続・ミオパチー??


以前このコーナーで「先天性ミオパチー」についてその症状や日常のエピソードを書いた。
自分では「View」の中でも一番ウケない話だろうと思いながら書いたのに、予想に反して多くの方からメールやカキコを頂いた。
おかげで何人もの同病の方たちと巡り会うきっかけともなり、改めてネットの力を感じている。
この病気について情報発信している様々なサイトを見ているうちに、まだ広く聞き慣れないこの病について情報を求めている方がたくさんおられることを知り、前述のコラムで割愛した話なども含めてもう少し書き足してみたくなった。
…ンなわけで今回はその続編=「…他にもこんなことがあンのよ」というお話。

「ミオパチー」が全身性の筋肉の病気であることは前回書いたとおり。とにかく力が弱い。
といっても生まれつきの症状なので私自身は「自分が他の人より弱い」というより「他の人がみんな強すぎ」という感覚だ。ミオパチー関連サイトで同病の方が「周囲の人が皆、オリンピック選手に見える」と話していたが、ホントそんな感じ。
う〜ん、言い得て妙…(^^;。

もう少し具体的に話そう。
筋力が弱いと、まず寒い時が大変…。
フツーの人でも寒いと指がかじかんだりするが、私の場合、もう全く指が動かなくなる。
こうなると鉛筆も箸も持てない。トイレもできない。
11月〜4月くらいまでの間、外出する時は厚手の手袋の中にほかほかカイロを忍ばせるのがお決まりのスタイルとなっている。

中学の頃、冬の朝は学校に着くとまず別室で洗面器にお湯を張ってもらい、しばらく手をつけて温めた。
10分くらいでジワ〜〜〜ッと感覚が戻ってくる。それから教室へ…。
室内はまだいい。初めての冬の遠足は地獄だった。
トイレへ行っても寒さで指が動かず“引っ張り出せない”のだ…(X_X)(;_;)(T_T)。
(何を?って聞くな…)
↑やむなく養護担当の先生に手伝ってもらった。
皆で外で弁当を食べる時も、ホットの缶コーヒーを買ってしばらく握って指を温める。
で、食べ始めるのは皆が食べ終わった頃…。
少々行動が遅れても気にしないマイペースな人間でよかった、ホント(^.^)v。

首の力も弱いので、頭をしっかりと支えられない。
静かに座っている時は首もかろうじて座っているが、例えば上向きに寝ている時、両手を引っ張って起こしてもらうとその間、頭が後ろにダラ〜〜〜〜ン…。どんなに頑張っても頭を持ち上げることができない。
これで車に乗ると、信号が青になって発進するたびに頭が後ろにガクン…。
車の加速Gに耐えられないのだ。
急カーブを切るたびに首だけでなく身体にも緊張が走る。身体を支える腰や背中にかなりの遠心力Gを感じるため。
昔バンドの仲間たちと練習のため静かな山奥の空き家まで合宿に行ったことがある。 メンバーの車に同乗して行ったのだが、途中、曲がりくねった山道で荒っぽくカーブを切られるたびに何度も車の中で転がり、目的地に着いた頃には疲れ果てて楽器の練習どころではなかった…(@_@;)&(--〆)★。
首の筋力の弱さはミオパチー患者にほぼ共通の症状のようなので「自分の赤ちゃんがいつまで経っても首が座らない」という方は、一度、神経内科で診てもらうことをお勧めしたい。

指、首ときて次は顔…。 子供の頃からいつも口がポカンと開いていた。
別に「鼻づまりのため口で呼吸したかったから…」などというわけではなく、いま思えば口の筋力が弱かったのだろう。周囲の大人たちからよく「ちゃんと口を閉じてなさい!!ますますバカに見えるわよ…」などとシツレイなことをよく言われたが、自分でも少し気を抜くといつの間にか「ポカ〜ン」なのだ。

