
名吟発句集
─発句はかく解しかく味わう─
目次
日本で昔から親しまれてきた名句の数々。文学的評価に関してはいろいろ意見はあるだろうが、一つの時代、多くの人を感動させた句は尊重し、後世に残してゆきたいものである。
春(はる)
梅(うめ、むめ)
むめがかにのつと日の出る山路かな 芭蕉
うめの花赤いは赤いはあかいはの 惟然
白梅に明る夜ばかりとなりにけり 蕪村
柳
柳には鼓もうたず歌もなし 其角
何事もなしと過行柳哉 越人
腫物に柳のさハるしなへ哉 芭蕉
むつとしてもどれば庭に柳かな 蓼太
花、桜
これはこれはとばかり花の吉野山 貞室
木のもとに汁も膾も桜かな 芭蕉
何事ぞ花みる人の長刀 去来
世の中は三日見ぬ間に桜かな 蓼太
蛙(かわず、かえる)
古池や蛙飛びこむ水のおと 芭蕉
蝶
ねこの子のくんづほぐれつ胡蝶哉 其角
蝶を噛で子猫を舐る心哉 其角
夏(なつ)
五月雨(さみだれ、さつきあめ)
湖の水まさりけり五月雨 去来
五月雨をあつめて早し最上川 芭蕉
日の道や葵傾くさ月あめ 芭蕉
五月雨やある夜ひそかに松の月 蓼太
夏草、草の茂り
夏草や兵どもが夢の跡 芭蕉
蚤、虱
蚤虱馬の尿する枕もと 芭蕉
切ラレたる夢は誠か蚤の跡 其角
蝉
閑さや岩にしみ入蝉の声 芭蕉
頓て死ぬけしきは見えず蝉の声 芭蕉
秋(あき)
天の川
荒海や佐渡によこたふ天河 芭蕉
朝顔
わらふべし泣くべし我朝顔の凋時 芭蕉
朝顔に釣瓶とられてもらひ水 千代女
鶏頭
鶏頭の十四五本もありぬべし 子規
月
名月や池をめぐりて夜もすがら 芭蕉
秋の暮
枯枝に烏のとまりたるや秋の暮 芭蕉
十字路に彳てばいづこも秋の暮 誓子
冬(ふゆ)
時雨
月は山風ぞしぐれににほの海 二条良基
世にふるもさらに時雨の宿りかな 宗祇
初しぐれ猿も小蓑をほしげ也 芭蕉
木枯し
凩の果はありけり海の音 言水
こがらしに二日の月のふきちるか 荷兮
海に出て木枯帰るところなし 誓子
枯野
旅に病んで夢は枯野をかけめぐる 芭蕉
雪
うす雪に木葉色こき山路哉 肖柏
雪の朝二の字二の字の下駄のあと 捨女
雪の日に兎の皮の髭つくれ 芭蕉
寒梅
一花を冬さくむめのさかりかな 兼載
梅一輪一輪ほどの暖かさ 嵐雪
今のところはこれだけだけど、徐々に増やしてゆきます。こやん