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タイ釣行3編 2003年4〜5月
アメージングフィッシングinタイランド Part2
減水期のカオレムダムへ3度目の出撃! 貫きとおした釣りバカイズム、ランカー連発! そして、タイの雷魚に魅せられ湖に住みついた日本人「シゲさん」と共にブンボラぺッ開拓。苦悩する俺達の前にモンスター炸裂! バンコク近郊ではアマゾンの魚パクーまで? 外道天国の野池で繰広げられるタイ人との交友禄!

タイ釣行3 2003年4〜5月
(カオレム・スネークヘッド編1)

 2003年4月、みたびシャドーと闘うため減水期のカオレムに帰ってきた俺。スッチャイと再会し、共に闘うこと1週間、結論を先に言えば惨敗だった。1日平均6匹、最大50cmという貧打が続く毎日。俺はカオレムにマイナー行きを通告された気分だった…。普通、減水期にはサンクラブリーから20kmほど離れた「リッチヤ地区」や「カオレム地区」がシャドー釣りのメインになる。しかし、旅の初めからお金を使いたくなかった俺はボート費用をケチり、近場の川をメインに釣りを行なった。だが、水位が5mも下がった今回、増水期にグットサイズを釣ったポイントはすべて消えていた。やはり減水期の川はダメなのか? ビールをあおり悩む毎日が続いた。
 しかし、そんな俺を救ってくれたのがプラァチョーンだった。水位の減少によりウィードが生えてきたためだろうか? 50cmクラスのグットサイズが1日数匹釣れ、またフッキングはしなかったが激レアのコブラスネークヘッドがルアーを追ってくることもあった。そして最後に飛びだしたのが下写真の特大プラァチョーン。普段はカワイイこいつらだが、このサイズになると引きは強烈。目の前で体をくねらせながら激しく暴れ、大物シャドーの引きを思い出させてくれた。そして、この1匹に一応の満足を得て、不本意ながらも一旦カオレムを離れた。
60cm2.2kgのプラァチョーン(英名ストライプスネークヘッド)、この種ではかなりのビッグサイズ(ちなみに世界記録は3kg)。ルアーはタイ製ルークオークバイパット改(PCスポーツ)。ポイントは本湖筋の通称「ポリスワンド」だ。

(ブンボラペッ・スネークヘッド編1)
 オンボロバスのステップを降りると、そこはタイ中部の地方都市ナコーンサワンだった。この国を訪れる観光客のほとんどが名前すら知らない田舎町、俺がここを訪れた理由はもちろん魚釣りだ。この町の東に広がるタイ最大の淡水湖、あの開高さんも訪れたという 「ブン ボラ ペッ」でシャドーを釣るためだ。ここには前年カオレムダムで一緒に釣りをした日本人シャドーマン「シゲさん」が住んでいる。彼はこの5月、湖畔に釣り人専用のゲストハウスをオープンするという。そこで俺は彼の「初めてのゲスト」にして、「初めてのモンスターゲッター」になるべくやって来たという訳だ。
 
しかし、前情報によるとシャドーの状況はあまり芳しくないらしい。前年ここを襲った大洪水の影響で水生植物の生育が思わしくないためだ。シャドーの釣れるポイントは限定され、以前のように四方八方でバイトがあるという状況ではないらしい。それでもここに来た訳は、「ダメだ」と言われると逆に燃えてしまう俺の性格。そして何より、蓮の花が美しく咲き乱れるブンボラでシャドーと闘ってみたいと思ったからだ。そして、迎えに来たシゲさんの運転する車に乗り、夕暮れ時湖畔に到着した。ゲストハウスは周辺に建ち並ぶ高床式の家々を見下すように高くそびえていた。湖上に浮かぶフロートハウスを想像していた俺は正直たまげた。ブンボラ城と呼ぶにふさわしい、白く輝くゲストハウス。これほどのモノを建てた男が明日からガイドをしてくれる。その時俺は 「モンスター近し」、そう思った…。
(左写真)ブンボラペッ(ナコーンサワン)。バンコクから北に約237km、ナコーンサワン県に位置するタイ国最大の淡水湖(通称ブンボラ)。かつて開高さんも訪れたこの湖は214kuの巨大な面積をほこり、タイに生息するほとんどの魚がここに存在する。岸辺一面に蓮の花が咲き乱れ、昔ながらの自然が色濃く残る。
(右写真)「マフィアのバカンス帽」で渋く決めたシゲさん。ナコーンサワン、ブンボラの開拓者で、日本人初のプロフェッショナルシャドーフィッシングガイド!