瞼(まぶた)についても同じ。
まばたきする程度には今のところ支障はないが、夜ベッドに入っても、よほど眠くないと(疲れていないと)瞼がしっかり閉じられない。いつの間にか“薄目が開いてる”という状態になる。
(それでもちゃんと眠ってるからフシギ…Y(^^))
前述のコラムで国立刀根山病院を受診したことを書いたが、そこでの問診で副院長に「両目を思いっきり閉じてみて」と言われた。
僕が言われたとおりにすると、副院長は隣にいた父に「見てください。息子さん、どんなに目を閉じてもまつ毛が隠れないでしょう」と言って確認させた。
健康な人の場合、両目を思いっきり閉じるとまつ毛が上下の瞼の奥深く食い込むように隠れてしまうというのだ。
ちょうど太っている人の三段腹には出ベソすら隠れて見えなくなるような状態…。
「試しにお父さん、目を閉じてみてください…」
副院長の言葉に父が同じことをすると、やはりまつ毛がちゃんと隠れてしまう。
(皆さんもペアで試してみて→(>_<))
なるほど、私は瞼の力も弱かったのだ…。

ヒトの顔面には口を動かしたり、「まばたき」したり、鼻の穴を広げる筋肉以外に、表情を生み出す「表情筋」が縦横に走っている。
(人間ほど表情筋の発達した動物は他にはない。表情豊かにニコニコしているイヌや、薄ら笑いを浮かべてるネコは見たことがない…)
で、私はやっぱり顔の筋力全体が弱いため表情にも乏しい。
皆で写真を撮るとき、ピースして笑顔で撮ってるつもりなのに私だけが相手を睨みつけるような眼光を放っている。
“ヨン様の微笑み”とまではいかなくても、写真を撮る時くらいはもう少し優しい笑顔を見せられたらなぁと思ったりする…('-'*)。
子供の頃から写真はキライ(-"-;)…。

呼吸筋が弱いため声量が無いことも前回書いた。
例えば友達とアホな話をしてて、気持ちは「ガッハッハッハッ…」と大爆笑してるのに声が出てない。
せいぜい「ふはは…」、後はニヤニヤだけが残る。(←顔だけは不完全ながら笑ってる状態(~_~;))
腹の底から豪快に大笑いできる人にめっちゃ憧れる。

まだ郵便局に勤めていた頃、お客様からの電話には次のように応対するよう指導を受けた。
「ありがとうございます、○○○郵便局○○○課、○○です…」
毎回これを一息で言うのが大変だった。もちろん“ピザ屋の店員”のような早口ではいけない。
デスクの電話が鳴ると緊張が走る。受話器を取る前に大きく息を吸って、己に気合を入れて…。
でもそのうち、ゆったりとした口調で応対する方が逆に自然なタイミングで息継ぎしながら話せることを見つけた。
時には「落ち着いた、いい応対だね…」などと思いがけず褒められたり…。
コチとら、決して余裕があっての所為ではないのだが(^^;。
ま、結果ヨければすべてヨシ!?ということで…。

口については筋力の弱さだけではない。アゴの筋肉が拘縮しているために口が十分に開かないのだ。
どんなに口を大きく開いても果物のイチゴひとつが入らない程しか開かない。。。食べる時は無理やりネジ込む。
ギョーザはすんなり入る。
シューマイは無理やりネジ込む。
フランクフルトも無理やりネジ込む。
歯ブラシも無理やりネジ込む。
歯医者では先生が器具を無理やりネジ込む。
お寿司はネタとシャリを別々にネジ込む。
ビッグマックは上と下を別々に分けてネジ込む。→ビッグマックがただのハンバーガー二つになる。
食パンは六枚切りより厚いものは食べない(^v^)。

先の副院長の話だと、この病気の患者には「高口蓋」も特徴的に多いそうだ。
「コウコウガイ?…ナンデスカ、ソレハ?」
「口蓋」とは口の奥の上あごの部分、つまり「ノドちんこ」がぶら下がっているエリアのこと。
ここの天井(?)が普通より高くなるというもので、必要以上にのどの奥の空間が広くなり、食べ物の飲み込みがうまくいかなかったり鼻への逆流が起こりやすくなるとか。
私もやはり口蓋が少し高いらしい。

