公職選挙法 Q & A

 

    公職選挙法は、古い法律で、しかもわかりにくい規定がたくさんあります。

    ちょっと気になる点を Q A形式 でまとめてみました。

 

    

 

Q 立候補届出前の選挙運動(事前運動)が禁止されていること(129条)は知ってい

 ますが、現職の議員さんが選挙前に議会報告や会合を開いています。あれはやっても良

 いのですか?

 

A 議会報告演説、選挙人の意見を聴く懇談会、座談会などを行うことは許されていま

  す。が、社会通念上選挙が特定される状態において、その当選を得、または得しめるた

  めの行為と判断されるような場合には、事前運動と判断でき、禁止されています。

 

    

 

Q 立候補を決意した○○氏は、立候補届出前に、街頭で会った人に「次の選挙に立候補

 するから宜しくお願いします」と声をかけて町中を回った。

 

A 立候補届出後であれば、○○氏のような行為は、個々面接行為として許されます。

  が、立候補前に個々面接で選挙運動をすることは禁止されています。

 

    

 

Q 道を歩いていると○○さんの支援者から「次の選挙では○○さんを宜しくね」とよく

 声をかけられます。これってやっても良いことなのですか?

 

A もちろん禁止されています。

 

    

 

Q 私は、ある組合に所属しているのですが、次の選挙においては○○さんを推薦すると

 いう組合決議をしたいと考えております。このようなことをしても良いのですか?組合

 員以外の人に対して、組合推薦者が○○さんであることを知らせるビラを配布しても良

 いのですか?

 

A 組合の会合において、単に推薦決議を行うことは許されますが、更にその者の当選を

 図るために、投票を依頼したりする行為がなされた場合には、たとえ内部的な行為であ

 っても違法です。組合員以外の一般住民等に対して、新聞広告やビラ等により周知する

 行為は禁止されています。

 

    

 

Q 選挙告示日が近づきました。現職議員の○○さんが「○○政治演説会11月1日」と

 いう広告ポスターを貼っています。あれってやっても良いことなのですか?

 

A 現職議員の氏名または氏名が類推されるような事項を表示した演説会開催周知用ポス

ターは、ベニヤ版、プラスチック版その他これに類するものを用いて掲示するもの(裏

打ちポスター)は、いっさい掲示することが禁止されています。裏打ちポスター以外の

ポスターであっても、任期満了日の6ヶ月前の日から選挙期日(投票日)までの間など

一定期間内は掲示できないことになっています。なお、個人演説会告知用ポスターを使

用できるのは、知事選挙の候補者が公営掲示場にはって使用する場合だけです。

 

    

 

Q 私の娘は、私立幼稚園へ通っています。園長先生が娘たち園児に「今度の選挙では

 ○○さんへ投票するようにお父さんお母さんにお願いしてね」と言っているようです。

 娘はまだ5歳で政治のことには関係させたくありませんし、○○さんへは投票したくな

 いので、困っています。

 

A 公務員である教育者については、それぞれ国家公務員法および教育公務員特例法によ

 って一切の選挙運動が禁止されています。公務員でない教育者は、教育者としての地位

 を利用して選挙運動することができないことになっております。

それゆえ、私立幼稚園の園長は、教育者としての地位を利用しての選挙運動をすること

ができません。ここに「教育者の地位利用」とは、教育者が学校で占めている教育上の

地位、いいかえるならば、その影響力を利用することを意味し、直接的に働きかける場

合はもちろん、児童、生徒または学生を介して、その父兄、PTA等の有権者に働きかけ

る場合もこの禁止に該当します。その園長先生は、問題ありそうです。

 

    

 

Q 次の選挙に立候補すると思われる会社社長○○氏が、営業広告に「社長○○」などと

 記載したビラをまいています。○○氏のニコヤカ写真つきです。あれってやっても良い

 ことなのですか?

 

A ことさらに氏名が記載されていると認められる場合には、一般的には事前運動になる

 ものと判断され禁止されています。

 

    

 

Q 道を歩いていたら、次の選挙の候補者の後援会の人と思われる人と会いました。「近

 く○○さんの擁立大会を開くので時間があれば出席してほしい」と頼まれました。その

 擁立大会では、推薦演説がおこなわれるそうです。これに参加しても大丈夫?