(初日)アタリ17回・ゲット3匹・最大魚シャドー40cm
 この日はシゲさん・ルンロー(シゲさんの義父)と共にブンボラ初出撃。ビックサイズは釣れなかったが、とにかく楽しめた。美しく咲き乱れる蓮の花・その中を突き進むルンローの巧みなオール捌き・水深わずか50cmで引き波をたて魚雷みたいにアタックしてくるシャドー。今までの釣りとは全く違うシチュエーション。初めてシャドーと闘った時のようなドキドキがそこにあった。

(2日目)アタリ12回・ゲット2匹・最大魚シャドー58cm
 日の出直後に「ボォーン」と飛び出したのは2キロジャストのシャドー。昨日は稚ャドー(チャドー=シャドーの子供)しか釣れなかった俺にはうれしい一匹。蓮の葉に突っ込まれハラハラドキドキを味わい、とりあえず満足した。

 
ポイントは蓮の花畑を貫く船の通り道、通称「花道」。シゲさんが開拓したこのポイントではフッキングはしなかったが他にも大きなアタリがあり、モンスターの期待大。釣らせてもらった観があるこの「戴きフィッシュ」、明日はもっと大きなシャドーを戴く予定! この夜の夕食はシゲさんの妻ノックが作ったトンカツ。なぜか海苔がふりかけられていたが、おそらく魚の「ノリ」が良くなるように気を遣ってくれたのだろう。 さすがに釣り師の妻である。

(3日目)アタリ3回・ゲット0匹・最大魚0cm
 この日のボートマンは近所の若い兄ちゃん。「若造に名ガイドなし」 という格言はあるが、その若さが産む新展開に期待しボートに乗りこんだ。しかし、日が高く昇る頃になっても一向にシャドーの気配はない。沈黙する水面に咲き乱れる蓮の花、亡霊の様にルアーにつきまとう腐った藻、灼熱の太陽に焼かれ遠くなっていく意識。ブンボラは終わってしまったのか? ここは死の湖、魚はすべて死に絶えたのでは? そんな妄想が膨らんでいく。おまけに若造のボートは漕ぎ進むたびグラグラ揺れる。キャストが決まらないイライラと落水の不安が募っていった。結局、この日は痛恨のボーズ。帰路、この最悪な状況に口数が少ない俺達。この日から酒の量が増えていき、ヤケ酒気味に…。
58cmのグレー系シャドー。ゲン(ペンシル)にヒット!後ろには通称「花道」が写っている。

(4日目)アタリ15回・ゲット4匹・最大魚シャドー50cm
 前日の反省から、年期の入ったルンローおやじと共に出撃。岸辺に生える蓮のポケットを狙ったシビアな釣りを展開する。深場に広がる藻を漠然と狙うより、もっと魚がイージーにトップに出るポイント、「シャロー」に目をむけたのだ。乱射系の正統派スタイルとは正反対のピンスポットキャストを繰り返すと、これまでの沈黙がうそのようにアタリがバコバコある。しかし、蓮の葉の隙間を高速で泳ぐルアー、いくらスピードのあるシャドーといえど、しっかりしたバイトには至らない。アタリが多いだけに欲求不満が募っていった…。


