委任状

公正証書作成委任状
 公証人に公正証書の作成を嘱託する際に,自分自身は都合がつかないなどの理由で公証役場に出頭できないときは,他人に公証役場に行ってもらうことができます。
 この場合の「他人」を「
代理人」といい,代理人に公正証書の作成を頼むことを「公正証書作成嘱託の委任」といいます。
 民法上は「
委任契約」に該当します。


委任が許されない場合
 遺言は,契約ではなく,本人自身でなければできない行為ですから,代理人をたてて遺言公正証書の作成を嘱託することはできません。
 
尊厳死宣言公正証書も,本人が公証人の面前で尊厳死を望む旨を宣言する必要がありますから,代理人に代わりをさせるのは無意味です。


代理人にできない人
 上記以外のたいていの公正証書は,相手との契約の締結を内容とするものですから,代理人をたてることができます。

 ただし,ことの性質上,
契約の相手を自分の代理人にすることはできません。
 また,
相手の代理人を自分の代理人にすることもできません。

 未成年者や法定被後見人など,法律上の行為をする能力がないか,または制限されている人を代理人に選任することはできません。


委任状
 本人が代理人に委任する旨を記載した書面が「委任状」です。

 公正証書はただちに強制執行を可能とする強力な証書ですから,内容があいまいな委任では非常に危険です。
 また,わが国では印鑑登録制度があり,委任状に実印が押され,印鑑証明書が添付されていると,それだけで真実委任があったものと推定されます。
 原則として,直接本人と連絡をとって本当に委任したどうかの意思確認をする必要がない,とされています。

 このため,公正証書作成委任状は,作られる公正証書の内容を正確に記載し,この内容で代理人に委任するということがはっきりしたものでなければなりません。

 公証役場では,実印の押捺と印鑑証明書の添付がある委任状でなければ受け付けることができません。
 (会社が委任するときは,法務局に登録された代表者の印鑑と印鑑登録証明書,それに代表者の資格証明書ー登記事項証明書ーが必要です。)

 しかも,委任状には委任する事項が明確に記載されていなければなりません。
 この委任事項の記載は,委任状の本文に記載する方法や別紙として添付する方法があります。

 契約の種類やケースに応じて法的に遺漏がない適切な公正証書を作るために,事前に公証人と相談することができます。当事者間で決めた内容について事前に公証人のチェックを受けることもできます。
 その結果確定した条項案を委任状に別紙として添付することにすれば,スムースに公正証書を作成することが可能です。

 なお,代理人は,運転免許証,パスポートまたは写真付き住基カード,認め印を公証役場に持参してください。

 委任状の書式は以下のとおりです。
 注意事項とともにプリントアウトして使用してください。

    WORD版
     公正証書作成委任状の書式  委任状作成上の注意




認証委任状
 私文書の認証,つまり,私文書の署名が間違いなく本人によってなされたことを公証人がおおやけの立場で確認し,対外的に証明することを公証人に嘱託する場合にも,代理人をたてることができます。

 代理人は,その文書にある署名は本人が間違いなく自分のものであると認めていることを確認したうえ,公証人に対し,そのことを陳述するのです。

 この場合,本人は,代理人に対し,その文書について自分を代理して公証人の認証を受けることを委任するという委任状を交付しなければなりません。

 なお,代理人は,運転免許証,パスポートまたは写真付き住基カード,認め印を公証役場に持参してください。


 委任状の書式は以下のとおりです。
 注意事項とともにプリントアウトして使用してください。

     WORD版
      認証委任状の書式   委任状作成上の注意

 電子定款の認証嘱託を委任する際の委任状(Word版)です。
 ダウンロードし,所定の記入及び電子署名をしたうえ,認証済み定款ファイルを入れるフロッピーとは別のフロッピーに入れて公証役場に持参してください。

     電子認証嘱託委任状

   



代理人の職責など
 本人から委任を受けた代理人は,委任状と本人の印鑑証明書などの必要書類を持って公証役場に出頭し,自分が委任状に記載された代理人にほかならないことを運転免許証やパスポート,住基カード(写真付き)で証明する必要があります。

 委任状などの書類の確認,代理人の証明がすんだら,公証人による公正証書の作成,私文書の認証に入ります。
 公正証書の作成の場合,公証人は,委任状に記載されたものと違う内容の公正証書を作成することはできません。
 相手方の要求などにより契約の重要な一部分を変更する場合には,あらためて委任状記載の委任事項を変更することについて,本人の了解を得なければなりません。

 委任状が本人の意思の基づいていない場合や代理人が本人に無断で内容を変更したときは,作成された公正証書は無効となり,代理人は「無権代理人」として相手方からの責任追及を受けることになります。

 また,公正証書が代理人の嘱託によって作成された場合,公証人は,「代理人○○の嘱託により公正証書が作成された」旨の通知を本人宛てに郵便で連絡します。

 万が一,委任者とされた本人が実際には委任などしていないときは,本人は裁判所に「請求異議の訴え」を提起して公正証書の無効を宣言してもらうことができます。
 この場合,自称代理人は私文書偽造などの罪に問われる可能性があります。