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2004年12月6日(月)
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2004年11月30日〜12月4日(土)
5日ぶりでございます。実は来年の春に出版される予定の本に論文を収録していただけることになってまして、かなり気合を入れて書いていました。で、1日の締め切りに論文を提出したら途端に気が抜けてしまって、さらに最近のはっきりしない天候もあって体調を崩してしまいました。水曜日の朝は一度持ち直してたんですが、鈴蘭台駅から女子大へと続く坂道を息を切らせて登り、講義プリントを輪転機で印刷していると汗を思いっ切りかいてしまって、講義が終わって塾バイトに行った時にはまた微熱が。その後ずっと微熱が続いて今日に至ると。そういう葛根湯が欠かせない5日間でございます。

今週の講義では、紀宮さんの婚約と秋篠宮さんの発言をきっかけとして、「聖なる差別」について僕なりの意見を話してみた。誰が何と言おうと天皇制はやっぱり「聖なる差別」やと僕は思う。先週の『たかじんのそこまで言って委員会』でも天皇制のことが話されていたんやが、確かに田島陽子の「あの人たちは税金でご飯を食べている」という趣旨の発言はずれていると思ったけども、鴻池議員の「天皇制は日本の国柄だ」とか、橋下弁護士の「御公務をやって頂いている」という発言にはかなり違和感を覚えたな。「国柄」って「国体」を言い換えただけのもんやろうし、それに何であの一家に代々「やって頂いている」のか考えんのやろうか。

天皇家の人々は「国民」ではない。例えば天皇家の人々には選挙権がない。そういう意味では「知的障害者」や「寝たきり老人」といった実質的に選挙権がない人々と同じ。したがって皇室問題というのは選挙権を有している「ワタシタチ」のものであって、「カレラ」のものではない。また、当然のように職業選択の自由もない。敢えて変な書き方をするんやけれども、紀宮さんは黒田さんと結婚することによって「一般人」となれるが、天皇家の男子は誰と結婚しようが「一般人」にはなれない。天皇家に生まれた以上は、一生「聖なる者」として生きていかなければならない。

紀宮さんが婚約したことが分かった時の街頭インタビューは象徴的やった。ある主婦にマイクを向けると、彼女は「おめでとうございます。お幸せに」と答えていた。しかし、「もしあなたの息子さんや娘さんが天皇家と結婚するとしたらどうしますか」という質問をされると、「いえいえ、それには反対です」と答えていた。質問を「もし天皇家に生まれるとすればあなたはどうしますか」と変えてみても、おそらく同じような否定的な答えが返ってくることやろう。

鴻池議員や橋下弁護士に同じ質問をすれば、彼らはどのように答えるやろうか。「畏れ多くて...」とか言うかも知れんな。でもね、そういった言葉を付け加えようが、彼らだって「聖なる者」にはなりたくないとうのが本音やろう。そうであれば、自分がやりたくないことを「やって頂いている」というのはおかしいと思わんとアカンやろう。しかも世襲で。
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
これは日本国憲法第14条。天皇家の人々はこの「国民」には入っていないし、「社会的身分又は門地」によって明らかに差別されている。最近は「女性天皇」に関する議論が盛んやけれども、僕に言わせればナンセンス極まりない。元々が差別制度である天皇制に男女平等の原則を持ち込むことの意味ってあるんやろうか。

このように書くと伝統的右翼の人から文句を言われるかも知れんが、僕は何もフランス革命の時のような野蛮なことをしろと主張しているわけではない。また伝統的左翼の人が言うような「天皇制打倒運動」というのにも反対で、「天皇解放運動」をするべきだと僕はずっと主張している。「穢れたる者」というカテゴリーに押し込められている人々を解放する「部落解放運動」というのが有効なんであれば、「聖なる者」というカテゴリーに押し込められている人々を解放する「天皇解放運動」というのもまた有効やないか。差別のベクトルが下を向いているか上を向いているかが違うだけで、両方とも差別制度であることに変わりがないやろうて。

僕は昭和天皇という「人間」を尊敬している。それは、彼が自らの「戦争責任」に正面から向き合ったから。確かNHKの『映像の20世紀』シリーズやったと記憶しているんやが、その中にとても印象深い映像がある。終戦後に各地を巡幸した昭和天皇が広島を訪れた。画面には広島市民の前に立つ昭和天皇の後姿が映っているんやが、その向こう側には原爆ドームが映っていた。

原子爆弾という兵器やそれによって何十万人もの人々が命を奪われたということは、昭和天皇は既に耳にしてはったやろう。また彼の姿を見るために、彼の言葉を聞くためにやって来る人々の中には、皮膚が焼け爛れ、腕や足を無くし、そして一瞬にして家族を奪われた者もいるやろう。もし僕が彼の立場であったら、巡幸列車の窓から見える広島の姿を目にしただけで逃げ出したかもしれない。しかし、彼は広島駅に降り立った。そして原爆ドームを遠景に見やりながら、広島の人々の前に立ち、自分の言葉を伝えた。形式的なものに過ぎないかもしれない自らの戦争責任を、彼はきちんと果たしたと言えるんやないやろうか。

繰り返しになるけれども、天皇家の人々は「国民」ではない。「人間宣言」を行い、自らの責任に正面から向き合った昭和天皇も本当の意味で「人間」として扱われたとは思えない。「お世継ぎ問題」をある意味でいい機会として、本当の意味での、そして今度こそ最後の「人間宣言」を行う必要があると思う

独り言
「発言前に、せめて(天皇)陛下と内容について話をし、その上での話であるべきではないかと思っております。私としては残念に思います」


2004年11月
2004年11月28、29日(月)
28日。産経新聞の記事によれば、ラオスを訪問中の小泉首相は記者団との懇談の中で、「中国は目覚ましい経済発展を遂げている。もう卒業の時期を迎えているのではないか」とし、中国へのODAを打ち切る可能性を示した。先日ここで書いたように、26日の参議院本会議で町村外務大臣が「中国の経済発展が進む中、減少させていく。近い将来、中国がODAの卒業生になることが適当だ」と発言したが、この小泉首相の発言は、中国へのODA廃止が内閣の確認事項であるかのような印象を与えている。

一方、中国はどのような反応を示しているか。日経新聞(オンライン)の記事によれば、中国の李肇星外務大臣は27日に「中国国民は自分の知識や力だけで、国を発展させて行くことができる」と発言しており、日本からのODAが廃止されても構わないという「余裕」を見せた。つまり日本側は中国にアップをかましたつもりが、逆にアップかまされたってな感じ。

北朝鮮問題にしろ中国の経済発展にしろ、どうも日本政府は勘違いしているように思う。日本が北朝鮮と国交を回復してあげるとか、中国の経済発展を支援してあげるという意識が強いけれども、本当はその逆。北朝鮮と国交を回復したいのは日本の方。中国を経済発展させたいのも日本の方。日中国交正常化以来、ODAによって日本は中国からどれくらい稼いできたと思ってるんやろう。ODAは基本的にビジネスそのものやんか。中国にはアメリカやヨーロッパ、そして韓国やその他のアジア諸国の企業が次から次とやって来るんやから、そら別に日本企業が来なくなってもOKやろうて。別の意味で小泉外交は「サプライズ外交」やわ。

独り言
「中国国民は自分の知識や力だけで、国を発展させて行くことができる」

29日。IBLNEWSの報道によれば、ロシアを公式訪問しているベネズエラのチャベス大統領がモスクワでの記者会見の席上、「仮に(ウクライナで)の選挙が月か火星で行われたとしても、アメリカはそこまで行くだろう」と、彼らしい皮肉たっぷりの発言をした。さらに彼は「ウクライナで起こっているような危機というのは、ほとんどいつも国外からもたらされる」とも発言した。さすがはCIAによる数度のクーデター騒ぎを乗り越えてきただけのことはある。

看護大での講義が終わった後、いつものように村田先生の研究室で話しをしている時にもウクライナ大統領選挙に関する話題が出た。もちろん村田先生も、アメリカとロシアの地政学的争いがウクライナで表出しているという考えを持ってはった。それに付け加えて、ドイツとフランスを中心とするEUという新たなシステム枠組みの中においては、ドイツとフランスで「国民」が溶解していく一方、ウクライナやポーランドといったヨーロッパ「周辺国」では「国民」が創出されていくだろうという話にもなった。この場合の「国民」とは「中間層」を指すと考えてもいい。結局先進国では、発展が完了したが故に「国民」=「中間層」が解体され、逆に「途上国」では「国民」=「中間層」が創出されて国民国家が完成されていく。