(最終日)アタリ11回・ゲット2匹・最大魚シャドー73cm
 最終日をむかえてなお苦悩する俺達に劇的なクライマックスが用意されていた。朝一のベストタイムに向かった先は「花道」、蓮の花が一斉に咲き始める夜明の時だった。まだ薄暗い湖面に突然「バフッ」という捕食音が響き渡った。モンスター特有の待ち伏せバイトに電撃的にアワセた俺。ノックの海苔を食べていたおかげでフッキングは見事に決まった。しかし、シャドーはドラグを引き出し蓮畑に突っ込む。ラインが鳴り、ロッドはミシミシ音をたてた。ルンローが慌ててボートを漕ぎ、シゲさんはネットを握り捕獲態勢をとる。だが、シャドーは蓮の塊に潜りこんだまま出てこない。この時点でかなりの大物であることが判った俺は、じれったくてしょうがない。いっそ力任せに抜きあげようと思ったが、シゲさんは冷静だった。蓮の葉を一枚一枚どけ、すばやくネットにおさめた。ボートに横たわったシャドーは73cmの自己最大。背中がグリーンに輝くモンスターだった。今までの苦悩がすべて吹き飛ぶその美しさ。結果オーライのタイ式に染まりつつあった俺は「ブンボラはなんて素晴らしい湖なんだろう!」 と思い始めていた…(笑)。
背中がグリーンに輝く73cm。後ろに写っているのがブンボラの番長ルンロー。ローおやじ曰く、背中が緑の固体は妊娠中、産卵し稚魚を保護する頃になるとその緑はもっと深みを増すらしい。
「バーイ!ママ。元気なベビーたくさん産んでね」ちなみに妊娠中のシャドーは「もうすぐママシャドー」、稚魚を育てているシャドーは「ママシャドー」と呼ばれる。

(バラマンディ編)
 約4ヶ月ぶりに帰ってきたチャーチャンサオ、ジャクリットとオームは相変わらずぶらぶら、気が向けば釣りをするという夢のような毎日を送っていた。日本で1日12時間 「アリ」 のように働いてきた俺にとって、「キリギリス達」 は輝いて見えた。そこで俺も「働き虫けら」を脱皮して「キリギリス」に生まれ変わることにした。ここタイには冬が無い。 「キリギリス」 でも飢えることもなく生き延びることができるだろう! 多分…。


 生まれ変わった俺は、日中はジャクリットのルアーショップでゴロゴロしていた。ジャクリットは数ヶ月前、雑誌のバラムンディ特集で表紙を飾った有名人。毎日たくさんのルアーマンがここを訪れる。外人の俺はとても珍しがられ、話し相手には事欠かなかった。彼らのジャパニーズタックルに対する憧れは強く、一応日本人である俺はチヤホヤされた。そして、涼しくなった夕方には決まっていつもミニトーナメントが開かれた。
 その中で俺はいつも一番多くバラを釣り上げた。「タイ人の中にたった1人の日本人。情けない釣果は見せられない」 と思い、のんびり釣りをする 「キリギリス・タイ人」 をよそに、ひとり 「アリ」 のように忙しくキャストを続けた。この時好調だったのが1/2ozのサイレント系バイブとシングルテイルグラブのジグヘッド。どちらも岸際や地形の変化に沿わせ、スローにタダ巻きするのが効果的だった。

 ここに来て3日目のことだった。いつものように 「我先モード」 で野池の一番奥に陣取りキャストを繰り返していた。そして岸際のシャローにマールアミーゴ14g(バイブ)を通したその時、水面が盛り上がりロッドが強く引きこまれた。バス用のウルトラライトロッドは満月状に曲がりドラグが絶え間なく鳴った。今までで一番の大物バラだがスピードがなく、野鯉がかかっているような感じ、安心してファイトを楽しんだ。しかし、突然バラが水面を割って飛び出した。「でかい!」、目の前で何度も躍る銀色の魚体を見て俺はビビリモードに変身。その後は大騒ぎ、てんやわんやの末キャッチしたのは70cm自己最大のバラだった!
 
(左写真)
53cm2kg。やっとバラマンディらしいサイズをゲット!。

(右写真)
シルバーに輝くバラ70cm! 怪魚と呼ぶにはあまりに美しい!

