CHERRY G80-3000 に鉄板シャーシを組み込む


PCBだけでスイッチを支えている”G80-3000”に、ステンレス・シャーシを組み込んでしまう計画。
HHKタイプの試作機、二号機の製作(二号機は途中)を経て、実現しそうな見通しが付いて、実行。






シャーシの設計


PCBの外寸とスイッチのピッチを計測をしながら、イメージを作る。
前後のベンディングは、PCBで受けないで、PCBをまたいで直に下筐体に足を下ろすスタイルとする。PCBを介さないので、よりシャーシが安定して固定 出来ると考えたから。
左右にベンディングを追加。これは、PCBをシャーシに固定する際の高さの位置決め精度と強度、シャーシ強度を上げる為。

ステンレス・シャーシは、とにかく硬い反面、キーを底付きした際の振動が懸念されるが、PCBが上手い事その振動を吸収してくれると予測。






PCB基盤への追加工


PCBの外寸とスイッチのピッチを計測。150mmのノギスで、ふにゃふにゃのPCBを測ったので、計測誤差が、0.2mm位は出ると思われる。
シャーシも加工上、熱膨張で0.15mm程度の加工誤差が生じる。
スイッチ下面の三つのエンボス(PCB取り付け用スイッチの場合)と、PCBの位置決め穴がかなりしっくりしていて、ガタが無い。
シャーシのピッチとPCBのピッチが予測値で0.35mmズレるので、このままだとスイッチがシャーシにピッタリハマらないし、PCBやシャーシが歪んで しまう。
そこで、スイッチの位置はシャーシを基準として、PCBは穴を大きく逃がしてしまう事にする。

PCBへの追加工

PCB。上の列は加工前。下の列はスイッチの位置決め穴を広げて遊びを設け、スイッチが多少ズレてもしっくり収まる様にする。
スイッチの位置はシャーシ基準とした。


仮組み

ブランク状態のシャーシで仮組みを行う。大きな問題があれば修正を行わなければならない。
幸い、LEDの逃がし穴が少しズレていた程度だった。

仮組みで大雑把だが、底付き感はHHKタイプの硬質さで、PCBが振動を吸収している為か、シャーシの裏にあたかも厚みのある物がある様な感覚だ。






筐体への追加工


上筐体への加工。
改造前は上筐体の下面のリブが、PCBを押さえつける構造に成っているので、ステンレス・シャーシを追加する事によって5mm厚く成る分、リブを削る必要 があ る。
上筐体下部からのリブの高さが9.8mmあったので、5mm削って4.8mmに仕上げたい。
目検討で、削るのは至難の業なので、治具を製作。


カッティング治具
右に突き出た部分の厚みが5mm。ホットナイフでの荒取り用。
左のスリットにカッターの刃が入る。スリット右から、4.9mm、4.8mm、4.7mmの高さに刃を固定できる。
治具の下面、筐体に当たる面は、ヤスリ等で面を整えておかないと、筐体にこすり傷がついてしまう。


ホットナイフ

ホットナイフで、こんな感じで荒取りを行う。切ると言うよりむしり取る感じ。
力を込めて早く取ろうとしたら、ナイフの根元が曲がってしまった。


カッター

カッターを使った、簡易カンナ。一度に削ろうとすると、刃が入りすぎてしまう。
細かい場所が削れないのが難点。
実際の加工では設定より薄く削ったので、鉄ヤスリの方が重宝した。






3000改造手順


@PCBにスイッチを止めているハンダをハンダ吸い取り機で取り去る。
ハンダ吸い取り機はDIYセンター等で購入。およそ500円位。
ハンダごてで半田を溶かしておいて、一気に吸い取り機で吸引。綺麗に取り去らないと再度組み付ける時に電極を曲げてしまう。

AスイッチをPCBから取り外す。

BPCBのスイッチ位置決め穴を広げる。
PCBのスイッチ位置決め穴とスイッチは、かなりしっくりしたはめ合いでガタつきが無い。
シャーシの製作の際生じる誤差分、シャーシとPCBとの間にズレが生じる為、誤差分PCBのスイッチ位置決め穴を大きく逃がす必要がある。
最初はドリルで逃がす事を考えたが、ドリルの抜け際にPCBを傷める事を考慮して、テーパリーマを用いて穴を広げる。
私が使ったテーパリーマは、模型用に使われる物。ポリカネードに穴を開ける際に用いる物。

加工後、穴バリをペーパーヤスリで取り去る。あまり綺麗にならないが、バリでスイッチが浮かない様にする。

CシャーシとPCBと止めるビス穴を開ける。
スイッチを取り去り、スタビライザーのみを残したPCBとシャーシを仮組みし、タップ加工を施した子部品に合わせてPCBにビス穴を加工。
ビス穴加工が終わったら、仮組みしたPCBをシャーシを分解。
PCBには、なにか粘つく薬品が塗られている。石油系のクリーナーでふき取り、ほこりや穴あけの際に生じた切りかすが付着しない様にした。

