〜あらすじ〜

(つのだじろう編)


超人追及編

 事実を事実のまま完全に再現することは

いかに おもしろおかしい 架空の物語を生みだすよりも

はるかに困難である――

(アーネスト・ヘミングウェイより)

 時は1953年6月のある夜ふけ・・・男はニューヨークのある地下室で左右からナイフ
を突き付けられ、さらにはテーブルをへだてて3つの銃口も彼に向けられていた・・・。
 さらわれた人を助けようとして暗黒街に立てついたからである。
通常では完全に助からない状態である・・・が、一瞬の隙を狙ってテーブルを蹴って銃
を持つ敵を攻撃、同時に「弧拳」を使ってナイフの敵を攻撃・・・。
時間にしてわずか数秒でこの危機を脱したのである。

 1954年7月21日、シカゴの闘技場にてその男が再び到来・・・。
観客からクレイジー(狂人)とののしられながらも、ただ1人、武器も持たずに猛牛と
対決し、死闘の末にたった1回の手刀で倒す・・・。

100mを10秒8で走る男・・・。

 力道山が語る、自分ですら負けた相手をたった一撃でKOさせた男・・・。
その男の名は、大山倍達・・・。
だがその男は今にも崩れそうなあばら家で、わずかな弟子を教えている貧乏空手家
だった・・・。
しかし腕は自然石を素手で割れるほど驚異的なものだった。。

 

 終戦直後、特攻隊帰りの倍達は負けた日本に絶望する。
途中車に乗って襲ってくる米軍を見事倒したのをグレン隊がみてそれの用心棒となる。
立てつく暴力団達を次々と倒していくが、倍達の心は虚しかった。
そこに一冊の本が目に入った。
それは、吉川英治著「宮本武蔵」

 その書物のおかげで修行に目覚めた倍達は千葉県清澄山に山ごもりをする。
猛修行にあけくれ、人恋しさに山を下ろうとした時は片方のまゆをそって止まった。
その末ついに念願の自然石割りを達成。自分は強くなったと実感した。

 修行の成果を試すために倍達は京都で開かれる全日本空手道選手権大会に出場。
試割りの部ではなんと瓦17枚を割ってのける。。
だがそこで倍達は信じられない現実を見ることになる。
それは、空手は一撃必殺ゆえに紙一重で止めよ!というルールがあったからだ。
決勝では反則を犯すものの見事優勝する・・・が、あまりの空手の脱落ぶりを見て
「空手ダンス」と批評してしまう。
それ以降大山空手は孤立させられる・・・。
だがそこで倍達は有明省吾と出会う。

 倍達はより強い者を求めて、剣道防具を持参し真剣勝負をして渡り歩く。。
神戸まで流れ着いた後、有明省吾と再び出会い、思いっきり戦える相手・・・
つまり牛と戦うことを決意する。
 それは九十九里浜でついに実現し、巨牛「雷電号」と対戦。
が、牛の顔面に正拳をクリーンヒットさせても牛はびくともしない。。
牛の角は徐々に腹に食い込んでいく・・・。そしてもう1つのある重症も倍達には襲っていた。
しかし、牛の耳の下が急所だということを知った倍達はそこを攻撃して見事勝利する。
が、親指の複雑骨折という重症を負う。

 牛と戦ったその死闘は各空手界からは邪道だ、インチキだ、と批判され、その矢先
倍達は柔道を習い始める。
牛殺しの上をいく熊と戦うため受け身を空手にプラスするためである。
そこで指折りの柔道家である竹林と出会う。
彼の一本背負いで倍達は気を失いかけるが2度の攻撃に何とか耐える。
尚も攻撃しようとする竹林に館長は負けを宣告する。
 それでも負けたと聞かされた有明は大学空手部に殴り込みをかけるが袋叩きに合う。
これ以上の私闘をさせまいと倍達は竹林と真剣勝負をしてみごとこれに勝利する。

 その後いよいよ北海道に渡り、熊と戦うことになるが、決戦を前にした夜、竹林の親友
が敵討ちに真剣で勝負をしかけてくる。
死闘の末見事に勝利する・・・がこれが熊との死闘を妨げる原因ともなった。
熊との対決は特攻作戦により片目まで潰せたが、戦いの途中に警察によって中断させ
られてしまう。
無念の思いをつのらせて帰宅した倍達を待っていたのは有明が非行に走った姿だった。
原因は熊との死闘をインチキ呼ばわりした他流派の空手家とケンカしたことだった。
有明はさらに留置場から脱走、自ら破門願いも出していた・・・。

 荒れ狂う有明に悩んでいた倍達に腕利きの男が現れる。
拳闘王と呼ばれたピストン堀口である。
倍達は彼とスパーリングをして気分が晴れるが、数日後堀口は不慮の事故で他界する。
時を同じくして有明は暴行を繰り返し、倍達はついに有明を破門処分にする。
が、その日のうちに有明は交通事故に合って他界してしまう。
死ぬ間際に暴行は大山空手のためだったと聞かされる。