そして大事なことは、この流れは相関している。ドイツとフランスの「勝ち組」は、ウクライナなどの国で「国民」=「中間層」を創出することによって利益を得る。そしてそういった国々における賃金水準に見合わないということでリストラされたドイツとフランスの「負け組」は、そのおこぼれにあずかろうと必死になる。これは日本にも当てはまることで、日本の「勝ち組」が中国で「国民」=「中間層」を創出することによって利益を得るが、中国の賃金水準に見合わないという理由でリストラされた日本の「負け組」はそのおこぼれを恵んでもらうという構図。

先日も書いたようにウクライナ大統領選挙における混乱には石油と天然ガスに絡む利権争いという側面もあるが、こうしたグローバルな規模で行われているリストラクチュアリングにも注目しないとアカンと思う。

独り言
「ウクライナで起こっているような危機というのは、ほとんどいつも国外からもたらされる。」

独り言
「・・・これまでの『中流意識』が揺らぎ始めていることが、読売新聞社の全国世論調査(13、14日実施、面接方式)でわかった。」

2004年11月25〜27日(土)
25日。読売新聞(オンライン)によると、紛争後の復興支援協力に関して、経済同友会が日本型「民軍協力(Civil Military Cooperation : CIMIC)」の枠組みを構築することを提言した。これに関する産経新聞(オンライン)の記事によれば、経済同友会の「イラク問題研究会」がまとめた意見書は、自衛隊の警護の下で民間が復興支援事業を行うことが可能となるように、自衛隊の平和維持活動に関する恒久法を制定するべきだとしている。

9月20日分の日記で「『人間の安全保障』対応部隊」がNATO内に創設されるかもしれないと書いたが、同時にそれはアメリカ統合特殊作戦軍にある「民事および心理作戦部隊」を移植するだけになるやろうとも書いた。そして経済同友会が提唱している日本型「民軍協力」体制もまた、「日本型」と銘打っていはいるものの、結局は低強度紛争戦略下における「軍による民生活動(Military Civic Action)」をコピーするだけなんやろうと思う。

1981年に刊行された低強度紛争戦略の教範FM100-20 Low Intensity Conflict には具体的な戦略概念として「国内防衛(Internal Defense)」、「国内発展(Internal Development)」、「国内防衛および発展(Internal Defense and Development)」、そして「外国国内防衛(Foreign Internal Defense)」を挙げている。そしてこの中の「国内発展」の定義をみれば、アメリカ軍が紛争と発展の関係をどのように考えているか分かる。
国内発展 社会の要求を満たす−政治的、軍事的、経済的、そして社会的な−実行力のある制度を整備することで自国の成長を促すことを目的とした、国家による一連の行動である。慎重に立案かつ実行され更に十分に宣伝されるならば、国内発展計画は一般大衆の利益に供し、反乱勢力に付け入られる隙を消し去ることができる。
この定義文と同じようなことを、経済同友会も考えているようだ。産経新聞の記事では「自民党閣僚経験者」という人物が、「同友会が、自衛隊による民間警護も含むCIMICを提言したのは、テロが多発する国・地域でこそ、復興開発支援が必要な現状を考えると『一刻も早く検討すべき課題』」であるとしている。しかしながら何度も書いてきたように、その「復興開発支援」なるものが基礎を置いているリベラル・デモクラシーこそが「テロ」を生み出しているんであって、なおかつ「一刻も早く検討すべき課題」であるのは経済同友会、つまり日本企業にとってのこと。

紛争そのもの、そして紛争後の荒廃した状況も彼らにとっては「大事な市場」。だいたい経済同友会という団体がこのような提言をすることからして、経済的利益をメインに考えているということやし。そして大事なことは、そのような経済システムの中に自分自身もどっぷりと浸かっているということ。日本の景気が良くなるんであれば、海外の「紛争」に積極的に関与して、彼の地での復興開発事業を受注するようにすればええがなって考える人が多くなるように思う。人はそれを「現実的思考」と言うのかも知れんが、自分が今食べているご飯が、他の人がご飯を食べられなくなることによって得られているのかもしれないと思えば、安易にこの提言を支持することはできんと思う。

独り言
経済同友会が戦闘終了後の「日本型民軍協力」を提唱

独り言
「同友会が、自衛隊による民間警護も含むCIMICを提言したのは、テロが多発する国・地域でこそ、復興開発支援が必要な現状を考えると『一刻も早く検討すべき課題』」

26日。月末恒例の『朝まで生テレビ』。いつものように山本一太が発言すると眠たくなるんやが、今回は司会の田原総一郎の発言に一番突っ込みたかったな。北朝鮮問題に関して、彼は「北朝鮮は日本と国交回復をしたがっている」という趣旨の発言をしとったけども、それはどうかなぁ。例えば幕末の日本が黒船を見た時、「是非ともアメリカと国交を結びたい」って思ったやろか。「何じゃそれ」と思われるかも知れんが、今の北朝鮮は幕末の日本と同じような状況やないかなと思う。日本に「開国」して欲しかったのが中国大陸進出の足がかりを得ようとしていたアメリカであったのと同じように、北朝鮮と国交を結んで欲しいのは日本の方やろう。

つまり、国交正常化に関する主導権は北朝鮮にある。「日本と国交を結ばなくてもええで。だって中国やロシアや韓国がいくらでも支援してくれるんやから」って言われたらどないするんやろう。山本一太が「経済制裁は政治的に重大なメッセージとなる」って言うとったけども、そんなもん全然ならんて。経済制裁を発動することによって日本が買わなくなる北朝鮮の物品は、恐らく中国と韓国が買うやろう。日本一国で北朝鮮に圧力をかけることが出来るなんて幻想に近い

北朝鮮問題において能動的に振舞いたいんであれば、やっぱり中国を通さんと難しいと思う。例えば何かと批判の対象となっている中国に対するODA。これを拉致被害者の救出のために使えんもんやろかなと思う。確かに中国へのODA拠出が中国の利益となるばかりで、逆に日本国民にとって不利益となっている場合が多い。自国民を路上生活に追いやっておきながら、その救済に当てるべき資金を中国へと拠出しとるんやからな。偶然にも26日にあった参議院本会議において、町村外務大臣は「中国の経済発展が進む中、減少させていく。近い将来、中国がODAの卒業生になることが適当だ」と述べたように、今後も同じような意見が強くなるかもしれない。

日本の利益にならんから廃止するというのはちょっと単純すぎへんかなと僕は考える。例えばODAの拠出額を減少させていくことを基本としながらも、拉致被害者の救出に中国の協力が得られるのであれば減額措置を保留するとか、あるいは逆にその名目で別に資金を拠出する用意があると言えばええんとちゃうやろか。北朝鮮の事実上の宗主国である中国の圧力がなければ、北朝鮮の姿勢を変えさせることはできんやろうし、拉致被害者の救出に中国が協力したという既成事実ができれば、それは中国にとっても国際的な地位向上にもなるやろう。素人考えなんやけどもねぇ...もっとも、そうした政治的駆け引きなしで、本当に人道的な観点から問題が解決されるのが一番やがな。

独り言
「中国の経済発展が進む中、減少させていく。近い将来、中国がODAの卒業生になることが適当だ」

そして今日。ウクライナ大統領選挙が大混乱しとるな。アメリカが「選挙に不正があったかもしれない」と言うとるんは軽い笑い話のようやが、毎日新聞(オンライン)の記事を読めば、コーカサス地方におけるアメリカとロシアの地政学的争いがウクライナにも及んできたと考えるべきやと思う。ロシアはシベリアで産出される天然ガスを、ウクライナを経由するパイプライン網を通じてヨーロッパに供給している。それゆえロシアにとってウクライナは、地政学的に非常に重要な国となる。