 

A 候補者の支援団体等が不特定多数の有権者を集めて擁立大会を開き、推薦演説を行う

 行為は、事前運動にあたり、禁止されています。あなたは違法な集会に参加しようとし

 ています。

 

 

    

 

Q ある政党支部が発行しているポスターに、支部長○○と記載されており、その人が次

 の選挙に出るそうです。

 

A 公職選挙法は、選挙運動にわたらない純然たる政治活動を本来的に自由としています

 が、他方で、文書・図画(とが)の掲示について規制を施しています(143条)。

 特定の候補者等の支持推薦を主たる目的としていない政党の政治活動用文書図画につい

 ては、規制の対象外となりますが、それが当該政党の政治活動とともに候補者等自身の

 政治活動の目的をあわせ有すると認められるものについては、規制の対象になります。

 そのポスターはアブナイ。

 

   

 

Q 現職の議員さんから自筆の暑中見舞状をいただきました。とても律儀で筆まめな方の

 ようです。家宝にしようと思っています。

 

A 候補者等が年賀状等のあいさつ状を出すことは原則として禁止されています(147

 条の2)。ただし、答礼のために自筆で書いた年賀状等を出すことは許されています。

 ここに「自筆」とは、印刷した時候のあいさつ状に候補者等がたんに署名したものは含

 まれません。

 

    

 

Q 選挙期間中、候補者の○○さんが道で演説していました。演説のあと、○○さんから

 名刺をいただきました。写真入でカラー両面印刷の格好の良い名刺です。嬉しかったの

 でみんなに見せびらかして自慢しました。

 

A 候補者が頒布してもよい文書図画は、公選葉書に限られており、それ以外の文書図画

 は、一定の場合(2回までの新聞広告、選挙公報)以外、いっさい頒布してはいけない

 ことになっております(142条)。街頭演説用ビラだけでなく名刺も配布してはいけ

 ないことになっております。

 

    

 

Q 原則的に自由な「政治活動」って何?

 

A 政治活動とは、政党その他の政治団体等が行う政策宣伝、党勢拡張等の活動のことで

 す。告示前であっても、政治活動は文書図画の頒布・掲示について一定の制限があるほ

 かは原則的に自由です。

文書図画の頒布に関しては、原則としてビラの頒布は禁止されています。確認団体が届

け出た二種類以内のビラの頒布は許されています。パンフレット頒布は自由(但し、特

定候補者の氏名またはその氏名が類推されるような事項を記載することは禁止)。

文書図画の掲示に関しては、原則として、ポスター、立札、看板の類の掲示は禁止され

ています。ただし、確認団体は、一定数量以内でポスター等を掲示することができま

す。

演説会については、原則として政談演説会の開催は禁止されますが、確認団体は一定の

回数以内であれば開催できます。

街頭演説についても原則的に禁止されますが、確認団体は一定制限内で行うことができ

ます。

 

    

 

Q 「確認団体」って何?

 

A 参議院議員選挙、都道府県または指定都市の議会の議員の選挙、都道府県知事または

 市長の選挙の場合に、一定数の所属候補者がいるときに確認を受けることができます。

 確認団体は、政治活動を原則的に自由に行うことができるようになります。

 

    

 

Q 「後援会」って何?

 

A 後援会(はげます会)は、公職選挙法の199条の5第1項に「特定立候補者(予定

 者)の支持・推薦を主たる政治活動としている後援団体」と規定されています。後援会

 は、政治資金規正法上の政治団体として、総務大臣・選挙管理委員会への届出が義務付

 けられています。

 

    

 

Q 私は、医師をしているのですが、医院の看板に私の名前を書いております。今度の選

 挙に立候補しようと思っているのですが、この看板をはずさなければならないでしょう

か?

