理解編
- なぜ不登校になるのでしょう?
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不登校になる原因はさまざまです。本人にもわからない、ということもよくあります。この質問は簡単に回答できるものではないので、のちに別の文書で詳しく説明する予定です。
- 不登校は非行の始まり?
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不登校が直接、非行の原因になるわけではありません。また、暴走行為、万引き、喫煙などのほとんどは、学校には普通に行っている子がやっていることです。
不登校の子が上に挙げたような非行に及ぶとすれば、それは例えば、学校に行かないことで親などから暴力を振るわれたり、教師が部屋まで入ってくることで家にもいられず、外に逃げ出した結果、追いこまれて、というところでしょう。私が知っているケースでも、家にいると親に責められるために外を徘徊することになり、非常にひどい目に遭ってしまった、というものがありました。
不登校そのものを非行と同一視する周囲の目こそが、子どもを非行に追いやる原因だと理解しましょう。「不登校を理解する第一歩」で書いたように、学校に行くことは子どもの義務ではありません。
- 不登校を認めると引きこもりになるのでは?
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不登校が直接、引きこもりの原因になるわけではありません。たしかに、不登校のまま引きこもりになった人はいます。しかし、学校へ普通に行っていた子もまた、引きこもりになっているのです。では、なぜ多くの人がこのことを心配するのでしょう?
実は、いま30代くらいになっている引きこもりの人の多くは、ある人が原因で巻き起こった「不登校病気説」によって、ある時期、それを信じた親にだまされて薬を飲まされたり、無理やり精神科に通わされたり、無理やりいろいろな場所に連れ出されたりした経験を持っています。その結果、親さえも信用できない人間不信の状態となり、さらには、親にさえ信じてもらえないことで、自分自身さえ信じられなくなってしまったのです。
つまり、引きこもりの原因は不登校ではなく、不登校に対する誤った認識に基づく、誤った対処なのです。
- 不登校になる子は成績、頭が悪い?
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成績のよい子も不登校になっています。たしかに、不登校している子の中には知的障害などを持った子もいますし、成績が悪かった子もいるかもしれません。しかし、私はいまだに、それらが原因で不登校になった子を知りません。
成績、頭が悪いといわれる子どもが不登校になる場合、そこにはたいてい、生徒、教師からのいじめ、不当な扱いなどがあります。個人の能力に違いがあるのは当然です。その違いを認めた上で、すべての人間は平等に人権を保障されなければなりません。なのに、それを学校で否定されるのです。
不登校の原因となるのは、頭がよい・悪い、運動ができる・できないといった、能力の違いそのものではありません。そうした個人差を無視したり、能力の違いを理由に子どもを差別したりする、人権尊重意識の欠如です。
- 学校へ行かなくても人生だいじょうぶ?
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学校へ行かなくても、他の方法で勉強して社会に出ている人はたくさんいます。
それに、いま学校へ行かないからといって、将来にわたってこれっきり学校に戻れないわけではありません。実際に、小学校や中学校には行かず、高校や大学から学校に復帰した人も大勢います。いま無理をしなくても、行けるようになってから、行きたいならいけばいいのです。
勉強はやる気になった時が学び時です。効率もあがります。他の時でもそうですが、不登校でも大切なのは、周りも親も本人も、自分を見失わないことです。学校へ行っていることが人間の条件ではありません。いろんな事情で疲れている時は、ゆっくり休めばいいのです。
対処編
- 子どもが「コミュニケーションに問題がある」と言われました。どうすればいいですか?