ところで、カスピ海沿岸で産出される石油もウクライナを経由するパイプラインを通じてヨーロッパに供給されている。今年初めには、ウクライナとポーランドとの間でパイプラインを建設することが合意された。この石油供給ルートは、アゼルバイジャンのバクー油田で産出される石油を、グルジアのスプサ ― 黒海(タンカー輸送)― ウクライナのオデッサ ― ポーランドのプロクへと結ぶもの。つまり、ロシアを経由せずに石油をヨーロッパへと供給するということで、以前書いたBTCルート(アゼルバイジャンのバクー ― グルジアのトビリシ ― トルコのジェイハン)と同じように、アメリカの影響力が非常に強いルートである。

一昨日の毎日新聞(オンライン)のウクライナ大統領選挙に関する記事には、懐かしい名前が登場している。それはワレサ。そう、ポーランドの前大統領で、「連帯」運動の指導者であったワレサ。そのワレサ氏が、野党候補であるユシチェンコ氏の要請を受けて首都キエフを訪れ、「ウクライナ当局側と協議し解決の道を探りたい」として事態の収拾を約束したという。彼が中心的役割を果たした「連帯」運動をアメリカのCIAが支持していたというのは周知の事実。それにレーガン政権期の「プロジェクト・デモクラシー」はポーランドで積極的に展開された。ポーランドはイラクに部隊を派遣しているが、アメリカとの密接な関係は1980年代から始まっていた。つまり、ワレサ氏は実質的にアメリカの使者と考えるべき。そやから当分は混乱状態が続くやろうと思う。そしてその結果如何によって、チェチェン紛争やグルジアの政治状況も、重要な転換点を迎えることになるかもしれない。

独り言
「(野党陣営への)外国からの支援はすぐに消えるだろう。ガス供給が止まれば、西欧の家庭は凍え、工場は休業状態となるからだ」

独り言
「ウクライナ当局側と協議し解決の道を探りたい」

2004年11月22〜24日(水)
22日。アジア太平洋経済協力会議(APEC)に出席しているブッシュ大統領が「北朝鮮半島」と言ったり、「APEC」を「OPEC(石油輸出国機構)」と間違えたりしたというのは彼なら「仕方がない」。彼の思考能力なんてそんなもんやから、どうでもよろしいわ。見逃せないのは中国の胡国家主席との会談。北朝鮮問題に対して六ヵ国協議に参加するよう圧力を加えるよう、中国に要請したようやな。日付が前後するけども、どうやらネオコン内部では北朝鮮でのレジーム・チェンジ(体制転換)、つまりはフセインと同じようにアメリカは金正日を引き摺り下ろすべきだという意見が強くなっているらしい。でも、それは表面的なものであって、北朝鮮国内が混乱することを望んでいる国は一つもない。中国に北朝鮮に対して圧力をかけてもらうことによって、もしくは直接的に北朝鮮国内の「反体制分子」を抑えてもらうことによって、六ヵ国協議をスムーズに進めたいとアメリカは思っているはず。ほいでもって朝鮮半島の「平和」を推進したということで、ノーベル平和賞でももらうつもりなんとちゃうやろか。

独り言
「エバーシュタット専任研究員は韓国が『逃げる同盟(runaway ally)』だという点と大学院課程の『平和学』図書リストによって統治される国だという点を認識しなければならないと強調した。」

さて人民網によれば、中国の楊洪林駐イラク大使がイラク暫定政府のアラウィ首相を表敬訪問した際に、アラウィ首相は「・・・イラクは現在、自由経済体制を築きつつある。経済改革と政府機構再建の分野で、中国の豊富な経験を参考にしたい。イラクはまたイラク・中国商工会議所を設立することで、両国間の経済貿易の提携分野を広げ、政府および企業間の経済貿易協力を密接なものにしたい」と述べたという。「イラクは現在、自由経済体制を築きつつある」というのには失笑してしもうたで。アラウィというアメリカの傀儡政権のトップのこの発言は、もちろんアメリカと中国の枠組みを基本とした経済システムに加わるということを意味している。しかもイラクは石油というエネルギーを供給する役目を負わされた「客体」としてシステムに加わるのであって、「主体」的に振舞うことなど全く認められていない。中国はイラク攻撃に反対の姿勢をとった。つまりフランスとドイツと同じ政治的行動をとったように見えるが、両国がイラク復興事業から締め出されているのに対して、中国は認められる。アラウィ首相のこの発言は、それを如実に示している。

独り言
「・・・イラクは現在、自由経済体制を築きつつある。経済改革と政府機構再建の分野で、中国の豊富な経験を参考にしたい。・・・」

23日。ロイターによると、中国人民銀行の李若谷副総裁はがフィナンシャル・タイムズとのインタビューの中で、「われわれは、国内総生産(GDP)の6%の貿易赤字を持つ米国のような状況には陥りたくない。これは維持できない。人民元の上昇で、米国の失業問題は解決できない。何故なら、中国の労働コストは米国のわずか3%だ。彼らは繊維、靴製造、おそらくは農業もあきらめるべきだ。彼らは航空宇宙などの分野に集中すべきで、我々にそうしたものを売れば、数十億を費やすことになるだろう。貿易は容易に均衡がとれる」と述べたという。

「中国の労働コストは米国のわずか3%」やからこそ不均衡になるんやけどもな。「彼らは繊維、靴製造、おそらくは農業もあきらめるべきだ。彼らは航空宇宙などの分野に集中すべき」という部分はいわゆる「垂直分業」論を思い出させるけども、あきらめられるべき繊維、靴製造、そして農業に従事している人間はどうすればええんか考えんことにしているらしい。確かに航空宇宙産業は中国との取引で
数十億円の利益を上げることが出来るかも知れないし、それによってアメリカという国家を基本単位とした数字上では均衡がとれるのかもしれない。しかし、そのアメリカ国家では「勝ち組」と「負け組」に二分化している。数字上の均衡は「勝ち組」にとっては意味のあるものかも知れんが、「負け組」にとっては何の意味もない。これは日本にも当てはまる。結局「中国の労働コスト」を基準にして、「勝ち組」と「負け組」の弁別がグローバルな規模で行われているということ。

独り言
「・・・中国の労働コストは米国のわずか3%だ。彼らは繊維、靴製造、おそらくは農業もあきらめるべきだ。彼らは航空宇宙などの分野に集中すべきで、我々にそうしたものを売れば、数十億を費やすことになるだろう。貿易は容易に均衡がとれる」

24日。ブルームバーグの23日付の報道によれば、APECで小泉首相と会談したブッシュ大統領は「強いドルを望んでいる」と明言したらしい。小泉首相は記者団に対して、「貿易収支が赤字だから、米国は弱いドルでもいいのではないか、黙認しているのではないか、という(市場の)懸念があったから、ブッシュ大統領に『どう考えているのか』と聞いたら、大統領は『強いドルを望んでいる』と言った」と述べた。そら小泉首相とすれば円安ドル高を望んでいるやろうが、「強いドル」が「高いドル」であるとは限らない。「強いドルを望んでいる」とは、すなわち「今後もドルが基軸通貨であることを望んでいる」ということなのかも知れない。いや、僕は間違いなくそうやろうと考えている。

独り言
「強いドル」

ところで今週の講義は軍事化をキーワードに話をしたんやが、その中で自衛隊の撤退について少し触れた。以前に書いたことで、仮に戦闘状態になれば自衛隊は能力的に撤退できんのとちゃうんかと疑問を学生に話してみた。そんな今日、自民党本部で外務省と防衛庁の幹部からサマーワの治安状況について報告を受けた加藤、古賀、そして亀井議員が、その説明のいい加減さに反発したという。

防衛庁の大古和雄運用局長は、イラク特別措置法上の「戦闘行為」の定義、すなわち「国または国に準じる者による組織的、計画的なもの」との定義に基づいて、「迫撃砲を数十発撃たれれば別だが、数発で危険だとは判断しない」と説明した。これは、散発的に宿営地に迫撃砲弾やロケット砲弾を打ち込まれても、サマーワが非戦闘地域に変わりはないという政府の立場と同じ。

しかし、加藤議員は「国民が聞いたらどう思うか、発言の重さを分かっているのか」、古賀議員は「命をかけて自衛隊員を派遣しているという真剣さが感じられない」、そして亀井議員は記者団に対して「多くの犠牲者が出るまで、撤退を決断できないのではないかと心配している」と反発した。僕もその通りやと思う。それに何よりも、この定義でいけば「対テロ戦争」は「戦争」ではなくなる。だって基本的に「テロリスト」は個人なんやから、個人が行使する暴力は全て「テロ」であって「戦闘行為」ではなくなる。これを詭弁といわずして何と言う?