 
ある日、ジャクリットの店でアルバムをめくっていると、1枚の写真に目がクギ付けになった。ジャクリットの友人が大きなシャドーを持って写っている。推定80cm4.5kg、ジャクリットに尋ねると、店から1kmの所にある野池で釣れたと言う。「なんだって!? チャーチャンサオでシャドーが釣れるの?」、俺はシャドーを釣るためにタイにやって来た。外は暑いと嫌がるクリスを無理やり連れだし、その野池に直行した!
 しかし、到着したそのポイントは見るからに平凡な野池。周囲100m、全体的に浅く、水質はマッディ。今までシャドーを釣ってきた所とはあまりにかけ離れたシチュエーションに俺は失望した。ジャクリットの説明によると9cmぐらいのミノーでバラを狙っていると、極稀に外道として釣れて来るらしい。しばらくミノーやバイブを投げてみるがアタリは無し…。豪快かつシンプルなシャドー釣りが好きな俺は10分もしないうちに飽きてしまった。そこで隣の池に移動しライトタックルで外道を狙うことにした。

 
スピナーを岸際にポチャリと落し、スローに巻くだけ。はっきり言って熱帯の国でこんな釣りをするのは相当せこい。しかし、ナイルティラピア・タップティム、そしてレアなジャイアントグーラミ・キノボリウオ・テッポウウオ!何が来るか分らない面白さ、そしてバラやチョーンがかかった時はライトタックルゆえのハラハラドキドキ! ミノーでシャドーを狙うよりはよっぽど楽しかった。しばらくして、スウェーデン製のスピナー「パンサー」を巻いていると小さなアタリがあった。そのまま巻きアワセをして足元まで寄せると…。「ゲ! 何これ!」、頭にコブが生え、全身紫色の変な魚。それを見るなり隣にいたオームが騒ぎ出した。どうやらこの魚は「プラァ ノック ケオ」と言って、ルアーで釣れることがほとんど無い激レアもの。外道ハンターの俺とオームは大喜びで写真をとりまくった。しかしその時、隣の池で俺を打ちのめす衝撃的事件が起こっていようとは夢にも思わなかった…。
 
ふと隣を見ると、ジャクリットとその友人が大騒ぎしながら右往左往している。どうやら大物がかかったらしい。俺とオームがかけつけると、ジャクリットの友人の手には大物シャドーが…。80cm4kgジャスト! 俺が追い求めていた80UPがこんな野池で? 打ちのめされた俺はその場に呆然と立ち尽くすだけだった…。
(左写真)激レアフィッシュ・プラァノックケオ(現地名)。学名を知ってる方教えてください!
(右写真)
シャドー80cm4kg!普通シャドーは80cmを超えると5kgぐらいになるがここのは痩せていた。

 タイにはピーコックバスやピラルクーといった驚くべき魚が放流されている。ここチャーチャンサオにもパクー(現地名プラァ ペクー)という南米の魚がたくさん生息していた。一見とんでもない事態に思えたが、それは「個人所有の池」や「釣り堀」に限定されていて自然湖への放流はないようだ。国中いたる所でバスが釣れる日本とは少し違う点である…。
 さてパクーだが、この魚はアマゾン産だけあって凄い! 先ずは「モノを噛む力」。馬のような歯でジグヘッドを何度グンニャリ曲げられたかわからない。普段バス用に使っているモノでは全く歯が立たず、ついにこの魚を手にすることはできなかった(タイ人が使っているアメリカ製でさえ、釣るたびにヘッド部分が噛み砕かれるぐらいだった)。そして「その引きの強さ」。タイ人が釣った50cmぐらいのパクーの引きには驚かされた。派手さはないが力強く、疲れ知らずのファイトは遥か彼方のアマゾンを彷彿させた。次回はどうしても手にしたい魚である(釣り堀に行けば簡単に釣れるらしいけどね…)。
  一方、本命バラだが、正直ちょっと苦戦した。40cm台なら毎日バコバコ状態だったが、やはり野池ということで油断があったのだろう、70〜80cmクラスにはラインを切られたり、フックを伸ばされたり、一度は30lbのスナップが棒状に伸びきって戻ってきたこともあった。そのポイントは数日前70cmを釣ったところだが、はじめは独り占め状態のここも次第にタイ人が集まりだし、終いには「ブーム時の河口湖状態」になってしまった。タイ人アングラーの間では「釣れている人のそばに行け!」が鉄則となっている。日本では「人の見つけたポイントでのみ釣りをするアングラー」を「イタダキフィッシャーマン」と呼んで相手にしない俺だが、あまりにストレートでシンプルなタイ人の行動に驚き、「ポイント争いが激しい日本のフィールド」が恨めしく思えた。
 そして、最終日。「ミニトーナメント王」の座はあっさりタイ人に奪われた。タイ人がその日釣ったバラは73cm、ポイントは「野池奥」、人が多すぎて俺が愛想を尽かした所だった。シンプルかつストレート、大物を仕留めるのに必要なことはそれだけなのかもしれない…。
(左写真)アマゾンの魚パクー(現地名プラァペクー)。ファイトはパワフル!
(右写真)タイ人「ファックダック」(あだ名)が釣ったバラ73cm!(食べられました…)。

