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タイ釣行5 2005年11月
御汁粉河に潜む大魔神、巨大淡水エイ「プラークラベーン(ヒマンチュラ・チャオプラヤ)」
 最大500kgに成長するという超巨大エイ・プラークラベーン(ヒマンチュラ・チャオプラヤ)トローリング用リールの固定ネジが真っ二つ、そして5人がかりで釣り上げた全長4.5mの大魔神! これは「釣り」ではない、「戦い」だ…。

「御汁粉河の大魔神」前編

 その夜、体にネットリと絡みつくような蒸し暑さに絶えられず、俺達は小さなレストランで酒を飲み始めた。ビアチャンも2本目になると、タイ語の響きはますますとろける様に耳に入り込み視界は揺らぎ始めた。タイ語はさっぱりで何を言ってるのかはっきり分らぬが、話題はどうやらあの怪物のことに変ったらしい。ジャクリットがオームをしきりに説き伏せているようだった。俺の横目はオームの表情が少しずつ曇っていくのを見逃さなかった。甘ったるいタイ料理を口に運びながら、「またベストシーズンを外して来てしまったのか…」とぼんやり思った。
 その怪物の存在を知ったのは2004年の始め、タイの友人ジャクリットからの突然のメールによってだった。その怪物とは現地名「プラァ クラベーン」、タイの魚図鑑によると最大幅2.5m500kgになるという巨大淡水エイだ。「19時間ファイトして、最後にジギングロッドを折られてバラした」とか「交代で睡眠をとりながら、10人で闘った」「友人が指を噛み千切られた。毒針に刺されて1ヶ月入院した」など、その時は正直釣り師お得意のホラ話だと思っていた。しかしその後送られてきた添付写真には死にそうな顔でロッドを抱えているオーム、そして畳2枚分はあろうかという巨大エイが写っているではないか! それを見た俺は「これは狙うしかないだろう!」と鼻息を荒くしたものだった。
 普通、この種の「餌釣りの巨大魚」を海外で狙う場合、「ツアー」にしろ「旅的に現地人に案内してもらう」にしろ釣り師の資質は問われない。カザフスタンのヨーロッパ大鯰・アマゾンの巨大鯰もそうだと思うが、正直言ってこの種の釣りは「そのフィールドの自然の豊かさ」と「案内人がどれだけその釣りに精通してるか」が最重要で、釣り師はただ釣らせてもらうだけなのだ。そう、モンゴル帰りで疲れていた俺はインパクトのある怪魚を、彼らの力をかりて簡単に手にすることを目論んでいたのだ。
 しかし、オームのボヤキをジャクリットが英訳するには「今はシーズン外なので正直厳しいかもなぁ。」とのことだった。俺は少しだけ失望をおぼえながらも、小さく「マイペンライ!(大丈夫、問題ない!)」と呟きビールを再びあおった。するとオームは少しだけ明るく笑って見せて、一気にコップのビールを飲み干した。そう、ここは微笑みの国タイランド、やってみなくちゃ分らない。もしダメだとしてもマイペンライだ。そして翌朝からその怪物を追い求めることになったのだ!


 翌朝、ジャクリットの運転で御汁粉河に到着すると、オームは既に釣りを開始しているようだった。「サワディーカップ!(やあ!)」と声をかけると、「ニタリ」と笑い岸辺を指差した。ロープがコンクリートの塊にしっかりと結びつけられ、その先は御汁粉汁に沈んでいる。「なんだよ? ま、まさかプラックラベーンなのかっ!?」、オームがもう一度ニタリと笑って大きく頷いた。「ええっ! なんでこいつは我先で釣ってしまうのか? 待ってくれていてもいいのにな…」、俺は複雑な心境で作り笑いを浮かべながらオームを祝福した。
 しかし服を脱ぎ御汁粉汁に飛びこんだオームがソレを持ち上げた時、そんなセコい思いは吹っ飛び、そして圧倒されてしまった。「ば、バケモンだ…」、
その怪物の存在感は目に映る全てのものを圧倒していた。川辺に高床家屋が建ち並ぶ何てことのない田舎町の風景の中では異質でさえあった。そして「淡い期待」が「強い意志」へと変化した。「この怪物をなんとしてもこの手にするぞっ!」。
「御汁粉河の大魔神」こと、
巨大淡水エイ、現地名「プラークラベーン