僕は修士課程の学生の時に、大学に説明会のために来ていた安全保障局所属の若手外交官に対して「外務省は戦争をどのように定義していますか」と質問をしたことがある。すると彼は「仰る意味が分かりません」と答えた。その時僕は「バカ」扱いを受けたが、恐らく僕の質問を、あの若手外交官も説明会に出席していた学生も、今になっても理解できてないやろうな。単なる「言葉遊び」として理解できない人間は、サマーワに駐留している自衛隊員、そしてその家族の気持ちなんて絶対に理解できんやろうな。

独り言
「迫撃砲を数十発撃たれれば別だが、数発で危険だとは判断しない」

2004年11月21日(日)
昨日付けの朝日新聞社説では、武器輸出三原則の緩和を政府が決めたことに対する批判が述べらている。武器輸出三原則の緩和に関しては以前からこの日記でも書いてきたが、その理由を説明する際に「テロ」や「海賊」という言葉が恣意的に用いられていることに今更ながら大きな怒りを覚える。日本が武器を輸出したい場所が「『テロ』や『海賊』の脅威にさらされている」と言えば、武器でも何でも輸出できると言うつもりなんやろう。これはつまり、「自衛隊が活動する場所が非戦闘地域だ」という、主客転倒も甚だしい論理をそっくりそのまま武器輸出に当てはめようとしているということ。

個人的にはあまり支持していない猪口邦子国連軍縮担当大使が、昨年に国連小型武器会議で自身が議長に就任できた背景には、日本が武器を輸出していないことがあると指摘したそうやが、それは全くその通りやと思う。お金では絶対に買えない「信頼」という最も大事な財産を、日本は自らの手で捨て去ろうとしている

それにしても、武器輸出三原則を緩和するという提言がこの不景気の時代になって言われ始めたという事実に、もっと注目するべきなんやないか。中学生の公民の教科書では、不景気の時には企業は設備投資をし、国家は公共事業を拡大すると書いてあるはず。でも、それは半分嘘っぱち。ただでさえモノが売れないのに、生産能力を高めるのは過剰生産につながるだけ。だから国家は再生産外消耗、つまりは軍事支出を増やすことになる。かくして兵器は「商品」となり、軍産複合体が形成され、世界中で「危機」を煽るような政策が強く求められるようになる。「危機」の増大はそっくりそのまま「市場」の拡大になるというわけやな。

だから戦争を批判するということは、実は我々の「豊かな生活」を可能ならしめている資本主義そのものを批判するということでもある。ここでもやはり、リベラル・デモクラシーの正統性を問わなければならないわけやね。

独り言
■武器3原則――緩和をあせる愚かさ

2004年11月18〜20日(土)
ここのところ興味深い経済ニュースが多い。最近のドル安傾向に関して、基軸通貨としてのドルの地位が揺らいでいるとする見方が多い。基本的に僕もそう思うんやが、ただ僕は国際経済・金融に関する勉強を疎かにしていたために詳しく分析できんのよなぁ。スノー財務長官は訪問先のロンドンで、いわゆる「双子の赤字」の解消に努力すると共に「強いドルは米国と国際社会の双方に有益であり、政策に変更はない」としてドル安容認政策を否定した。そうかと思えば、アメリカ上院は連邦政府債務の法定限度額を8000億ドル増額し、現行の7兆3840億ドルから8兆1840億ドルに引き上げることを可決した。これって、まだまだ借金するつもりということ?

諸外国では、ドル安基調をにらんだ動きが加速している。中国の上海ではドルを人民元に交換しようという市民が銀行の前に列を成しているというし、ロシアでは外貨準備に占めるユーロの割合を現在の10%から25〜30%に引き上げるという。同志社大学の浜矩子教授は「通貨という面で無頓着な政権が続くと市場は見て、投機筋はもとより、投機筋でない投資家も、ドル建ての資産を売りに出た。今のドル安は、基軸通貨としてのドルの終わりの始まりだと思う」とし、さらに「日本にとっては米国は最大の不良債権となりつつある。良き管財人として意見を言える立場にあると思うのだが、そういう姿勢はないのではないか」と指摘している。確かに、そういった姿勢は日本に全くないように思える。いや、そういう姿勢をとれないといったほうが正確かも知れんなぁ...

独り言
「中国の固定相場制が米国の経常赤字の一因」

独り言
米上院、連邦債務上限額引き上げ可決

独り言
「ドル預金ではなく、ユーロや円にしておけばよかった」

独り言
「(ユーロの)比率は、ユーロ相場が上昇、または下落したからといって拡大するつもりはない。われわれの決定は、対外債務の構成、わが国の対外貿易の構造といった複数の要因に基づいている」

独り言
「日本にとっては米国は最大の不良債権となりつつある。良き管財人として意見を言える立場にあると思うのだが、そういう姿勢はないのではないか」

さて時事通信に報道によれば、サマーワの陸上自衛隊宿営地に高さ約3メートルのコンクリート製ブロック塀が運び込まれたという。その理由は「テロ」対策強化。このブロック塀は、アメリカ軍基地やイギリス軍が統括しているイラク南東部の多国籍軍司令部のゲートに置かれているものと同じらしい。

壁を張り巡らせて「テロ」を防ぐというのは、イスラエルがやっていることと同じ。イスラエルでは、3メートル以上の高さの壁が「平和」なイスラエルと「テロリストの巣窟」であるパレスチナを分断している。その効果のほどは日々の報道が証明している。壁は「テロ」を防げない。防げるはずがない。「壁」の実際の高さ以上に人々の心の中には頑強な壁が出来てしまう。そして、いつしかその「壁」は憎悪の対象となり、破壊の対象となる。日本政府はサマーワの人々のために自衛隊を派遣していると言うが、サマーワの人々がその「壁」をどのような目で見るやろうか

独り言
「イラク南部サマワの陸上自衛隊宿営地に17日、高さ約3メートルの巨大なコンクリートのブロック壁が運び込まれた。」

2004年11月14〜17日(水)
4日ぶりです。論文の詰めが甘くて...まだ悩んでる最中...ちょっと間日記の更新が滞るかもしれませんが御容赦のほどを。

ファルージャでの戦闘はアメリカ軍による圧倒的な破壊で終わろうとしている。当のアメリカ兵ですら「圧倒的な破壊が行われた。一体、どこから手をつけたらいいのかも分からないほどだ」と言っている。日本のメディアはアメリカ軍に「埋め込まれた報道」を垂れ流していて、そのような報道ではファルージャで一体何が行われているかが中々分からんけども、海外メディアやジャーナリストのサイトでは字を追っていくのが辛くなるようなことが書かれている。海外メディアでは「死体(dead bodies)」ではなくて「肉体の一部(body parts)」という言葉を用いているのがかなりたくさんある。イラクのアルワン保健大臣は「一般市民の犠牲者は非常に少なく約20人だ」と嘯いているけれども、これは「五体満足」な死体がそれぐらいしかないということなんやろう。

パナマを訪問中のラムズフェルド国防長官は、「(ファルージャはテロリストにとって)安全な隠れ家ではなくなった」と述べた。でもこれは、明らかに「市民が安全に住む場所ではなくなった」の間違いよな。アメリカ軍は前回のファルージャ攻撃を「反省」し、今回は真っ先に医療機関を占拠した。それはもちろん、傷ついた市民の映像を世界に見られたくないから。そして「テロリストの隠れ家」である市街地を無差別に破壊している。そのような行為はもちろん明確に国際法に違反している。国際刑事裁判所を認めようとしないアメリカならではの「犯罪」ということか。

それにしても「至れり尽くせりの侵略」やな。ファルージャ市内への通行許可を求める赤新月社の要請に対して、海兵隊のマイク・シュップ大佐は「われわれは住民への支援物資を持っており、物資を運び込む必要はない」とし、その要請を拒否した。さらにイラクのダウード国務大臣(国家安全保障担当)は、「作戦で被害を受けた市民には金銭補償を用意している」と発表しているが、その金で「メイド・イン・USA」を買わされるんやろう。何から何まで「勝ち組」にとって「至れり尽くせりの侵略」。