(カオレム・スネークヘッド編2)
 次に訪れたのが5月の初めのカオレムダム。タイ人の友人6人と共に、チャーチャンサオから車を飛ばしてやって来た。これには昨年カオレムシャドー釣り大会で2位になったMrティーや、自ら 「Mrプラァチョーン」 を名乗るオームが参加し、まさに最強チーム。泊まる所もタイ最強の釣り宿「ミソンパンラフトハウス」ということもあり、モンスターへの期待が高まった。
 そして向かえた初日、ボートマンはMrホォー。昨年ポイントを見つけられず右往左往していた男だが、時期が良いのか修行を積んだのかは分からないが、美味しいポイントを次々見つける。この日はカオレム地区とリッチア地区を攻め、4人乗りボートながらもアタリ26回、ゲット10匹。最大で60cmのシャドーを釣ることができ満足した。
 しかし、次の日から俺の不満は蓄積されていった。  「出発が7時半、ポイント到着8時。17時半に納竿」これではベストタイムを避けているようなもの…。 「昼の休憩は4時間」 何にも無い山奥、ヒマ過ぎる…。「小さなスローボートに4人の釣り人」投げるポイントがないぞ…。「ボート漕ぎ 船から落水」 問題外…。「首に留まったサソリ」 俺を殺す気?…。 等々あげたらキリはないが、1番気に食わなかったのが 「自分でポイントを選択できない」 ことだった。確かにMrホォーのガイド力は進化していた。しかし奴のポイント選択はワンパターン、そのため日に日に釣果は落ちていった。そこで俺は自らポイントを指図するが、奴のプライドはそれを受け入れなかった。そして最後に俺はぶち切れ、みんなに言い放った。「俺はチャーチャーンサオには帰らん!モンスターを釣るまでカオレムに居続ける!」。
オーム達とのシャドーハンティング最終日、ウェーディングで釣り上げた55cm2kgのプラァチョーン。 ポイントはドッダ山脇のシャロー。この時乗船者が多すぎて、オカッパリスタイルが当たり前になっていたのだ。このチョーンは当然トムヤムスープになりました!

(初日)アタリ30回・ゲット9匹(総重量9.35kg)・最大魚シャドー65cm2.85kg
 一人になった俺はスッチャイの息子ルーチャイと共にモンスター探索にでた。俺の指示のもとカオレム地区にボートが進む。この船長気分がたまらない。やっぱり一人の釣りは最高だ。地図を作りながら本湖筋を軽く流すこと2時間。 「ドッタ山脇のシャロー」 についた。ここは数日前ウェーディングスタイルで2kgアップのプラァチョーンを釣った場所、この日はじっくり攻めようと思った。そして垂直浮きペンシル(デプスのラドスケール)を激しくドッグウォークさせていると、水草の中から追ってきて 「ボォ〜ン」 と飛び出したのは65cm!開拓初日にしては上出来だった。


(2日目)アタリ61回・ゲット18匹(総重量16.5kg)・最大魚シャドー50cm
 この日はルーチャイと共にリッチア地区の探索を行なう。複雑に入り組んだワンド、浮かぶたくさんの島々、まるで迷路のようだ。しかし、地図を作りながら1つ1つシラミツブシにルアーを撃ち込む。某ワンドでは100mの間に9匹のシャドーが飛び出し、フッキングはしなかったがペンシルに大きなアタリ連発。モンスターは釣れなかったが楽しい一日だった。