 鬱な気分の倍達は暴力団の幹部の1人とケンカをし、誤って殺害。
正当防衛が成立するが、残された家族から白い目で見られる。
考えの末倍達は空手の道を捨ててその親子のために一生償いをすると決意する。
長く辛い償いであったが、倍達の気持ちが通じてついに和解することに成功する。


無限血闘編

 電報を受けて東京に上京した倍達は、トッド若松からアメリカへ格闘技の遠征の話し
を持ちかける。
倍達は空手を捨てる誓いを立ててるため断ったが、償いをした家族から世界一の空手
家になってほしいという気持ちを受けて空手界に復帰、遠征も承諾する。
途中遠藤幸吉というプロ柔道家と同行してアメリカに旅立つが、その行きの飛行機の
中で倍達は酔い、それが最初のアクシデントとなる。

 そこでプロレスというもののすごさを見せ付けられた両者は試割りだけの許可をもらい
マットの上にたたずむ。
だが、対日感情が悪く、「キル・ザ・ジャップ」や「リメンバー・パールハーバー」とののしら
れて圧迫を受ける。
試割りは無事成功するが、インチキだと批判したプロレスラーと半病人の倍達は戦う。
体力は無い状態であったが、攻撃を紙一重でかわしながら目突きをくらわせて勝利する
が、レスラー、観客がこれに激怒。倍達達はピンチにさらされる。
そこで倍達は三角とびを使いレスラーの頭を蹴り、これを3年殺しと言って恐怖に陥れ、
危うくその場から解放される。

 人間起重機と呼ばれるレスラーとの対決では、飛行機投げという死に至る技をくらい
つつも飛ばされる直前の蹴りによってなんとか勝利するが、背後から老人が復讐じみた
行為を行い倍達は負傷する。
警察によってその場は助けられるが、ホテルに戻った所武装した民衆に囲まれる。
絶体絶命のピンチになるが、突如FBIが現れて暴徒は静まった。
FBI捜査官ドナルドは倍達達の実力を認め、彼をコーチに招いていたのだ。
スナイダーは、最初空手のコーチを拒否するが、試割り、実戦で手玉に取られたことに
よって改心し、コーチを受けるようになる。
倍達たちがFBIに取られることを不満に思ったトッド若松は、倍達との対戦相手を反則
専門のレスラーに変える。
死刑執行人の異名を持つレスラーに倍達は苦戦させられるが、起死回生のひじ打ちに
より勝利を収め、FBIへの信頼を取り戻す。

 トッド若松は今度は倍達を試合中にしびれて動けなくさせることで敗北させ、FBIから
外されることを期待してしびれ薬入りのジュースを飲ませる。
だが試合中ずっとしびれはせず何事もなく勝利する。
ドライブインで倍達が励ました日系人がジュースをすりかえてくれていたのである。
策略がバレたトッド若松は日系人を無料で闘技場に招待する企画をする事で許しを得る。
だが、このことが悪夢の始まりだった。。
グレート東郷という悪役レスラーに契約を買い取られたのである。
彼は東郷兄弟を結成して悪役になり、金を稼げと要求するが、遠藤、倍達はそれに逆ら
って3人のレスラーに勝ってしまう。
その場から速攻で脱出したが、外にはギャングが待ち受けていた。。
先に逃げていたグレート東郷はそこでサンドバックにされていた・・・。
そこで倍達たちは生死をかけた決闘に挑む。
銃弾が飛び交う中必死で動きまわってギャング一味を全て倒し、東郷から尊敬され、
いご彼は熱心に修行に励む。
彼の誘いでハワイに立ち寄った時、まだ駆け出しの力道山と出会う。
彼は同じ日本人でしかも試合に連勝してるのにアメリカ人から批判されない存在であった。
破竹の勢いで勝ち進んでいく力道山に突如タム・ライスと言うレスラーが現れる。
彼の前では空手チョップが全く当たらず、不運にも敗北してしまう。
倍達は力道山の敵を討つと約束するが勝てる自信が無い為迷う。
ここで遠藤幸吉は力道山の助けとしてプロレスラーに転向する意志を示す。

 しかし、タム・ライスが空手殺しと宣伝したのに激怒した倍達は即挑戦状を叩きつけた。
試合は無制限1本勝負!
試合前、倍達は恐怖のあまり神に祈る・・・が、試合開始直後、背後からの三角とびで
一撃KOを成し遂げる。
・・・が、その結末が納得いかなかった倍達は現役ヘビー級ボクサーと戦う意思を示す。
最初の相手では、試合開始と同時にダウンして失神するが、無意識の中で戦い、起死回
生の反撃で見事勝利を収める。
その調子で3名のヘビー級ボクサーを全て撃破。
渡米時での戦いは無敗。大金を手にして無事帰国した・・・。