「独り事」のページで一枚の写真を公開している。血まみれになった女の子がこちらをじっと見ている。つぶらな瞳の左目と、血を流して赤く腫れ上がった右目のコントラストが、あまりにも残酷すぎる。あの子の瞳には何が映っているんやろうか

独り言
「圧倒的な破壊が行われた。一体、どこから手をつけたらいいのかも分からないほどだ」

独り言
「一般市民の犠牲者は非常に少なく約20人だ」

独り言
「(ファルージャはテロリストにとって)安全な隠れ家ではなくなった」

独り言
「われわれは住民への支援物資を持っており、物資を運び込む必要はない」

独り言
「作戦で被害を受けた市民には金銭補償を用意している」

2004年11月13日(土)
読売新聞(オンライン)の記事によれば、ホワイトハウスでイギリスのブレア首相と会談した後の記者会見で、ブッシュ大統領はパレスチナ国家の樹立を「4年以内に達成したい。可能だと思う」と発言した。「4年以内」と限定しているところがキーポイントになるやろう。これはもちろん第二次ブッシュ政権の期間を指しており、混乱状態が続くイラク問題では歴史に名を残せないと焦っているブッシュ大統領が、パレスチナ問題に関して名を残そうとしているんやないかと個人的には思う。

というのも、かなりの部隊を動員し、世界中からの非難を浴びながら実行したファルージャ攻略作戦が、日本のメディアが「素直」に伝えているようにはうまくいっていないらしい。記者会見でもブッシュ大統領は「ファルージャの掃討作戦はここ数日でかなりの成果を上げている」と述べたが、アラブ系のメディアではアメリカ・イラク連合部隊の多くはファルージャ市内に閉じ込められたと報道しているものもあるし、アル・ジャジーラはドイツのアメリカ軍病院に次々と負傷した兵士がイラクから搬送されていると伝えている。

もちろん、強引にでも国家を誕生させる、つまりはアメリカとイスラエルの傀儡国家を建設することによってパレスチナを「安定化」させ、パレスチナ問題とイラク問題を切り離すということも考えられる。そしてリベラル・デモクラシーというイデオロギーを殊更強調することによってイラクにおける抵抗勢力を国際社会において孤立させようという魂胆なのかもしれない。この会見でもブッシュ大統領はアラブ地域の民主化を推進する理由について「民主主義国どうしは戦争をしないからだ。民主主義国は平和を促進すると強く信じている」と説明し、ブレア首相は「パレスチナ国家が機能するには政治的、経済的にも、治安の面でも形を整えたものであることが必要」とした。

悪あがきにも程があると思うんやが、「民主主義の平和」という議論が国際関係学や政治学のフィールドで実はかなり受け入れられている。そしてぼれが僕には信じられない。「民主主義の平和」に対する批判は論文でもこの日記でも散々書いてきたが、国際社会における「主体」=「勝ち組」=「民主主義的先進国」と、「客体」=「負け組」=「権威主義・独裁主義的途上国」との間の歴史的構造を一切無視しているが故に、「主体」間における「平和」を「民主主義の平和」として賞賛する一方で、この「主体」―「客体」関係の構造化を維持するための「主体」から「客体」に対する攻撃、例えばアフガニスタン攻撃やイラク攻撃そしてチェチェン攻撃を「民主化」のための戦いだと、この議論は位置付けてしまう。

結局この「民主主義の平和」というのは「主体」側にとってはもの凄く都合の良い議論に過ぎない。そやから「リベラル・デモクラシー」の正統性を疑わんとならんのやが、ブッシュ大統領「様」から「グッドマン」やと言われた小泉首相はそんなことせんのやろうなぁ...

独り言
「恒久平和に向けた進展のための新たな好機が横たわっているのだ」

独り言
「グッドマン」

独り言
「民主主義国どうしは戦争をしないからだ。民主主義国は平和を促進すると強く信じている」

独り言
"Military officials could not provide an exact breakdown on the number of wounded from Falluja or the nature of their injuries."

2004年11月12日(金)
AP通信によると、世界中がアラファトの死に注目を集める中、イスラエルが核兵器を製造していることを暴露したために国家反逆罪に問われて18年間の監獄生活を送り、今年4月になってやっと保釈されたヴァヌヌ氏が、外国メディアと接触したということで再び逮捕された。彼は1980年代にイスラエルのディモナ核施設で働いていたが、1988年にディナモ核施設の情報と写真をイギリスのサンデータイムズ紙にリークしたことにより、イスラエルが核兵器を保有していることが明らかとなっていた。サンデータイムズ紙でヴァヌヌ氏の提供した情報を公開したホウナム記者は、ヴァヌヌ氏の逮捕を「恐ろしいこと」とし、さらにイスラエルの捜査当局がイスラエルの核開発問題から目を逸らすためにアラファト議長の死を利用していると非難している。

この逮捕に関するイスラエルのハーレツ紙の報道によると、「アメリカは核兵器開発の疑いがあるということでイランに圧力を加えているが、イスラエルにも同様のことをする必要がある」とヴァヌヌ氏はギリシャのラジオ曲とのインタビューで述べた。全くその通りであって、イスラエルが核兵器開発のパートナーとされている南アフリカに対してもアメリカはなんらの非難行動をとっていない。それどころかアメリカは、イスラエルをアラブ地域を「監督」する「主体」として、そして南アフリカをアフリカ南部を「監督」する「主体」として認定し、支援している。明らかな「二重基準」なんやが、日本政府はこの問題に関してどのようなスタンスをとっているんやろうか。小泉首相なら「アメリカもいろいろ、イスラエルと南アフリカもいろいろ、核兵器開発もいろいろです」って言うかも知れんな。

独り言
"...he was 'horrified' by Vanunu's arrest, and accused the Israeli authorities of using Thursday's death of Palestinian Leader Yasser Arafat to try to divert attention from it."

ところで朝日新聞の記事によれば、アメリカ軍のトランスフォーメーションの一環として陸軍第一軍団司令部が日本に移転する問題に関して、「日本と極東の安全に資する実態があれば(日本移転は)問題ない」とすることにより、外務省はいわゆる極東条項との整合性を強引につけようとしている。

極東条項に関しては、小泉首相の私的機関である「安全保障と防衛力に関する懇談会」が極東条項の積極的見直しを提言していたものの(産経新聞の記事)、アメリカ政府高官がその必要は無いとの見解を示していた(共同通信の記事)。つまり、日本は主体的にその軍事的行動の範囲を拡大させようとしていたが、アメリカがそれにクギを刺した。それを念頭において考えると、今回の外務省の解釈も日本が主体的に極東条項を見直すというよりは、アメリカの意向を受けて受動的に見直すことになると考えるべきやろうな。

独り言
「実態として日本及び極東の安全に寄与しているか否かで判断すべき問題だ」

2004年11月11日(木)
既に各メディアで報道されているように、ヤセル・アラファトが亡くなった。確かに彼には不正蓄財や偽札製造といった暗い部分もあるし、妻は大ばか者に近いけれども、多くのパレスチナの人々にとって彼は希望そのものやったやろう。しかしながらイスラエルのラビド法務大臣は死してなおアラファトを「テロリスト」と呼ぶかのように、「議長が世を去ったのは良いこと。彼が世界と中東を離れることは良いことだ」と述べた。いくら紛争当事者とはいえ、少し下品過ぎやしないかね。

僕はこのラビド法務大臣の発言を聞いて、1945年4月12日にルーズベルト大統領が逝去した際に、当時の鈴木貫太郎首相が表した弔意のことを思い出した。鈴木首相はルーズベルト夫人に弔意を示す親書を同盟通信を通じて送付すると共に次のように述べた。
アメリカ側が今日、優勢であることについては、ルーズベルト大統領の指導力が非常に有効であって、それが原因であったことは認めなければならない。であるから私は、ルーズベルト大統領の逝去がアメリカ国民にとって非常なる損失であることがよく理解できる。ここに私の深甚なる弔意を米国民に表明する次第です。
これに対して当時アメリカに亡命していた文豪トマス・マンは、ドイツに対するラジオ放送の中でこのように述べた。
これは驚くべきことではないでしょうか。・・・日本はいまアメリカと生死を賭けた戦争をしています。・・・だがナチスの国家社会主義が我がみじめなるドイツ国においてもたらしたと同じような道徳的破壊と道徳的麻痺が、軍国主義の日本で生じたわけではなかった。