(学名Himantura chaophraya)
「自然界」に潜む魔物を狩った者のみに許される
「水中に飛びこみ、大魚を抱える」の図。

 タックルはカジキ用のトローリングロッドにリール、80lbのナイロンラインの先に約1mのワイヤーリーダー、そして2本のジギング用の極太フックだ。エサは「約25cmの生きたプラァチョーン」。1つ目のフックは口に、もう1つは腹部に突き刺すのだが、ウナギのようにウネウネと手のひらをすり抜け、なかなかうまく刺さってくれない。しかし、外国人は過剰に「お客さん」として扱われるこの国で、「仕掛けのセット・エサ付け・キャスト・アワセまで現地人が行ない外国人はファイトを楽しむだけ」という光景を何度も目撃してきた俺は「できることは全て自分でやること」にこだわった。
 しかし、なんとかエサをとりつけ仕掛けを投入する段階ですでに「ひとりで出来ないこと」が生じてしまった。大掛りなこの仕掛け、当然のことながらキャストはきないので小船で流芯まで運ぶことになる。リールを手にしラインを送り出す者、小船を漕ぐ者、エサを水中に沈める者。
仕掛け投入の段階ですでに3人がかりなのである。確か小学生の頃、「餌釣りの釣果は仕掛けを投入した人のものである」と本で読んだような気がするのだが、この段階で「一人で釣り上げるという夢」は儚く散ってしまった あぁ…。
 気を取り直してリールを手にする。俺は少しづつラインを送り、オームの手下の小僧がプラスチックボートを漕いで仕掛けを流芯に運んだ。怪物の獲物となる雷魚が御汁粉汁の底へと沈み、ロッドをコンクリートの塊に突き立て、水風船を輪ゴムでラインにとりつけた。大魔神が餌を食べると「ビィヨ〜ンビィョ〜ン」と風船が上下し、闘いの合図になるわけだ。

 それから、ただひたすらに「その時、その衝撃の瞬間」を待った。しかしである、照りつける殺人的な太陽に「待てるわけねぇだろっ! 俺は絶えずキャストをしてなければ気がすまないルアーフィッシャーマンだぜ!」ということで、小物釣りをやってみる。市場で買った小海老をエサに、スピニングタックルで現地名「プラァマー」という魚を狙うのだが、その他にも鯰や手長海老などの様々な外道が釣れるので楽しいのだ。
 その内そんなお手軽な釣りにも飽き、ビールを飲み始める者(俺だけです、ハイ 笑)・タバコを吹かす者・話しこむ者と、誰もが大魔神のことなど気にしなくなってしまった。馬鹿話しに華が咲き笑いが実をつけ、ダラダラと時間だけが過ぎていった。
 しかし俺はというと
「無欲を装う大欲釣り師」、喉を潤すビアチャンに視界がグラグラ揺らごうとも小鯰に心を躍らせようとも、横目だけは「その時」に備えて水風船から離れることはなかった。緊張感はゆったりとした時の流れに溶解し、その時が訪れようとはとても思えなかったが、その朝オームが手にした怪獣の姿は俺の脳裏にしっかりと焼かれていた。
 左から写真1(額のエメラルドグリーンがスワイチンチン!(メチャ綺麗)、 現地名プラァマー)。2(オームが小海老をエサに釣った手長海老。透き通った深い海の色を思わせるコバルトブルーの腕を見よ!)。

 御汁粉河に日が沈み、誰もが釣りをしていることさえ忘れてしまった。その夜は再びオームのママが経営するレストランで酒を飲み、そのまま2階に転がり込んだ。翌日も朝からゆったりとした時の流れが永遠に続くかに思えた。しかし、「その時」は何の前触れもなく突然にやってきたのである。
 「んっ!?」、何気なく振り返ると水風船が上下に揺れている。風などではない、「奴だ!」。ピンク色の風船が「ビィヨ〜ンビィョ〜ン」と上下するそのマヌケな光景とは裏腹に1日半に渡るノンビリムードは吹っ飛び、一気に場が緊迫した!
 「アワせようか?」、オームがはやる俺を制しラインを少しだけ手繰り寄せて様子を見る。しかし、しばらく難しい顔をしていたと思ったら、首を横に振り「もういないぞ」と一言呟いた。
 クソ重たいリールを持ち上げ、仕掛けを回収する。水圧とバカでかい仕掛けのせいで巻き上げるのに一苦労だ。汗がポタポタと地面に落ちた。しかし、やっとのことで水面に現われた仕掛けを見た瞬間に凍りついた! 
「ま、真っ二つ…」、約25cmの鯰の頭から下が消えていた。「ノンビリしている場合じゃねぇぜ! 奴は一体何なんだぁ〜!」
 プラチョーンは高価なので、この日のエサはプラァドッ(鯰)。なんと真っ二つになって戻って来た! オームの友人が指を噛みきられるのも無理はないか…。