(3日目)アタリ49回・ゲット18匹(総重量18.5kg)・最大魚カラスープ52cm2kg

 
因縁のボートマンMrホォーと再び出船。向かった先はやつの十八番「本湖筋の山沿い」。朝から小雨が続くグッドコンディションの中、次々と1kg前後のシャドーをゲット。そして、この辺りでは最高のポイント「コ・アロイ(美味しい島)」に至った時、島の周りをグルグル回遊する黒い影を発見。ホォーは「4kg以上はある」と興奮の面持ち。ペンシルを投げると追ってきて「バフッ」、「モンスターじゃ!」と叫ぶ俺だったが、釣れてきたのは52cmのカラスープ。どうやらコイツが横取りしたらしい。アンラッキーな日…。
(左写真)65cmのバイオレット系シャドー。後ろに写るのがスッチャイの息子ルーチャイ。
(右写真)52cm2kgのカラスープ。このサイズになるとよく引くが耐久力なし。ドッダ山の洞窟にて撮影。

(4日目)アタリ26回・ゲット9匹(総重量20.7kg)・最大魚シャドー75cm
 この日はMrホォーが急用のため、タンという若い兄ちゃんが代打で船を漕いだ。サンゴップの親戚ということで期待をしたが、全然ダメ、問題外のレベル。前夜に大雨が降り、どこも濁りだらけというハンデはあったが、見当違いのポイントを次々廻るタン。地図作りに専念し我慢を続けたが、11時を過ぎて1匹の釣果もなかった俺はついに爆発。 「パイ(行く!)、パイ アロイ(美味しいとこに行くぞー!)」 と叫び、向かった先は通称「マッディ ワンド」。ここは俺とルーチャイが見つけたポイントで、ドッダ山近くにある小さなワンド。普段から濁りが強く、一見すると釣れそうもないが、雨が絡むと大物が岸際の障害物に集中する美味しいポイントだ。その濁りを見たタンは初め困惑顔だったが、俺の家には 「水が濁ったら、本々濁っている場所に行け!」 という家訓がある。タンの顔が驚きに変わるのに時間はかからなかった…。
 水深わずか30cm、岸際に転々とする枯れ枝にバズベイトを超高速で通していく。使用はストレートタイプのバズ(このバズはアイからフックまでがほぼ直線的に設計されているため、障害物に絡みにくく、耐久力が高い。またペラの音が小さく、ナーバスなシャドーによく効く)、障害物に隠れるシャドーの真上を通し、リアクションで食わせる公算だ。釣り始めて5分、岸際に浮かぶ小さな藻の塊の上を通したその時、「バフッ」 という大物特有の待ち伏せバイトがあった。アワセと同時に伝わる凄いパワー、雷魚用ロッドを満月状に曲げ、狂ったように暴れまわるシャドー。しかしラインはPE60lb、俺は強引に引き寄せ、あっけにとられ突っ立っているタンに向かって 「ネット!」 と叫んだ。そしてロッドを船べりに擦りつけられながらも、なんとかランディング。横たわる大きなシャドーは75cm。巨大な頭とバイオレットに染められた美しいボディ、声を失うタンに向かって俺は叫んだ 「アイム シャドーマン!」。
ついにでた75cm!
太くはないが巨大な頭にバイオレットに染まる美しいボディ。
 続いて船を進めること10m、ワンドの行き止まり付近に至る。岸と平行に並ぶ枯れ枝に沿ってバズを引くと 「ボォ〜ン」。 追い食いで飛び出したのは65cm。1匹目のシャドーには及ばないが激しいファイトに心臓がバクバク。
 そして、船をUターンさせ、ワンドの入り口付近。密集した枯れ枝のポケットにバズを通すと「バフッ」、再びロッドを船べりに擦り付けられる激しいファイトの末、釣れてきたのは頬から頭にかけコブ状の突起がある大物特有のイカツイ顔、72cm。自信を喪失し、うな垂れるタンに向かって叫んだ 「タンよ!お前は嗅覚を失った負け犬だ!」。 その後、3kgオーバーと1.5kgクラスを数本追加したところで、土砂降りの雨になったため俺達は岐路についた。途中、タンが警察の制止を振りきり発砲をうけるというアクシデントが発生したが、興奮した俺には祝砲にしか聞こえなかった…。
(左写真)65cm!タンの無能さに鬼と化した俺!これも綺麗なバイオレットカラー。 (右写真)72cm!ほっぺのイカツイ膨らみを見よ!