 

A 立候補以前から掲示してある医院の看板に、候補者になった医師の氏名が記載されて

 いても、そのまま掲示しておくことは差し支えありません。

 

    

 

Q 僕の家は大通りに面していて人や車の往来が多い場所なのですが、先日、次の選挙に

 出る現職議員さんから後援会事務所の立て看板を立てさせてくれ、と頼まれました。

 その人には大変お世話になっているので「いいですよ」と言って立て看板を置くことに

 しました。そうしたら、他の議員さんからも置かせてくれと頼まれ、そんなことで、

 我が家の前には4つの立て看板が立てられることになりました(自慢!!)。

 

A 選挙事務所を表示するための看板を設置することは許されています。選挙事務所は、

 候補者またはその推薦届出者でなければ設置することができないことになっています。

 候補者は選挙事務所を、原則として、1箇所のみ設置できます。候補者は、共同して

 選挙事務所を設置することができます。選挙事務所を設置したときは、ただちに文書

 で、選挙管理委員会に対して届出をしなければならないことになっております。立て

 看板は、選挙事務所の所在する場所で使用するものでなければなりませんから、選挙

 事務所から離れた場所に掲示することはできません。

もし貴方の家が4人の議員さんの選挙事務所であって、既述の要件を全て充たしてい

場合には、なんら問題はありません。

 

    

 

Q 立候補を予定している○○さんが、私の知り合いの△△さんと一緒に、私が経営して

 いる商店に挨拶にいらっしゃいました。清廉潔癖な良い人なので、一票を投じようと思

 っています。

 

A あたなが一票を投じようとしている“清廉潔癖な良い人”は、実は、公職選挙法に違

 反ています。

 

    

 

Q 明日、選挙の日なのですが、12時少し前に、立候補した方から電話がかかってきま

 した。迷惑だな〜。これって違反じゃないの?

 

A 実際問題として迷惑な話ですが、法律上は、違反ではありません。迷惑だと思ったあ

 なたは、その人に投票しないことで復讐できます。

 

    

 

Q 私は選挙が好きです。まるでお祭りのようなので。○○議員さんの選挙事務所には誰

 もが入れるテントが設置されていて、そこに行けば、オニギリや弁当、ビール、ジュー

 ス類がたくさん置いてあって、雰囲気も良いので、一日中、そこで楽しめます。あなた

 も一緒にいかない?

 

A 候補者は、休憩所その他これに類似する設備を設けることが禁止されています。弁当

 類を配布する行為も禁止されています。あなたが行っている選挙事務所は、法律に違反

 していることを大々的にやっていることになります。いつか警察につかまるでしょう。

 だから、そこにいると、あなた自身、警察から根掘り葉掘り問いただされるかもしれま

 せん。

 

    

 

Q 候補者の○○さんはリチャードギア似で格好がよいです。白いスーツを着て走行中の

 白い選挙カーの天窓から身を乗り出して、手を振ってくれました。まるで、映画『プリ

 ティーウーマン』の最後のシーンを見ているようで、ウットリです。

 

A 候補者は、天窓があるような車を選挙用自動車として利用することはできません。走

 行中の車の上で選挙運動することもできません。

 

    

 

Q 候補者の○○さんの支持者から電話があり、「戸別訪問が禁止されているので、あな

 たの店の外まで出て来て欲しい。少し話したい。」といわれた。電話のあとすぐに店先

 にきたので、忙しいことを理由に面会を断った。

 

A 何人(なんびと)も、有権者(選挙人)の家を訪ねて、投票を依頼したりまたは投票

 を得させないように依頼するような行為をすることは、戸別訪問としてすべて禁止され

 ています(138条1項)。ここに「訪問」とは、必ずしも選挙人宅に入らずとも、

 家屋の出入口に接する店先、軒先や道路ばたで訪問すれば戸別「訪問」となります。

 あなたが面会を拒絶していても、「訪問」があったことになり、違法です。

 

    

 

Q 私が所属している組織の幹部(立候補予定の○○さんの後援会長)から、「君が住ん

 でいる団地の各戸を訪問して○○さんのことを宣伝してくるように。一つ飛ばしで訪問

 すれば連続していないから戸別訪問にならない。法律違反ではないから大丈夫だ。」と

 言われた。いやだな〜。これって本当に法律違反にならないのかな?