ミオパチーと関連があるのかないのか、私には前歯が噛み合わない「開咬」という骨格的な症状もある。
上下の歯を咬み合わせた時、奥歯は咬んでいても横や前の歯が咬み合わずに開いている(隙間がある)という状態だ。
前歯が咬み合わないとどうなるか?
例えば…
サンドイッチにかぶりつく。→中のハムやキュウリだけが噛み切れずに抜けてくる。
ハンバーガーにかぶりつく。→中のピクルスやレタスだけが噛み切れずに抜けてくる。
アツアツおでんのゴボ天にかぶりつく。→中のゴボウだけが噛み切れずに抜けてくる。
アツアツおでんのコンニャクにかぶりつく。→噛み切れずにヤケドする。(★*π*)★
焼きトウモロコシにかぶりつく。→実が一列だけ噛み切れず芯に残る。
ピザにかぶりつく。→トッピングのトマト、ピーマン、ベーコンが・・・もうエエって…?
失礼シマシタ(^_^;)ゞ
でもこういうの、例えば女の子と食事したりする時なんかめっちゃ気ぃ使うんよ。
(そんなシチュエーション、滅多にないんやけど…(++))
ミオパチーに多いとされる下アゴの発育不全や面長ヅラとも関連があるのかも知れない。

前述のコラムで「首の筋がめちゃくちゃ張ってて、うつむくことができない」ことを書いたが、これは筋肉の拘縮のため。
首筋が張ってると、うつむくだけでなく左右に向ける時にもかなり制限が生まれる。
店のカウンターなんかで食事してると、横にいる友達の顔がまともに見れないのだ。
騒がしい店だと声が小さくて届かないことも手伝って、自分からはほとんど話しかけなくなる。
友達とメシ食う時は静かな店&小さなテーブルで対面(トイメン)…これに限る。

筋肉の拘縮と言えば子供の頃、ひざの拘縮を食い止めるために鉄製の装具を足に履かされた時期があった。
毎日一時間くらい、太ももから先すべてをロボコップのフレームのようなもので包み、曲がったひざを無理やり伸ばした状態で固定する。
これが痛くて堪らなかった。装着して10分もするともう、痛みで足が痺れてくる。
こうすることで両親は曲がったひざがまた伸びると信じていたようだが、今の医学ならこんなことはさせなかっただろう。
動かし続けることは大事だが無理な力を加えると逆効果…というのがミオパチーに対する今の医学の捉え方のようだ。

4年ほど前の入院でお腹に胃ロウ(栄養剤点滴用の受け口)を設ける手術をした。
術後、一ヶ月ほどベッドで寝たきり安静の状態が続いた。
その間に股関節などの拘縮が進み、それまでできていた「胡座(あぐら)」がかけなくなっていた。
以来、椅子にしか座れず、外食する時に座敷部屋が使えなくなってしまったのだ。
少し気を抜くと拘縮は簡単に進み、もう元には戻せない。
この病気に無理な運動はよくないが、動かし続けることがどれほど大切なことかもわかった。

ところで筋肉系の病気では筋力の低下・拘縮だけでなく、筋肉組織そのものが徐々に変質・脂肪化してしまう「脂肪変性」という現象が起きるらしい。
私の身体でも至るところで変性が起こっているようで、CT映像を見ると腹筋や背筋はもうほとんど無い。
筋肉だけでなく皮膚についても、見た目には分からないが少しフツーじゃないように思う。
例えばよく「ツラの皮が厚い…」などというが、普通は柔らかいはずの頬っぺたなどがケッコウ硬くて摘まめない。
で、逆に普通は硬いはずの部位が柔らかかったりする。
妊娠初期の段階で皮膚の形成情報が少しずつズレたまま成長…てなワケでもないかなぁ。。。ようワカランけど。

でも、生物の身体には不思議なことが起こる。
前に胃ロウの件で一度だけお腹を切開した時、レーザーメスを使ったにも関わらずすごい出血があった。
切開しながら「こんな組織、見たことない」と担当の外科医が驚いていたが、変性した腹筋の代わりに他の組織がクッションの役割を果たすまで変化したのかも…みたいな話を後で聞いた。
僕のような身体を研究すれば、まだまだ類する病気の治療に役立つ何か新しい発見があるかもしれない。

また長話になった。前のコラムで割愛した話を掘り出して並べたので、一般の方にはますますウケない話になったかもね。
それでもメゲずに「ミオパチー??外伝」へと続く。。。のダ(^^)!

 
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