あの東洋の国日本にはいまなお騎士道精神と人間の品位に対する感覚が存在している。いまなお死に対する畏敬の念と偉大なるものに対する畏敬の念とが存在している。これがドイツと日本両国の差異である。
これによって鈴木首相の弔意を知ったドイツ政府当局は在ドイツ日本大使館に抗議し、さらに大日本帝国陸軍の若き将校達が首相官邸に押しかけた。すると鈴木首相はニコニコしながらこう述べたという。
古来より、日本精神の一つに、敵を愛す、ということがある。私もまた、その日本精神に則ったまでです。
僕は武士道について深く勉強したことはないし、もしかしたら鈴木首相のこの弔意の裏側には政治的な思惑もあったのかもしれない。でも、ラビド法務大臣の発言と比べると、いや比べ物にならんぐらい鈴木首相の発言は彼の人間性の高さを示しているものやと思う。

ところでヒトラー総統はルーズベルトの死去に対してどのような発言をしたか。彼は「運命は歴史上最大の戦争犯罪人ルーズベルトをこの地上より遠ざけた」と述べた。これ、ラビド法務大臣の発言とよう似とるよな。ナチス・ドイツの第三帝国と、ユダヤ人のイスラエルが同じような存在になっているということか。

独り言
「議長が世を去ったのは良いこと。彼が世界と中東を離れることは良いことだ」

2004年11月10日(水)
「人民網」によると、ウェスティングハウス・エレクトリック社のジェームズ・フィッチ副会長が8日に行われたプレス・リリースで、同社が中国における原子力発電所建設の入札に参加して、総額24億ドルの原子炉2基を輸出する用意があることを明らかにした。中国では急速な経済発展によって深刻な電力不足に陥っており、原子力発電所の建設を推進しようとしている。そのような需要を見込んだ欧米企業が以前から売り込みをかけていたんやけども、もしかしたらウェスティング・ハウスに事実上決定したのかもしれない。同記事によれば、ウェスティング・ハウスはフランスやロシアの企業との競争に勝つべく、約一カ月前にアメリカ政府の認可を得たばかりでまだ商業運転に用いられていない、世界最新鋭の原子力技術AP1000を採用したいとしている。

ウェスティング・ハウスは世界的に有名な軍需企業でもある。そして当然のように原子力開発技術も軍事機密に属するものであり、その知識の流出には各国政府が神経を尖らせている。それにもかかわらず、アメリカ政府が認可したばかりの最新技術を中国に導入するという。この事実は、アメリカと中国の特殊な友好関係を如実に示してないか?

経済的にも特殊な友好関係は着々と構築されている。ブルームバーグの報道によれば、現在ドルにペッグしている人民元の変動幅拡大が早ければ2005年第一四半期にも容認されるだろうと、アメリカの銀行大手であるバンク・オブ・アメリカ(BOA)が予想しているという。そしてアメリカの過去最大規模の経常および財政赤字と人民元切り上げの可能性を統合し、来年にはアジアの各国通貨が軒並み上昇するとみている。

輸出を自国経済の発展の前提としているアジア各国政府は、ドル安を防ぐためにアメリカの金融商品を積極的に購入してきた。しかし、再選が決まったブッシュ大統領は国内製造業者への配慮から恐らくドル安を認めるので、アジア諸国の通貨はBOAの予想通り上昇することになる。さらにインフレを懸念した中国が政府が9年ぶりに利上げを行ったことも、アジア各国通貨の上昇を必然的なものとしている。中国がインフレになるくらいなら、自国通貨の多少の上昇は止むを得ないということやな。

しかしながら、中国が利上げしても人民元を1ドル=8.3元程度に固定し続ければ、海外から投機資金が一層中国へと流入し、更にインフレが続いてしまうことになるという。とすると、いつまでもアジア各国が自国通貨の上昇を容認できるわけがないので、ドルとのペッグ制をやめろという圧力が高まるわな。したがってBOAの予想通り、来年早々にも人民元の事実上の切り上げが行われると考えられる。けれどもそれだけでは問題は解決しない。というのも、ドル安が続くということはドルをしこたま溜め込んでいるアジア各国(もちろん中国もそれに含まれる)の外貨資産が目減りし続けるということなので、保有資産の投資先を変更する、例えばドルからユーロから変更して目減りを防がなければならない。

ドルからユーロへと変更してドル安のリスクをヘッジするということに関しては、先月22日分の日記でも書いた。結論的に書くと、ヘッジすることが出来るのは中国だけやろう。もちろんアメリカの非公式な了解の下に。そして日本は出来ないやろう。アメリカが非公式にそれを阻止しているから。日本経済は来年早々にも危機的な状況を迎えるんやろうか。国際金融に詳しい人は教えて下さいな。

独り言
「ウェスチングハウス・エレクトリック社のジェームズ・フィッチ副会長は8日、北京でメディアに対し、同社が中国で原子力発電所建設の入札に参加し、中国に総額約24億ドルの原子炉2基を輸出する用意があることを明らかにした」

独り言
「ほかに先んじてドルからユーロ資産にシフトするか、ユーロ・ドルのヘッジ取引に動くかによってのみ、自己防衛が可能となる」

2004年11月9日(火)
ファルージャが破壊されている。「治安」を回復するために破壊されている。この破壊活動を小泉首相は「成功させなきゃいけない」と言った。そして「イラク暫定政府にとっては、まず治安を回復させないと国造りも思うようにいかない。早く治安が回復するよう、暫定政府も本腰を入れ始めたということだと思います」とも言った。その「成功」、その「国造り」のために一体どれだけの血が流されるんやろう。「尊い犠牲の上にイラクの自由民主主義化がなされた」とでも言うつもりなんやろうか。

町村外務大臣は、「法律上は、『国または国に準じる組織』と戦争状態に入る地域を戦闘地域と言っている。(攻撃対象のテロリストは)定義には当たらず、戦闘地域には当たらない」と言った。「テロリスト」というのは国家にとって非常に便利な言葉やな。そのレッテルを気に入らない者に貼り付けさえすれば、自由にその者を殺すことが出来る。

本来なら、政治家のそうした誤った「言葉使い」をジャーナリズムがきちんとチェックしなければいけない。しかし、ジャーナリストでさえも「テロリスト」という言葉を何の疑問も持たずに使い続けている。結局は政治家もジャーナリストも、そして国民も「テロ」や「テロリスト」の存在に慣れてしまった。慣れてしまったが故に暴力に対する感覚が麻痺してしまっている

月曜日の看護大での講義が終わった後に研究室で出席票をチェックしていると、ハッとさせられるコメントを書いてくれた学生がいた。彼女は以前に救命センターに勤めていたようで、毎日のように運ばれてくる死体に初めはかなりショックを受けていたものの、いつしかそのような死に慣れていったという。しかし、彼女は暴力に対する感覚は鋭いままやった。
私は、プロとしての仕事に慣れることは大切だと思いますが、感情として「慣れ」はぜったいにあってはならないと思います。
その通り。ホンマにその通りやで。「感情的になってはいけない」という言葉をよく耳にすることがあるけれども、こと戦争に限っては感情的になってもええと思う。アメリカのファルージャに対する暴力は理不尽極まりないものであり、その巨大な暴力に対する「怒り」は抑えられるべき感情ではない

独り言
「成功させなきゃいけない」

独り言
「法律上は、『国または国に準じる組織』と戦争状態に入る地域を戦闘地域と言っている。(攻撃対象のテロリストは)定義には当たらず、戦闘地域には当たらない」

2004年11月6〜8日(月)
風邪と論文と講義の三点セット...しんどかった...