(5日目)アタリ33回・ゲット10匹(総重量10.5kg)・最大魚シャドー63cm
 朝から小雨交じりのベストコンディション。ルーチャイと共に「マッディ ワンド」 に向かう。45分かかって到着した直後、前日のポイントで63cmのシャドーをゲット。好調は続いていたようだ。しかし、ランディング直後バズベイトが断裂。訪タイ後、41匹のシャドーを釣り、前日4匹のランカーと闘ったルアーは疲労骨折で引退に追い込まれた。
 
その後、予備のバズを使い1.5kg前後を拾いながら隣の「マッディ  ワンド ヤイ」にポイントを移す。そして枯れ枝と水草の複合ポイントで大物の吸い込みバイトがあった。おそらく4kgは軽く超えていたこのシャドー、水深40cmで暴れまわり、バズを粉砕して悠々と逃げていった。折れた場所は1回目と同じヘッドの付け根。アタリも多く、フッキング率も高かったこのバズ、唯一の弱点はその「頑丈さ」だった。一番の武器を失った俺は明日から何を使おうか、頭を抱えた。しかし、この日ついにカオレムマップ完全版が完成、明日からのリベンジを誓う。

(6日目)アタリ18回・ゲット3匹(総重量7.8kg)・最大魚シャドー73cm
 この日のボートマンはサンゴップの息子Mrエッ。こいつとは2年前から顔見知りだが、この日初めて一緒に釣りをする。ミソンパンラフトハウスの跡取りだけに、サンゴップにミッチリ鍛えられているはず、期待とともに出船する。この日初めて乗るスピードボートは値段が高いだけあり、ものすごいスピードで、あっという間にリッチア到着。
 
サンゴップ譲りのエッのポイント選択はさすがだった。岬の先端・水草・立ち木といった単純な組合せではなく、もっと複雑に要素が絡んだ一発大物ポイントを次々と廻っていく。しかし、何かがズレていた。この日は大雨の後の晴天、おまけに蒸し暑い。もっと違った組み立てがあるのではないだろうか? この日はコイツにすべてを任せようと思っていたが、疑念がどんどん膨らむ。事実、午後4時までの釣果は55cmのシャドーと1.9kgのプラァチョーンのみ。これではカオレム最強艇に乗った意味がない。しかし、俺の疑念とエッの焦りが頂点に達しようとしていたその時、水草の脇を引いていたタイ製バズプラグ「エディ」が消えた。突然のバイトに驚き慌てふためく二人、そして暴れまわるシャドー。大騒ぎの末、釣れたのは73cm、青紫に輝くランカーシャドーだった! エッ、コップンカッ!さすがサンゴップの息子だね!
(左写真)青紫に輝く73cm。左に写るのがサンゴップの息子Mrエッ!
(右写真)当時、なぜか被り物で記念撮影することに凝ってたの(笑)。
(7日目)アタリ14回・ゲット3匹(総重量6kg)・最大魚シャドー62cm
 この日の狙いは5kgオーバーただひとつ、燃える闘魂状態でスッチャイ艇に乗りこんだ。本湖筋を流し、エディで62cmのシャドーと58cmのカラスープをゲットし、モンスターへの期待が高まっていく。10時をまわりだいぶ暑くなってきたのでカオレム島裏の水草地帯に移動。エディの鬼引きをしていると、「バフッ」 アワセる間もなく、締めこんだドラグがズルズル出て行く。 「モンスターだ!」 と叫ぶ俺。しかし、指でスプールを押さえ引きに耐えていたその時、急にラインのテンションが消えた。 「切れた!」 へたり込む俺。そして、闘魂は燃え尽きた…。
58cm2.6kg。カラスープとしては大型。撮影中に弱ってしまったため、スッチャイの奥さんに料理してもらいました。

(ブンボラペッ・スネークヘッド編2)
 
二度目のブンボラ釣行は一回目から3週間後のことだった。伝え聞くところによると不調は以前にも増して続いているらしい。水位が下がり、前回モンスターを手にした「花道」は消滅し、北岸のほとんどが釣りにならないらしい。しかしここに来る前、カオレムダム釣行で全精力を使い果たした俺はモヌケの殻状態。おまけに腱鞘炎が再発し、満足にロッドを振れない。休息を兼ねたリラックスフィッシングにシャドーの好調不調は関係ないと思っていた…。