 

A 戸別訪問禁止規定に抵触します。

 

    

 

Q 私が所属している組織の決議で、みなが一人ずつ知人宅へ行って、○○候補へ投票す

 るように投票依頼することになった。

 

A 一戸しか訪問しない場合でも二個以上を訪問する目的をもっていた場合には、戸別訪

 問ということになる。二人以上の者が、それぞれ一戸ずつ訪問する場合にも、相互に意

 思を通じて行う場合には戸別訪問になる。

 

    

 

Q ○○候補の後援会長さんから、「○○候補を支持する署名」と題した文書に名前・住

 所・電話番号を記載することを頼まれた。

 

A その後援会長さんは、署名運動禁止規定(138条の2)に違反しております。

 

    

 

Q 政治に詳しい○○さんは月に一回「○○町を良くする新聞」を発行しています。町議

 会議員選挙がはじまったので、○○さんは、選挙に関する評論を載せて新聞を発行しよ

 うと考えている。

 

A 公職選挙法は、選挙に関する報道評論の掲載された新聞・雑誌は、通常の方法によっ

 てのみ頒布することができ、また、都道府県の選挙管理委員会が指定する場所にのみ掲

 示することができるとしていますが、選挙期間中は、一定要件を充たす適格新聞・雑誌

 についてのみ選挙に関する報道評論の自由を認めるとともに、頒布方法にも制限(通常

 方法かつ有償でなければならない)を加えています(148条)。

選挙期日の告示の日から投票日までの間に報道評論の自由が認められるのは、次の要件

を充たした新聞・雑誌です。

@     新聞については毎月三回以上、雑誌については毎月一回以上、号を逐って定期的

 に有償で頒布するもの

A     第三種郵便物の承認のあるもの

B     投票日の告示前一年(時事に関する事項を掲載する日刊新聞については6ヶ月)

 以来、@およびAの要件に適合し、引き続き発行するもの

○○さんが発行している新聞は、上記の要件を充たしていませんので、選挙運動期間中

および選挙の当日は、報道評論することができません。

 

    

 

Q 選挙に立候補した○○さんは、朝6時から駅前で、立札をたてて、演説をしようと思

 っている。演説の間、ボランティアのサポータにビラを配ってもらう。やってもよい

  か。

 

A 街頭演説は午前8時から午後8時までの間に限ってこれをすることができます。それ

 ゆえ、朝6時から8時までの間は、できません。

街頭演説をする場所では、その候補者の演説であることや候補者の政見等を示すため

に、ポスター、立札、ちょうちん、看板の類は一切使用することができません。

もっとも、頭演説の場所に停止している選挙運動用自動車にポスター、立札などを

とりつけることは問題ありません。

街頭演説の場所でビラを配ることはできません(142条)。

 

    

 

Q ○○候補は、演説には自信がないので、街頭演説の標旗および腕章をつけたまま、町

 中を歩き回り、有権者と握手する作戦をたてた。この点、どうか。

 

A 文書図画の回覧行為にあたり、許されません。

 

    

 

Q 選挙に当選した○○氏は、自分へ投票してくれた有権者へお礼のあいさつのため、戸

 別訪問するとともに、協力者の労をねぎらうための当選祝賀パーティを開催した。

  また、町中を気勢をあげて回った。

 

A ○○氏の上の行為は、すべて法律に違反しています(178条、あいさつ行為の制

  限)。

なお、「御礼」の文字を記した文書、図画を頒布、掲示することも許されませんが、

@自筆の信書を出したり、A有権者からもらった当選の祝辞、落選の見舞いなどに対し

返信(自筆でも印刷でも可)することは、さしつかえありません。

 

 

    

 

Q インターネットに関して公職選挙法は、どのような立場をとっていますか?

 

A 公職選挙法は、選挙時のインターネット利用に関しては、規定を置いていません。時

 代の流れについていっていません。この点については、メールで投票依頼することは不

 可、選挙告示日以降選挙日までのHP更新は不可、HP上で詳細政策を記載することは不

 可、HPを真白にして音声のみを提供することは可、というような解釈が有力です。

 

 

 

 

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