DPCBとシャーシの組み付け。
シャーシに取り付けた子部品(NCナット M3)とCで施したPCB穴を使ってPCBとシャーシをビス止めする。
シャーシ上面からPCB上面までの距離を5mmにする必要がある。その距離が少ないとシャーシからスイッチが浮いてしまって、ステンレス・シャーシの硬質 な特性を生かすことが出来ない。可能な限り3.5mmに近づけるのが好ましいが、距離がマイナスするよりはプラスの方がベターである。
今回組んだ3000は、シャーシの厚みが1.5mm、NCナットの厚みが1.8mmに、0.5mmのワッシャーを4枚使って、合計5.3mm。
設定より0.3mmプラスで組み付ける。シャーシの平坦度を確認しながらしっかりとネジをしめてしまう。
ワッシャーを3枚にして、PCBに0.2mm分の紙テープを貼り付けた方が良かったと後で後悔。次に青軸を組む時はそうしよう。

組み付けの際は、スタビライザーをシャーシに入れるのに結構手間取ったが、何とか上手く入れる事が出来た。
HHKタイプを組んだ時に、シャーシにスタビライザー保持具をしっくり入れた為に、スタビライザーの動きがとても滑らかになった実績が有るので、どうして も上手くシャーシに入らなかった場合は、スタビライザー保持具とPCBを止める部分を削ってしまうつもりだった。

組み付けの際、ワッシャーが外れない様に、NCナット、ワッシャー、PCB穴に糸かワイヤーを通して、ナットで閉める際、ワッシャーが外れない様にしてお く。

Eスイッチの装着。
組み付けたシャーシとPCBにスイッチを装着。電極が曲がってしまっていないか、シャーシにスイッチが密着しているかを確認しながら作業を進める。
最初にスタビライザーを使うスイッチを取り付け、スタビライザーの動きを確認。動きが悪いようならシャーシの組みつけからやり直す。

FスイッチとPCBをハンダ付けする。
電極をハンダごてで暖めながらハンダを盛って行く。ここは、面白い位に作業が捗る。
この時点でPCに接続。動作確認を行う。

G下筐体にシャーシを載せる。
シャーシの手前と奥のベンディングが、下筐体よりかすかに浮いている。
ここに0.5mmのゴムシートを両面テープで貼り付ける(下筐体側)。
0.5mmのゴムシートは、下筐体に貼り付けると結構硬くなり、シャーシの滑り止めと、振動吸収の役割を果たす。

H上筐体の加工。
ノーマル状態では、上筐体の下に9.8mmのリブがあり、そのリブがPCBを固定している。
計算上はステンレス・シャーシを追加する分、5mm削る必要があるが、5mm以上削り、5mmの柔らか目のゴムシートを上筐体下部に貼り、シャーシが浮か ない程度に押し付ける。
これが結構大変な作業で、現状まだ当りが取りきれていない。

上下筐体をビス止めする穴が4箇所あるが、その穴の利用法の違いで2パターンのシャーシを製作。
今回製作した3000改は、上筐体のタップ付近のリブを一部残しておいて、PCBを上下筐体で挟み込む構造を其のまま使うタイプ(タイプT)。
筐体の加工の際は、その部分を残す必要がある。

もう一つのタイプは、下筐体とシャーシをビスとナットで固定するタイプ(タイプS)。上筐体は大きく逃がす必要がある。
その部分のシャーシとPCBの間に、しっかりとしたスペーサーを入れる必要がある。

I上下筐体の固定(タイプT)
上筐体のタップ穴に予めM3のタップを数ミリ入れておき、ビス止めの際の案内にする。
シャーシを入れた状態で上下筐体を組み、4箇所のビス止めをする。
タップ穴がプラスチックであるので、軽く閉める程度とする。





シャーシへの追加工


上下筐体の組み付け部の爪の逃がしに続いて見つかったのが、エンコーダーがシャーシと干渉する不具合。
シャーシを下の画像の様に切り取り、エンコーダーの厚みを逃がす。

二度目の追加工PCB裏_02

既に三度ハンダを剥がした為、ランドが悲鳴を上げている。確実にショートさせる為、リード線を走らせて修復を行う。
リード線がバタ付かない様、グルーガンで所々固定。

シャーシとPCBとのクリアランスを3.5mmに成る様に変更。
ワッシャーを三枚両面テープで止めたら丁度1.7mmとなり、NCナットの厚み(1.8mm)と合わせて、ピッタリ3.5mmとなった。
スイッチは、シャーシとPCBの両方に密着させた。

スタビライザー保持具は、シャーシ基準での取り付けとし、PCBに対してはガタになる様、爪を切ったりPCB穴を広げる。
はたして、必要な加工だったかは定かでは無いが、組み付け易くなったのは事実。
キーを底付きした時にスタビライザーがPCBに当たる箇所の突起を切ってしまい、ショックを和らげない様にする。
他のキーとの底付き感をそろえる為の処置。

上筐体は、シャーシに軽く当たる程度にリブを削り、柔らかい5mm厚のゴムを貼ってシャーシを受けている。


3000改

完成した3000改。何度も組み直したが、組み直す度に落ち着いて硬質な打鍵感になった。
スイッチがPCBとシャーシに密着した為、キーが底付きした際のシャーシのブレを押さえ、スイッチ自体の撓みも抑えている様だ。
シャーシが直に下筐体に乗っているので、組み上がった筐体は、かなり力を入れても捩れない。
もう少し手を加えたいが、ここで、完成したとしても良いだろう。