 「うわっ! よりによってこんな時に…」、いつものことだが大魚は「気」を抜いた時に限ってやって来るものである。セカンドインパクトはそれから2時間後のことだった。それは、俺がマヌケ顔をさらして口一杯に空揚げパンをほお張っていた時のことだ。「お腹が空いたよぉー!」というオームに付き合い、ほんの少しだけ釣り場から離れて昼食をとっていたのだが、突然携帯が鳴った!
 タイポップスの軽やかでちょっと間の抜けた着信音とは対照的に、一言二言やり取りをするとオームの顔がキリリと引き締まった。「タケェ〜、行くぞぉぉ〜!」、訳も分らず続いてバイクにまたがると、オームの「プラァァ〜クラァベェ〜〜ン!!」という叫びが空にこだました。

 細い小道をマッハで50mほど走り抜けた。「ギィィィィー!」、川辺にバイクの急停車音が響くと、懸命にロッドを支えるゴップ(オームの友人)の姿が目に飛び込んだ。「タケェ、早くしろ!」、すぐさまロッドを手渡されドラグをガッチリとしめた瞬間、思わず声をあげてしまった。「うわわわっ!」、走り出した大魔神に引きずられサンダルの底が「ズルゥゥ〜ズルゥゥ〜」と悲鳴をあげた。足裏のグリップが効かず御汁粉汁に引きずり込まれそうになり、オームに体を支えてもらいドラグを調節した。
 「な、なんだこいつは…?」、速度はゆっくりだがまるで万力のようにラインを引き出してゆくその走りに、終わりの無い悪夢を感じて怖くなった。しかし、それはこの闘いの序章にしか過ぎなかったのである…。

 思うがままに気が済むまでラインを引きずり出すと、魔神は川底に張り付いて動かなくなってしまった。ここからがこの怪物との本当の闘いが始まったのだ。その距離約100m、
「渾身の力を込め底から引き剥がして、ただ巻き続ける」、「これは一体釣りなんだろうか?」「つ・な・ひ・きか?」、こんな闘いは初めてだ。凄いファイトで一番に思い出されるのはアマゾンで「巨大ジャウーと思われる魚」と闘ったことだが、あれはまだ魚とのやり取りをしている感触があった。しかし、これはまるで大岩を川底で転がしているようなものだ。全体重をかけロッドを引き寄せ、瞬時にラインを巻き寄せる。体中の筋肉が強張り、骨が軋み、毛穴中から汗が噴出し、ただただ辛い。少しづつほんの少しづつだがラインはリールに巻かれてゆくが、引き出された膨大なラインを考えると「その終わり」がいつまでたっても見えてこないのだ…。
 それからどれぐらいの時間が経過したのだろうか? 気がつくと野次馬がズラリと河辺を陣取った。その数約40人、俺の叫び・呻き・溜め息、その一挙手一投足に無責任にも歓声をあげ、微笑み、口々に囁き合っている。まるで動物園の猿になったような気分になり、俺は余裕を失いながらもおどけて笑ってみせた。
 しかしその時、「うおっ!」、股間に激痛が走った! ハーネスとロッドの間にタマ袋を挟んでしまったのだ…。「タケェ、どうした!?」、オームが心配そうに俺の顔を覗きこむ。「袋、挟まった…」と答えると、オームが群集に向って叫んだ。「イプン(日本人)、★○×●◇●×▼〜! カイ(キン●マ)、☆★○×◇▼〜!! ワハハハッ」、ドッと笑いが起きる。俺の緊迫状態とは裏腹にその場はまるでコメディー劇場。「笑ってる場合じゃあないって、タイ人よ! もぉうっ!(怒)」。

