中学生の息子が同級生に殺された。が、14歳という年齢は少年法の厚い壁にはばまれて固く保護されて、2人殺した
凶悪犯であっても、刑事罰に処せられることは無い。罪を犯した少年は、少年院に送られるが、3年ほどすれば社会に出てきて
過去を問われることなく一般人としての社会生活を送ることが出来る。
それでは殺された子供のほうは、その家族はどう子供の死と向き合えばいいのかという思いから父親は乞われるままに週刊誌に
自分の気持ちを吐露する。が、世間の反応は冷たく、それが引き金となって家族はバラバラ、2人の娘たちは母親についていってしまい
会社からも長期休職を強いられ孤立してしまう父親。納得出来ない父親は、事件以後謝りにも来ない少年の母親に怒りの矛先を向けるのだが…。
主人公の父親にも、その妻にも娘たちにも、それぞれに課せられた「断崖」がある。殺した側の少年の母親にも深い断崖がある。
そこに会社の問題、上司や相手企業の責任者たちなどの問題も湧出してくるのだが、一つ一つの問題がきちんと分りやすく描かれているので
読者は、流れに沿ってぐんぐん読み進めることが出来る。
断崖は断崖として、へんに解決をせずに放置して作品を終える終わり方にも好感が持てた。
この作者は、以前「絆」という作品でも感銘を受けた記憶がある。いい書き手だと思う。
(2009年11月5日読了)