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コミュニケーション能力を伸ばすために大切なことは、まず大人が子どもの話をちゃんと聴いてあげることです。子どもの言葉を頭から否定して理由を説明しなかったり、話の途中で割りこんだり、自分の考えを押しつけたりしてはいけません。人は誰かに、ちゃんと聴いてもらうことによって、はじめて伝える能力が伸びるのです。そうすることで、子どもにも自然と人の話を聴く習慣がつきます。
コミュニケーション能力の不足は、多くの日本人に共通する問題です。コミュニケーションとは本来、
人間が互いに意思・感情・思考を伝達し合うこと
ですが、日本では「周囲の空気に自分を合わせること」だと誤解されている傾向があります。そのため、自分の考えをしっかりと口にできる子が、かえって「コミュニケーション能力不足」とされて疎外されることもあります。子どもを「コミュニケーション能力不足である」と断じる前に、自分はちゃんと子どもの言葉を聴いているか、自分の考えを子どもに伝える努力をしているか、をまず自問してみるといいでしょう。教師と話し合ったあと、「同じ言語を話しているとは思えなかった」という感想を抱く子どもや親も多いです。
- 不登校している子どもが家庭内で暴力を振るうのだが、どうしたら?
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まず、自分と子どもとのあいだで、きちんとコミュニケーション(相互伝達)が取れているかを考えてみてください。学校に行っている子が家庭内で暴力を振るうことも多いので、不登校だからだと安易に考えてはいけません。
家庭内暴力は多くの場合、以下のような理由から発生するものと私は考えています。
- 子どもがそれまで、いろいろなことを周囲に表現してきたのに、まったく理解や反応を得られず、ちゃんとした対応もしてもらえなかった。
- 周囲の大人に、自分が本当はなにを望んでいるのかを伝えられない。
こうした結果としての家庭内暴力は、まず子どもが安心して話せる環境を用意した上で、家族がお互いに自分の気持ちを伝え、相手の気持ちを理解する方法を学ぶことで、解決することができます。
暴力を振るうことで一番苦しんでいるのは、実は子どもです。一部の大人は暴力を目の当たりにすると(物を壊すだけでも)、「気が狂ったのでは」と思いこみ、原因や子どもの気持ちを考えることを置き去りにしたまま、警察や病院、施設などに頼り切ってしまわれます。もちろん病気である場合は、その対処が間違っているとはいえません。しかし、そうではない場合、一生消えない人間不信を植えつけてしまう恐れがある、ということを自覚する必要があります。
- 高価なものをねだるのですが、どうしたら?
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出せるお金なら出してあげるといいでしょう。ただし、ちゃんと話し合って、出すなら気持ちよく、ということが大切です。決して、「言うことを聞かないと暴力を振るうかもしれない」とか、「もったいない」「無駄になるのに」などと考えながら、嫌々買い与えてはいけません。
理解しておく必要があるのは、子どもはその金額でしか親の愛情を計れなくなっているんですよ、ということ。大人は自分では気がついていませんが、多くのことをお金で肩代わりしてもらっています。愛情表現も、いままでそうやってお金で表現してきているのです。子どもはその中で育ってきて、自分が苦しくなった時、いままで以上の愛情を必要としていることを表すために、無意識にそんな要求を出してきます。
ですから、お金以外のことで、自分が親に間違いなく愛されている、という確信を子どもが持てれば、そういうことはなくなります。
お金を出さなくても、もちろんかまいません。でもそれは、お金がもったいないから、であってはなりません。それでは、子どもはこう受け取ります。「親は自分よりお金が大事なんだ」と。出さない理由をちゃんと考えましょう。
- 学校の先生やクラスメートが迎えに来てくれるのですが、どうしたら?
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最初の段階で親がきっぱりと登校刺激を断ったほうが、その後の学校復帰は早いでしょう。子どもの多くは、学校に行かなくてはならないと強く思っています。いじめなどで、学校に行くことがそれこそ心身の命をかけているような状態の子でさえ、「不登校にだけはなりたくない」と思っているのです。でも、それでも、人間には限界というものがあります。
児童の権利委員会が日本政府に勧告しているように、日本の学校は子どもにとって非常にストレスの大きい環境です。親が言っても登校しないのに、先生が来ると行くという子は多いので、親はつい頼ってしまったりします。しかし、そうやって無理に登校させたところで、決して長続きはしません。
最初の時期は、ただゆっくりと休ませてあげてください。しんどくなったらいつでも休めばいいのだとわかれば、また学校に我慢して通える子はけっこう多いと思います。現実にたくさんいます。