 「細いラインに伝わる暴力的なファイト、思わぬ大物に慌てる時」「どうってことない外道に落胆する時」「この魚だけは逃がしてなるかと思う時」。魚とのファイトにおいて、時流の感覚は釣り師の心理状態によって左右されるものだ。かつてこれほどまでに時間の流れが遅く感じたことがあっただろうか? 初めてタイメンとファイトした時、その思い入れの強さに、とても長いこと闘ったように感じられたものだ。しかし、大魔神との闘いはそれとは全く異質なものだった。「釣り」という分野を飛び越え、人が最も時間の流れを遅く感じるのは「苦痛を感じている時」に違いない。魚に苦痛を味わわされるのは、これが初めてだ…。
魚に苦痛を味わわされるのは これが初めてだ…
苦痛に満ちた写真集はこちらのBLOGにGO!
 魔神とのファイト、遂に開始! ナイロンの80lbを使っているとはいえ、全精力を使い巻き続けるのでラインブレイクが怖い。その場合モノ凄い勢いでロッドが顔面に直撃する危険性があるので、顔はズラシ気味ファイト。

 大魔神との距離は約10mに縮まっていた。「御汁粉汁に沈むこのラインの先にあの怪物がいるのか…」。しかし、「あと少し」とは到底思えなかったのである。大魔神は再び底に張りつき、今度は何を試みても微動だにしなかった。オームが「船に乗り真上から力を加えないと無理だ」と呟いた。全くその通りだと思った。しかし、小さなプラスチックボートを目の前にし、ライフジャケットをジャクリット家に忘れてきたことに気がついた。実は俺、「お・よ・げ・な・い」のだ…。転覆の危険は高く、以前もオームがファイト中に経験している。悔しいが俺は諦めた。目の前の手の届きそうな距離まで寄せながら俺の闘いは終わった。オーム達が「ワンマンショー」と呼ぶ、「走り出した魔神が川底に張り付いてから、ランディング場所のスロープまでをたった一人でファイトすること」、それを達成する目標は潰えた。
 
オームが代わりに小舟を漕ぎ出した。「捕ってくれ!」、だが「行かないでくれ…」、皆の「期待」と俺の「敗北感」をはこんで…。

 オームはドラグをフリーにすると、魔神との距離を少しずつ縮めていった。やがてその真上に陣取ると、ロッドを手にし一瞬こちらを振り向いた。その眼光はかつてなかったほど鋭く、「このアホキャラ男」の真剣な姿を初めて目にした俺はちょと驚いた。
 一呼吸おいた後、渾身の力を込めロッドを起し始める。トローリング用の極太ロッドが歪な孤を描き、相当な力が加わっていることが見て取れた。船縁にブランクが擦りつけられ「ギシッギシッ」と不気味に鳴いた。「お、折れるんじゃねぇの〜?」、俺は気が気でなかった。
 しかしそれから数分後、「時」は動いた! あれだけ手をつくしても微動だにしなかった魔神が急に浮いたのだ! 「★○×●◇●×▼〜!」、オームがこちらに向かって大声をあげた。それが合図となり皆で一斉に小舟につながるロープを引っ張り始めた。
 それからはあっという間だった。魔神はロープの引きに誘導され、まるで飛行機が着陸するかのように川に沈むスロープの先端に乗ったのだ。「ウワァァーー!!」と一斉に歓声があがる。しかし、これからどうしたら良いものか? 推定で200kgオーバー、この怪物をどうやって水面に持ち上げるのか…?

 陸に上がったオームは小舟からロープを解き、その先端を俺に手渡した。そしてTシャツを脱ぎ捨て、もう一方を口に咥えると「ザブッ〜ン」と御汁粉汁に消えた。それから数十秒が経過した。時折ブクブクと泡が立ち、川底で何かが起こっていることは確かだった。
 その静けさがかえって無気味だ。「だ、大丈夫かな…。毒針にやられていなければいいが…」。とその時、「ウホッオオオ〜!」という獣ような悲鳴と共にオームが水面を割った。「どうしたっ!?」、見ると腕がまるでムチに打たれたかのように真っ赤に腫れている。どうやら尾にやられたらしい。魔神の尾には強固なトゲが無数に生えていて非常に危険なのだ。オームのその瞳に恐怖の色がありありと浮かんでいた…。


 しかし、魔神の鼻穴にロープは通された。そして、オームが命がけで尾の付け根に生える毒針を折ってくれた。後は力ずくでスロープの上部にズリ上げるだけとなった。
 俺はロープを力任せで引っ張り始めた。群衆の中から子供達が飛び出して来て、それに加わった。「ワッショイ、ワッショイ」、皆で引っ張り続ける。それは綱引きそのものだった。「とにかく姿が見たい。この手で怪物を抱いてみたい」、もう自分の魚だとか、一人で釣り上げるとか、そんなことはどうでもよくなっていた。そして、とうとう魔神が姿を現したのだ!

