フレーム断面に貼られたレザーガスケットが平面を保ち、それぞれ整合していれば、指先締めのトルクで充分気密性を保つことが出来ると思います (蛇腹を引いて吸引、押して圧接の相乗効果もあり)。錆びによって、蝶ネジの回りが硬い時は、ワイヤブラシ等で、擦り磨き、少しの潤滑油塗布などで軽くなることがあります。又、左右の蝶ネジをそれぞれ合いそうなネジに変えることで回りが軽くなることもあり、手締めが しやすくなると思います。もともと、この蝶ネジは、頭の部分の形状からしても指先の操作即応性や突起部によるガードも考慮して技術者が設計したのではないかと私は思っています。
 
 BN の調律依頼を受け、奏者の宿泊している所やコンサート会場などに道具を持って出かけたことがあります。奏者は無造作にカバーを外し、ボタンを押してジェスチャーで調律箇所を示していました。カバーを外さずとも位置関係の認識は当然のことながら、調律にかかる際、カバーのボタン穴に誘い込むのにもちょっと面倒な手間を要しました。

※ 本ホームページで取り上げている BN は、71ボタン (右 38、左 33) 標準のバンドネオンについて記しております。

関連:調律の功罪

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