イラク暫定政府は7日、北部のクルド人地域を除くイラク全土に60日間の非常事態を宣言すると発表した。暫定政府のナキーブ報道官はアメリカ軍によるファルージャ制圧作戦と非常事態宣言のタイミングについて「全く関係ない」としているが、そんなことを信じる人間はいないやろう。イラク国家安全法では、非常事態宣言によって令状なしの逮捕や夜間外出禁止の発令、住民の移動や集会の自由の制限などの措置を首相がとることができると規定されている。早い話が、今回の非常事態宣言はファルージャにいる人間全員を「テロリスト」として認定したということを意味する

クルド人地域を除くイラク全土に非常事態宣言が出されたということは、陸上自衛隊が駐留しているサマーワも事実上の戦闘地域となったということでもある。しかし、ある意味当然のように小泉首相は「(非戦闘地域であることに)変わりありません」と発言した。非常事態宣言が出されているのに自衛隊のいるサマーワだけは戦闘地域ではないという。彼は戦闘というものをどのように認識しとるんやろうか。

そうえいば金曜日の深夜に放送されていた今回の『朝まで生テレビ』では、自民党の山本一太参議院議員が自衛隊の撤退に関して「サマーワが戦闘状態になれば撤退します」という趣旨の発言していたけれども、小泉首相の場合と同じように彼が戦闘というものをどのように認識しているかが全く不明のまま。戦争映画で描かれているような戦闘が行われるようになって初めて戦闘状態だと認識するんやろうか。もしそうなんやったら、自衛隊は逆に撤退できない。だって、そんな激しい戦闘の中を撤退できるような装備も能力も現地派遣部隊にはないやないか。

自衛隊の撤退に関しては与党内でも区切りをつけるべきだという声もある中、アメリカが派遣延長を要請して来た。ベーカー駐日大使はアメリカ大使館内で記者会見し、来月14日に期限を迎える自衛隊派遣に関して日本政府にその延長を要請したことを明らかにした。その理由として彼は、「(派遣が)重要である理由は、部隊の規模や支援活動の面だけでなく、日本が世界の主要国として責任を果たすことを示す象徴だからだ」と述べた。彼の発言にある「世界」とは「アメリカと一体化しうる範囲内」という意味。そやからその範囲外に存在しているイラクの人々の声になど、彼らは一切耳を傾けようとしない。

自衛隊派遣の期間延長について政府は「総合的に判断する」としているが、アメリカからの事実上の「命令」もあった以上、派遣延長は既に決まっていると思われる。6日には陸上自衛隊の第四次イラク派遣部隊の激励会が郡山駐屯地で行われた。産経新聞にその記事があるんやが、派遣される三等陸佐は「イラクと日本の懸け橋になりたい。今は不安はない。サマワの99.9%はいい人で反対勢力は一部」と話した。「サマワの99.9%はいい人で反対勢力は一部」というのは政治的な配慮やろう。兵士に政治的な配慮をさせるほど日本政府の政治的選択は綱渡りを続けている。「イラクと日本の懸け橋」となって、無事に帰って来て欲しい。

独り言
「国家安全法では、首相は非常事態宣言を受けて、令状なしの逮捕や夜間外出禁止の発令、住民の移動や集会の自由の制限などの措置をとることができると規定している。」

独り言
「(非戦闘地域であることに)変わりありません」

独り言
「(派遣が)重要である理由は、部隊の規模や支援活動の面だけでなく、日本が世界の主要国として責任を果たすことを示す象徴だからだ」

独り言
「イラクと日本の懸け橋になりたい。今は不安はない。サマワの99.9%はいい人で反対勢力は一部」

2004年11月3〜5日(金)
3日には、拉致被害者である曽我ひとみさんの夫であるジェンキンスさんに対する軍法会議が行われ、裁判官のバウエル陸軍大佐は「脱走」と「利敵行為」について有罪と判断し、禁固30日の刑を言い渡した。しかし軍法会議を統括するパーキンス陸軍少将が執行猶予を決めれば、ジェンキンスさんは即日釈放される。

一部には日本側に配慮したのではないかとの憶測もあるが、アメリカ政府がジェンキンスさんを軍法会議にかけると言い出した時に既にこのような温情判決が出るのは分かっていた。日朝首脳会談で日本がイニシアチヴをとるのを認めないアメリカ政府が、敢えて軍法会議を持ち出したのは素人でも分かるやろう。これまた一部ではアフガニスタンとイラクで戦っているアメリカ軍の士気を考えると軍法会議は避けられないだろうと分析する声もあったが、この軍法会議がアメリカ大統領選挙の当日に行われたことからして、アメリカのメディアに取り上げられなくするようにアメリカ政府が配慮したのは明白。日本はアメリカに遊ばれとるんやで。

独り言
ジェンキンス氏に有罪判決 司法取引で禁固30日に

その大統領選挙ではブッシュが再選を果たした。前回と同じようにブッシュ陣営による不正選挙工作の疑惑が報道されているけれども、僕は彼に投票したアメリカ人とは友達になれんやろう。それはブッシュに投票しなかったアメリカ人も同じように考えているようで、ブッシュの再選が決まってからカナダ移民局のHPへのアクセスが急増しているという。海外メディアではブッシュに投票した有権者のことを「うすのろ(idiot)」とか「間抜け(dumb)」とはっきりバカにしているものもある。僕はそこまでは言わんけども、ホンマに信じられんわ。確かにアメリカ大統領選挙なんてエリートの内紛に過ぎないのかも知れんが、政権が変われば全世界規模で展開されている「国家テロ」が止む...かもしれん...いや、少なくともその方向に...

独り言
"Now that George W. Bush has been officially elected, single, sexy, American liberals--already a threatened species--will be desperate to escape".

独り言
「6200万人のアメリカ人はうすのろなのか?」

独り言
「どうすれば59,054,087人ものアメリカ人はそんなに間抜けになれるのか?」

小泉内閣の面々はブッシュの勝利にさぞや喜んどることやろうな。小泉首相のコメントは前回のものに比べるとややトーンダウンしていたものの、武部幹事長は言うてくれよる。彼は「テロから米国と世界を守るため、敢然と戦う『強い大統領』に対する信任だ」という、子供向けヒーロー番組の決め台詞のような発言をしてくれた。また、政府べったりの報道を続けている読売新聞はその社説のタイトルを「ブッシュ再選に託す世界の安全」としている。そんな中、政府は第四次派遣部隊の編成命令を出した。ハンガリーが来年3月で撤退すると発表し、ブルガリアもイラク駐留部隊を削減することを決定した中、これは日本政府が事実上の派遣延長を決定したことを意味する。軍事上の常識として撤退する時が一番危ない。現在サマーワに駐留している第三次派遣部隊にもしものことがないとは言い切れない。

独り言
「テロから米国と世界を守るため、敢然と戦う『強い大統領』に対する信任だ」

独り言
「ブッシュ再選に託す世界の安全」

独り言
「(来年1月に予定されている)イラクの選挙まで派兵することが我々の使命だ。だが、それ以上続けることは不可能だ」

独り言
「派遣される部隊の準備や3次部隊の帰国日程に大きな影響が出るのは問題」

さて、残念ながらイラクで殺害されてしまった香田さんの映像がインターネット上で公開されている。このHPのアクセス解析を見てみると、そのような検索ワードでアクセスしている方が結構多い。僕は香田さんが殺害される映像を見ない。それは、そういう写真を多く見ていると「慣れる」、つまり暴力に対する感覚が「麻痺する」可能性があるということに加えて、自分で言うのもなんやが、僕自身はアフガニスタンやイラクといった世界の紛争地域の現状を常に想像しているからというのがその理由。戦争を批判する者は、戦争によって「生産される死」を常に自分のものとして想像し、思考し続けなければならないと思う。先日の日記でも書いたが、戦争によって「生産される死」を絶対に他人事としてはならない。

それは「対テロ戦争」においては尚更のこと。特に「対テロ戦争」というのは「想像力の戦争」、「意味の戦争」であるが故に、それに関わる者(関わらないで済むことなどありえないが)は常に「対テロ戦争」によって「生産される死」を想像し、そしてその意味を考えなければならない。

しかし、当然のように政府は想像させようとせず、意味を考えさせようとはしない。時事通信によると、インターネットの掲示板(≒2ちゃんねる)に香田さんの遺体の写真や映像が掲載されていたことに関して、法務省は東京法務局を通じて掲示板の管理者に削除を求めた。もちろん、興味本位でそのような写真や映像を見ることは死者の冒涜に当たる行為であり、絶対にするべきではない。しかし、「人権侵害」の名の下に「お上」がそのような要請するということは絶対に反対。

日本政府はアメリカ政府によるアフガニスタンとイラクでの重大な「人権侵害」を支持している。つまり、日本政府は「人権侵害」というものに二重基準を設けている。「人権先進国」であるアメリカの放つミサイルによって手足をバラバラに吹き飛ばされ、肉の塊となった子供たちの人権を日本政府は無視しておきながら、そのような行為を想像し、その意味を思考するための手立てを「人権侵害」の名の下に隠蔽しようとしている。そんなこと許せるか?