悲願熱涙編

 日本に帰国した倍達は、死闘で稼いだお金で家を建て、その家に妻を迎えた。
アメリカでの戦いについて取材も受けたが何故か雑誌には載らなかった。
その出来事をデタラメだと決め付ける名の知れた空手家に抗議すべく道場に立ち寄る。
そこで待っていたのは、黒帯100人と連続で戦う百人組手である。
倍達は最初の50人を軽く突破したため、師範は奥の手を使う。
対戦相手の足に油をつけて床を滑りやすくするトリックである。
これに見事引っかかった倍達は苦戦を強いられるが、足に帯を巻きつけてこれを回避。
百人組手も見事達成する・・・が、その後に待ち受けていたのは自分の家が借金の肩代
わりとなって取られるという事実を知る。
怒り狂った倍達はその男を殺そうとするが、以前の過ちを繰り返してはならぬという思い
によって止まる。

 あばら家の生活が始まって間もなく、柔道家木村政彦と出会い、彼を本物の武道家と
して感じて親交を結ぶようになる。
木村は間もなく力道山とタッグを組んでシャープ兄弟を迎えるが、木村は力道山の引き
立て役にされてると感じ、力道山に挑戦状を叩きつける。
木村は空手の長所も学び必死にトレーニングをし、木村の勝利を信じて疑わなかった、
が、試合前日に酒に酔った木村を見て倍達は疑問を抱く。
運命の当日、両者共本気を出してないように感じていたが、力道山の突然の怒りに
よって木村は敗北してしまう。
試合後、木村から引き分け目的の八百長試合だと聞かされ、倍達は彼との縁を切る。

 目標を失ってた倍達に数人の子供達が空手を教わりたいと志願し、気晴らしに指導
するようになる。これが大山空手道場の始まりであった。
しかし月謝も取らずに指導してたことが原因で空手家由利辰郎が倍達に勝負を
しかけてくる。
体力的には勝っていたが、奇襲として目に泥をかけて不利にさせられる。
が、相手のスタミナが無くなっていたため、倍達の執念に敗北する。
しかし、この戦いを見た弟子の親たちは暴力の巣と思いこみ子供達に空手を習うのを
反対する。
倍達は必死に説得するが聞き入れてくれない。が、弟子達の強い意志により空手を習う
ことを許可される。

 ムエタイが日本空手に挑戦するのを知って倍達自身が出向くことを決意する。
現地タイでムエタイというものの凄さを実感するが、そこで帝王ブラック・コブラと対戦する
ことになってしまう。
敗北が決定的となった相手に不安を抱くが、ある少年の口からコブラの弱点を教えてもらう。
しかし倍達はそこをついて勝っても大山空手の勝利では無いと感じ、正攻法で戦い見事
勝利を収める。が、その少年はカケ屋の手先で弱点を教えたのも倍達の勝ちにかける
ためだったことが判明する。
しかしムエタイと戦うことで倍達は世界中には強い格闘技があると実感する。

 アメリカ軍をコーチしてた倍達は大富豪の格闘マニアの誘いによりヨーロッパに遠征
する。
そこで、フランスに昔から伝わる格闘技サファーデを目の辺りにし、対決をする。
コマ回りのような蹴りに苦戦させられるが、足の軸を蹴って回転を止め、念願の必殺技
「三段蹴り」を使って勝利する。
しかしその後、八百長試合を断った倍達はカイザーの圧力により空手自体が出来なくなる。
それでも生き抜いた彼に驚いたカイザーは真剣勝負の話を持ちかける。
そこは地下プロレス場であり、ギャンブルの対象でもあり、ただ強いものが勝つという
世界であった。
そこの王でもあるイワノフ・ロゴスキーと倍達は対決することを決意する。
ロゴスキーは巨大でタフな体の持ち主のため苦戦を強いられるが、ジャイアントスイング
の際に足でロープにつかまり、その反動でロゴスキーを倒すが、裏のルールにより倍達
は地下プロレスで一生闘い続けることを強いられるがロゴスキーの友情によって解放
される。
そこで稼いだ報酬によってヨーロッパに支部が完成する。
各国も回って空手を伝え、著書も出す事が決まる。

 途中香港に立ち寄り、中国拳法の達人である陳老人と対戦するが、円の動きの極意
が読めず、倍達は障害初の敗北を味わう。
感動した倍達はそこで修行し、円の極意を会得する。

 帰国した倍達は弟子の多さにビックリし、稽古をより熱心に行うようになるが、弟子の
様々なトラブルに頭を悩ませるようになる。
 その折黒崎が海外指導員として旅立つが、命をかけた対戦をするハメとなる・・・が、
倍達はあえて心を鬼にして突き放す。
格闘士との対戦では顔面の急所を狙い、見事一撃で倒すことに成功。倍達の強い言葉
があったためだと感謝する。

 以降も倍達は牛を倒せる力を維持し続けると誓い、「剣禅一如」ならぬ「拳禅一如」
を目指すようになる。


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