「Crispy!」から4作続いた笹路正徳プロデュースを離れて再びセルフに戻った8枚目。内容的には、
それまでのスピッツのオイシイところを総ざらえという感じで、加えて名曲・佳曲連発のこのアルバム。スピッツの最高傑作の1つと言っていいかもしれません。
小品「エトランゼ」に続いて力強いギターリフが鳴り響き、「センチメンタル」で本格的にこのアルバムは幕を開けるが、これがいきなりカッコいい。
「惑星のかけら」再来を思わせるハードなギターサウンドとマサムネのボーカルの「素晴らしきミスマッチ」は、幻想的だったり切ない歌詞と普遍的なメロディーの中に、
それらと相反する毒を併せ持つスピッツのデビュー以来の魅力を凝縮している。7曲目「スーパーノヴァ」でもHRバンド顔負けのヘヴィな演奏を聴かせる。この辺は前作
「インディゴ地平線」の延長線上にあるのかもしれない。
一方で「冷たい頬」「仲良し」では、これまた初期からの一つの要素であったフォーキー
な一面が復活。素朴だけど心に響く、マサムネのメロディの良質さが際立つ。5拍子の「ただ春を待つ」は一聴すると「ヘンな曲」だがこれもまた初期スピッツっぽい。
「スピッツ」や「名前をつけてやる」に入っていてもおかしくない曲である。「ロビンソン」あたりのチャート的なポップさは「運命の人」「スカーレット」に集約されている。
無難ではあるが実にスピッツらしい2曲。
また、意外にもコテコテのバラードが少ないスピッツだけど、6曲目「楓」はスピッツ・バラードの代表曲になりそうな名曲。アレンジ、
歌詞、メロディーの切なさがマサムネのボーカルにこの上なく合っている。そして名曲揃いのこのアルバムの中でも、最も好きなのが9曲目「謝々!」だ。
「チェリー」に通じる前向きで等身大のメッセージと、リラックスした空気感のサウンド、ゴスペルコーラス全てが心に染みてくる。投げやりになってしまいそうな時や、
何かに苛立っている時に聴くと非常に癒される気がする一曲である。
ラストの「フェイクファー」は、「少しだけで変わると思っていた」「たとえ全てがウソであっても それでいいと」と、
それまでのスピッツの世界を包み込むようなフレーズで始まって、「今から箱の外へ 二人は箱の外へ」とこれからのスピッツを示唆するようなフレーズで終わる
感慨深い一曲。と思いきや最後「未来と別の世界見つけた そんな気がした」と曖昧に締め括るのもスピッツらしい。
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