(初日)アタリ3回・ゲット2匹・最大魚プラァビョー45cm
 この日到着が夕方になったため、ブンボラ出撃はとり止め、ゲストハウス裏を流れるナン川でオカッパリを楽しんだ。メガバスの「X-70」を投げ、トゥイッチを続けること30分。流れのヨレの中で釣れてきたのはプラァビィョーというナマズ。口の中にビッシリ 生えた牙、宇宙服を着込んだようなグレイカラー、まるでエイリアンの様。グロテスク好きの俺にはうれしい一匹だった。
 そして、この川にはプラァカァーオ(英名 Great white sheatfish)という別種のナマズが棲んでいる。これらしき魚もヒットしたが、足場に潜られ何もできずにバレてしまった。この魚はタイのルアーフィッシングにおいて「外道の王様的存在」だけに、次回はベストタックルで臨みたい。
現地名プラァビィョー(英名Twisted-Jaw sheatfish)
シートフィッシュの一種。

(2日目)アタリ19回・ゲット5匹・最大魚シャドー1.5kg
(3日目)アタリ17回・ゲット4匹・最大魚シャドー1.5kg
 始めはリラックスフィッシングを楽しむつもりの俺だったが、やはりシャドーを前にしてしまうと手の痛みも気にならないぐらい夢中に…。しかし、やはり不調のブンボラ、釣れてくるのは40〜52cmの小型サイズ。俺は小人とプロレスを演じるつもりはない。俺が釣りたいのはアンドレ・ザ・ジャイアントみたいなシャドー。再び酒をあおる日々が続く…。

(4日目)アタリ10回・ゲット2匹・最大魚チョーン40cm
 この日、シゲさんが「客の前でビックサイズを釣り上げる」という、ガイドにあってはならない愚行を犯したため、俺は「燃える闘魂状態」に…。(注 本当はこの1匹にはとても勇気付けられた。シゲさんぐらい客思いのガイドはタイに存在しないので、俺にとってもうれしい1匹だった)。背中がグリーンに輝き、丸々太ったこのシャドー、しかしシゲさんは浮かぬ顔。どうやらルンローおやじの選択ポイントで釣れたのが悔しいらしい。釣り師としての欲求より、ガイドとしての誇りが優先、そんなシゲさんの気持ちに応えたかったが、俺はこの日も小物のみ…。


(最終日)アタリ11回・ゲット2匹・最大魚シャドー67cm
 そして向かえた最終日、朝から照りつける太陽に俺の闘魂は燃え尽きようとしていた。しかし、諦めムードが漂い始めた7時過ぎ、腐れ藻の塊から引き波をたて「ボォーン」、シャドーが飛び出した。直後にロッドは大きくしなり、ラインがズルズル出ていく。緊迫する船内、暴れまわるシャドー、「沈黙の湖」はモンスターの炸裂で「騒乱の湖」に変わった。そして、ルンローの巧みなネット捌きに短いが緊迫したファイトは終わった。「ゴォォ〜ル!」雄叫びをあげる俺。横たわるシャドーは薄紫に染まる67cm。前回のモンスターには及ばないがグットサイズ。俺のブンボラ釣行はこの時クライマックスをむかえた。
(左写真)ブンボラの王子シゲさんが釣った66cm。これほど太い魚体は珍しい。写真では判りづらいが背中がグリーンに染まる「もうすぐママシャドー」
(右写真)最後に釣れた67cm。ブンボラのシャドーらしいファットなボディ。ヒットルアーはエディ改(タイ製)。
 二度にわたり苦戦を強いられたブンボラ釣行。しかし、最後に結果はついてきた。その理由は魚に聞かなきゃ判らないが、ここタイは「結果がすべての釣ったもん勝ち」の世界。最後に言わせてもらおう! 「一流の釣り人、一流のガイド、一流のボートマン。これだけ揃えばこの結果は当然のこと。俺には初めから分かっていた…。二度あることは三度ある。三度目はどんなモンスターを釣らせてくれるの? シゲさん!」自画自賛、御伊達、そしてシゲさんにプレッシャーをかけることも忘れずに、この釣行記を締め括ろう。