独り言
香田さん遺体写真の削除要請=法務省

2004年11月2日(火)
ロイターの報道によれば、中国元副首相である銭氏がチャイナ・デイリー紙で「ブッシュ・ドクトリン」を批判し、実現する能力もないのに21世紀が「アメリカの世紀」となると夢見ていると言い切った。確かに21世紀は中国(...+EU)の世紀となるやろう。でも、ほんなら先制攻撃を可能とするブッシュ・ドクトリンに変わるような、「中華」という国名にふさわしい、世界に安寧をもたらすような構想を中国が持っているかと言えば、それは甚だ疑わしい。というのも、「イラク戦争は、努力してやっと得た世界的な対テロ同盟を破壊した」と銭元副首相は述べているから。

「アメリカの世紀」とはならずに「中国の世紀」となるにしても、世界の構造は変わらないやろう。常に「主体」と「客体」、「勝ち組」と「負け組」を構造的に弁別しながら成長・拡大していく資本主義社会が中心にある限り、「主体」=「勝ち組」に対して異議申し立てを行う「テロリスト」は絶えない。アメリカ軍に代わって中国人民解放軍が新たな「対テロ戦争」を遂行するようになるだけ。

そのような将来を暗示するかのような記事が読売新聞(オンライン)にあった。それによると、中国河南省省鄭州市郊外の中牟県でイスラム教徒のウイグル族と漢族の住民同士が衝突し、ニューヨーク・タイムズは148人が死亡したと伝えている。中国公安当局などが衝突の更なる拡大を阻止しようとしているが、河南省各地のウイグル族が現場に集結して約1万人に達し、応援の武装警察部隊も県内に入れない状況が続いているという。

148人の死者数というのはホンマかどうか分からんのやが、仮にその半分と考えて74人としても、一般住民同士の衝突による死者数とはとても思えん。それだけ両者の緊張状態が極限にまで達しているということなんやろう。以前に中国司法当局がアメリカの「対テロ戦争」に乗じて分離独立を目指すウイグル人活動家を逮捕し、既に多くの活動家が「テロリスト」として死刑宣告され、処刑されている。いずれ中国でもブッシュ・ドクトリンと同じような、いやそれ以上の政策が出て来るやもしれん。

独り言
「イラク戦争は、努力してやっと得た世界的な対テロ同盟を破壊した」

独り言
中国河南省、回族と漢族が衝突…148人死亡説も

さて、今日の毎日新聞の朝刊にはあるおバカさんな発言に関する記事が掲載されている。福井県の山本雅俊副知事が10月15日に福井市で行われた「第60回東海北陸ブロックPTA研究大会」の来賓挨拶で、「東海北陸6県の生徒数は120万人で、そのうちの(不登校児)1万4000人は不良品」と発言した。当然のように各方面から非難されており、福井県の西川一誠知事から注意を受けたという。政治家のこの種のおバカさんな発言は絶えへんよな。ホンマにこの国の政治的言語感覚はお粗末過ぎる。でもね、この副知事が不登校児、つまり学校システムに順応できない子供を「不良品」と呼んだのは、誤解を恐れずに書くと「当然」のこと。

今の時期はもう大学受験シーズンに入っていて、アルバイト先の塾でも近日中に推薦入試に挑む生徒がいる。幸運にも合格した受験生は予備校のパンフレットに紹介され、不運にも不合格となった受験生は除外される。それはまぁ、予備校(および私立高校)が学校であると同時に一企業体であるからある程度は仕方がないとしても、公立高校でも同じように「進学実績」として紹介する場合がほとんど。僕の母校の舞子高校のHPでも「進学実績」が公表されとるんやが、不思議なことに「国公立大学」と「私立大学」に分けられている。この区別に果たして何の意味があるんやろうか。

受験を突破して大学に入ったら入ったで、大学を卒業する前には就職活動を経験することになる。そしてその結果は大学当局により「就職実績」として公表されることになるんやが、「2ちゃんねる」の掲示板を見れば分かるように、有名な企業に就職する者が多ければ多いほど世間的には「よい大学」という評価を受ける。大学は学問を究める場所であるやろうに、実質的には「就職予備校」と化している。学生がどのような卒業論文を書いたかを紹介している大学を僕は知らない。

大学当局にしてみれば、「国公立大学の独立行政法人化によって『自由競争原理』を導入せんとならんのや。生き残るためならしゃあないやろ」と言いたいかもしれない。「首都大学東京」では研究者が目に見える結果を出さんと契約を解除、つまりはクビになるシステムが構築されようとしている。「目に見える結果」とはもちろん、現行の社会システムの「目」にとまるような結果ということであり、当然今の社会を変革しようという研究はその「目」にとまらないことになる。そういう研究は「不良品」やな。そやからその研究者も「不良品」ということになる。

山本副知事の発言を逆に考えてみよう。つまり「良品」とされる者とはどういう者かということ。それはもちろん、「お前そんなこと言うたら内申書にひびくで」という「忠告」を何度もされたことがある僕の独り善がりな認識かも知れんが、結局は現行の社会システムを維持し、強化し、そしてそれに利益をもたらす者、最低でもシステムにとって「無害」である者が「良品」ということ。高校や大学が、結局は現行の経済システムを維持し、強化し、さらにそれに利益をもたらすことを「実績」とし、さらにその者を無意識のうちにでも賞賛するようなことを行っているのはそういうことやないんかな。

とすると、一体どれだけの人間がこの山本副知事の発言を非難できるんやろうか。自分は現行システムにとっての「良品」となることを目指しておきながら、おバカさんな発言をした人間におざなりの文句を言うのはアカンのやで。そう言えば今日、「スーパー・フリー」というバカ集団のリーダーに重い実刑判決が下されたけども、自分の子供が早稲田大学に合格し、その「ブランド」を無条件に喜ぶようであれば、山本副知事の発言を批判することはできんのやで。

それにしても「首都大学東京」とはなぁ...以前にも書いたことがあると思うけど、一体どういう考えを基にしてこんな名前を付けたんやろう。これに倣えば神戸大学は「みなと大学神戸」、大阪大学は「商都(笑都?)大学大阪」、ほんでもって京都大学は「古都大学京都」てなことになるんやろか。ちなみに神戸市外国語大学は「神戸市外・国語大学ってどんな大学だね」と言われていた時代があった...

独り言
「東海北陸6県の生徒数は120万人で、そのうちの1万4000人は不良品」

2004年11月1日(月)
共同通信の報道によると、小泉首相は首相官邸で記者団に対して香田さんの救出に全力を尽くしたと主張し、自衛隊派遣が「テロ」の危険性を高めたのではないかという質問に対して「そうは思っていない」と反論、さらに「テロはイラク戦争前から全世界で無差別に無辜(むこ)の市民を平気で殺害していた」と述べた。この発言に対して共同通信のこの記事は「イラク戦後に反米テロ勢力がイラクに流入した現実に触れなかった」という適切な「ツッコミ」を入れている。

間違いなく自衛隊を派遣したことが現地での日本に対する反発を高めている。しかもアメリカの行動をいち早く支持し、さらに「テロ」や「テロリスト」という言葉の政治性を全く考慮せずに、アメリカ軍にの占領に対する抵抗、および抵抗する人々を簡単に「テロ」・「テロリスト」と呼んだ上で派遣しているわけやから、武装抵抗勢力のみならずイラクの一般市民が「自衛隊員」や「日本人」を「敵」と認識するのは当然のこと。

それから「・・・イラク戦争前から全世界で無差別に無辜(むこ)の市民を平気で殺害」してきたのは「国家」も同じである。しかも、「テロリスト」とは比べ物にならないほど多くの人間を、「国家」は組織的かつ構造的に殺してきた。アメリカはアフガニスタンとイラクで、「対テロ戦争」の名の下に一体何人の子供たちを殺してきたのだろうか。香田さんの件にしても、彼を殺したのは「自衛隊撤退拒否」という「国益」、すなわち「国家」の利益やないか。

独り言
「テロはイラク戦争前から全世界で無差別に無辜(むこ)の市民を平気で殺害していた」



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