
地中海世界の魅力とは
今日ほど、南の国へ熱いまなざしが注がれている時代は、これまでなかったのではないでしょうか。ギリシアやイタリア、スペインなど、地中海沿岸の国々を旅した人は、行く先を変えて、ふたたび、この地域を訪れることも少なくないようですが、それはいったいなぜでしょうか。
地中海世界の魅力は、この海をなかだちとして、数千年来、数多くの民族・文化が互いに混じり合い、過去と現在が見事に調和しているところにあるといわれます。また、温暖な気候、美しい景観に加えて、豊かな自然の産物である、新鮮で栄養価の高い食事が、この地域を結びつける重要な接点として、旅人を惹きつけていることは間違いありません。
北イタリアにあるボローニャは、1158年、ヨーロッパ最古の大学ができたことで有名ですが、それに先立つ8世紀、西洋社会ではじめての医学校が、南イタリアのサレルノに誕生しました。そして二番目の医学校が、南フランスのモンペリエに生まれたという事実は、地中海地方特有の食事法や健康法が、医学の発展に、深く結びついていたことを物語っています。
心身のバランスと調和の必要性
現在、先進国と呼ばれる国々では、公衆衛生の指標である平均寿命などは高いにもかかわらず、ストレスに満ちた社会環境や、ゆがんだ生活習慣が、心・血管障害、ある種のガン、うつ病などを引き起こす要因として、問題になっています。仕事の生産性を推し進め、生活の利便性を追い求めることで、現代の私たちの健康は、大きく損なわれているのです。