Bangladesh 砒素汚染 を考える

 

「バングラデッシュの砒素汚染問題」の問題を取り上げる理由

- Please refer the under-mentioned column for English version -

 

【 貧困と砒素問題 】

[ 貧困 ]

理由の第一は世界最貧国という事です。

国連の基準で最貧国として「後発開発途上国」に指定されています。

 

バングラデシュは1947年まで英国の植民地としてインドの一部であり、約300年に亘り英国の収奪を受けて来ました。

1971年までは、インドより分離独立したパキスタンの一部となりましたが、同国の経済発展に取り残された地域でありました。

いまも、毎年モンスーン・洪水被害を受け経済的に自立するには、程遠い状況にあるということです。

 

貧困問題は、経済問題であり、問題解決には自助努力こそが重要との意見もあります。しかし、その日を生きる事にぎりぎりの状況で、その上健康被害で、善悪の判断は勿論、自助努力の意思さえもそがれ様としています。貧困は、20世紀から引きずってきた課題であり、テロの温床でもあり、このまま放置できないからです。

 

[ 砒素問題 ]

その貧しい国で、国民の半数近くに砒素による健康被害があるというのが第二の理由です。

1)

なぜ砒素問題が発生したのか、正確な理由が未だつかめていない。

2)

農業国ですので、農業灌漑用に全国各地に多数の井戸が掘られ、その井戸から汲み上げられる水に砒素が混入。その結果砒素中毒にかかる。

3)

この砒素中毒は慢性の場合、悪性腫瘍・砒素角化症・色素沈着等発症。暴露期間が長い場合は、暴露が終わってからでも、10年−20年後に発症。

砒素がDNAを合成する酵素を阻害すると言われ、発ガンの可能性も少なくない。

一方、砒素のない水が供給されれば、少なくとも、症状の悪化には歯止めが懸かるという事例が報告されています。

 

[ 地域的対応 → 国際的対応 ]

砒素問題は、バングラデッシュで問題として取り上げられましたが、必ずしもバングラデッシュだけの問題ではなく、インド、タイ、中国、フィリピン、台湾、イラン、チリやアルゼンチン等中南米、東欧等日本を含め世界の至る所で報告されており、前回の世界水会議で、WHOもこの砒素問題を取り上げていおります。

日本では宮崎のトクロや松尾などでもこれまで問題となってきたものです。最近では千葉や茨城でも砒素問題が物議をかもしました。

 

[ 水資源 → 食料問題への波及 ]

更に、問題は水にとどまらず、稲や野菜などの農作物や家畜にも含まれているという事で、問題は広範囲に及んできます。

 

[ 砒素汚染についての補足説明 ]

1.砒素汚染の原因は自然的起源と人為的起源(時には政治的な原因)がある。

2.砒素には有機と無機があり、有機はさほど大きな問題ではありませんが、無機の砒素、特に三価の砒素と言われる物は、毒性が強い。

3.砒素は自然界の何処にでもある。

3-1 日本では水質基準として、0.01ppmが許容基準とされています。バングラデッシュは0.05ppmです。
3-2 水には砒素以外にもフッ素のような物質や塩素など様々な化学物質が溶け合っており安全性について、これらにも明確な基準が必要である。
3-3 砒素は農産物を初めとして、水産物や食物にも含まれている。

4.砒素は核やPVC等と異なり、自然界の中で循環する物質である。

 

【 結論 】

1)

以上からお解り入頂けるように、人口・食料・水不足等の環境問題との関連で、安全な水の確保が二十一世紀の重要な課題という事になります。

2)

実は、バングラデッシュの砒素汚染問題は、つまりは安全な水の確保であり、テロ問題に結びつく貧困の問題であり、遠くの国の問題だけではなく、私たちの問題でもあったということです。

3)

唯、私はこの悲惨な問題が、非常に貧しいバングラデッシュで現実に起こっているという事態を見過ごすことが出来ない訳です。

4)

特に問題は、問題が問題として認識されていないと言う事でもあります。

 

 

問題は、経済的に苦しく、

成人の識字率も40%以下の状況にある国が

砒素汚染に苦しんでいると言う事です。

そうした意味で、一人でも多くの方がこの問題に関心を持っていただけることを期待するものですが、私個人と致しましては、特に人道主義の観点から一人でも多くの方のご賛同頂ければ幸いに思う次第です。

 

【 砒素汚染問題の経緯 】

何故このような事になったのか、正確な理由は未だつてつかめていませんが、切っ掛けは次のような事です

1971年 独立当時 川や沼の地表水を飲用  コレラや赤痢などの消化器系伝染病が多発
1970年代〜1980年代 UNICEFは大規模な安全な飲み水確保のプロジェクトを遂行。全国にわたり村落地帯に、多くの井戸を作った
緑の革命 従来、稲作はモンスーン期のみだったのが、1967・8年の大干ばつに端を発する「緑の革命」の影響もあり、乾季の間も灌漑用に地下水を汲み上げ年間三毛作をするようになる。

この結果、地下水の水位が低下し、高濃度の砒素を含む地層から、砒素が地下水に溶出するようになり砒素汚染が深刻化してきたと考えられて来ている。

乾季のガンジス河断流 インド国境に接して建設されたファラッカダムが乾季にガンジス河の水を全てインド国内のフグリ河に送水する。この為バングラディッシュのガンジス河本流は断流に近い状態になる。

この影響で1976年から94年の18年間で地下水位が18フィート低下した。

広域に亘る砒素汚染の原因が特定されていない 地下の還元性の環境下にある硫化鉄が、空気中の酸素に触れ酸化現象を起こすことがある。この事から、硫化鉄の酸化による砒素の遊離が考えられるが、実際にここでの地下水はアルカリ性で、硫化鉄の酸化現象では説明がつかない。

バングラディッシュには、河川を原水とする水道はなく、都会の水道水も地下水である。砒素を含む水流や地層が何処か特定できていない。

 

【 砒素中毒の症状 】

砒素は、経口・吸引・経皮(粘膜)により、体内に入ってくる。中毒の症状は急性と慢性では異なる。

慢性砒素中毒も皮膚・粘膜障害全身症状、呼吸器障害、腎障害、末梢神経障害、消化器系統、循環器系統に表れるとされているが、色素沈着、色素脱失、角化症、腫瘍、皮膚潰瘍の症状が多く見られる。

数年から数十年に亘って汚染されつづけた場合、砒素による症状は、遺伝性が無く、感染性も無いとされているが、砒素汚染がなくなってから後、数年から数十年後に発病することがある。また、各臓器の発ガンの可能性も指摘されている。

 

【 砒素汚染被害の拡大状況 】

調査が進めば進むほど、被害の状況は拡大しています。

1983年 最初の被害報告
1987年 1,214人
1994年 175,000人
1995年 200,000人
1997年 5千万人
2003年 8千万人

更に、問題は水にとどまらず、稲作や野菜などの農作物、家畜にも含まれているという事で、問題は広範囲に及んでいます。

 

【 砒素汚染問題への取り組み 】

現状

@安心な水の供給に向けて

 現地の人々と協力して、地表水を飲料水として使えるよう、熱処理装置の開発と製造に努めるべく現在テストプラントを企画中

A灌漑用水を飲料水に

全国規模に拡大する為の手段として、貯水池などのを検討中

 

【 砒素汚染問題の具体的対応をめぐって 】

佐々木代表が東北大学同窓会会報へ記事を掲載。

                

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