まんま 綱引き…

そして、
大魔神はジオン軍モビルアーマー「グラブロ」にそっくり! ガンダム世代の釣り師にとってモビルアーマーを釣ること、それは夢…(ホントかっ!笑)。

ネット上からコピーすると、著作権が問題になりそうなので、マウスを使って自分で書きました〜!(ソフトの変換がうまくいかず、グラデーションがうまく出ていないが…)。
全長4m  その瞬間の写真集はBLOGにGO!

御汁粉汁に飛び込んだ時、キン●マ袋がピリリと痛んだ…。
その時初めて出血していたことに気がついた。
だけど、
そんな痛みはあっという間に薄れていった。
遂にこの手に抱いた
まだ毛も生えてなかった幼き頃の憧れ、モビルアーマー!

・・・・・・・・・・

「御汁粉河の大魔神」後編ダイジェスト
 南国の田舎街での日々は、
まるで灼熱の太陽に照らされたアイスクリームの様に溶け、だらしなく過ぎては消えていった。
「衝撃」から5日が経過した。
ただ、魔神の圧倒無比なその影は片時も忘れることはなく、
「ワンマンショーを達成する野望」はいつも頭の中を支配していたのである。


そして、再び闘いが始まった…。
(今回もアタリが来るまでとてつもなく長かったので、過程は省略 笑)

突然リールが悲鳴をあげた! そして、モノ凄い勢いでラインは出て行った。
しかし大魔神はすぐにUターン、こちらに向かって来たのである!
渾身の力を込めてリールを巻き続けると、どんどんラインは巻き取られていった。
「スモールサイズ!」
苦笑いを浮かべ、俺は皆に向かって叫んだ。


しかし、それから闘いは果てしなく続くのであった…。

岸から40mまで寄せたところで、大魔神は今回も川底に張り付いて微動だにしなくなった。
「スモールじゃないよ! とてつもなくビックだぜ!」「それにしても、またなのか…。苦痛に満ちた闘いが再び始まるのか…」
岸からではどうすることもできず、小船で戦闘開始!(今回はライフジャケットを忘れなかった 笑)。
安定感皆無の細長い小船ではとても心細かったけど、
皆が見ている手前、勇ましく乗り込んだ(フリ)。

そして、約1時間経過したところで、股間の痛みに負けました…。
「魚に苦痛を味わわされるのはもう嫌だ…」。ホントは「サバイ、サバーイ(超快適)」が大好きなの…。

2番手「オーム」、3番手「ゴップさん」、4番手「Tri−phopさん」(タイ在住の日本人)、5番手「オーさん」と続くが、
一向に「その終わり」は見えてこなかった。
オーさんのファイト時に大魔神が少し浮上し、約5mほど動かすことに成功したのですが、
「キン●マが痛くてもうダメだ」と戻ってきました…。
ハンサムでお金持ち、タイでは典型的なイケメンキャラの彼が股間を押さえつつトボトボと岸に戻ってくる姿はかなり笑えました…。

そして6番手、「もうお前しかいないんだ!」。再び汚れ役のオームがロッドを握る。
少し贅肉はついているが、屈強な体を持つこいつなら状況を打開してくれるような気がしたのだ。



しかし、あまりに張り切りすぎたのか、最悪の事態に発展!
突然、「バンッ!」という大音量が響いたと思ったら、

なんと、リールをロッドに固定するボルトが4本全て断裂した…。
野次馬から諦めの溜息がもれる中、
急遽、大魔神に繋がるラインを30mほどカットし、予備のリールに結びつけた!

そして、時は動いた。
アタリから約2時間後、遂に大魔神がその姿を現した!


「あぁ、今回も一人で釣り上げることは無理だったな…」
でも、
仲間がいたから、この1匹に出会えたんだ。

Special thanks to
Mr.Ohm Mr.krit
Mr.Gop
Mr.Oh
Mr.Tri-phop

綱引きに参加してくれたお子さん達


「御汁粉河の大魔神」 END
微笑みの国の有り触れた風景の中にも「衝撃」はまだ存在するのである…。
「御汁粉河の大魔神 後編」は
日本経済新聞国際版「日経ギャラリー2007年5月号」・「アジア釣遊記 その1」でもお楽しみいただけます!
世界怪魚釣行記